狡くて今は“S”志願で……だけどちょっとだけ可愛い私
ようやく“クソ拓哉”と切れて……
まずは反省!
ひたすら反省!!
ああ!!若気の至りとはいえ、まんまとあの名前と顔に騙されたよなあ~!!
でもアイツに少しでもマシな所が有ったら……
私はきっと今でも
犬小屋に鎖を繋がれた“庭飼い”の犬みたいにグルグル輪を描いて回る生活だったのだろう……
こんな体たらくだから……
仕事はもう!!
狂った様にやった!!
最初はヤツを養う為……そう!尻拭いも含めてね!
次は……アイツとひとつ屋根の下に居たくなくて
“部の立て直し”を言い訳に昼夜を問わず仕事に心血を注ぎ、会社に寝泊まりした。
ここだけの話なんだけど、その当時は……少ない枚数の下着をコインランドリーで洗濯のヘビロテをしたもんだから、皆くたびれ果てて……
人様の目の前では服、脱げなかった!!
そう“誰かの居る更衣室”も絶対に使えなかった!
まあ結果的に……守る義理も無い貞操までをも守る事になったんだけどさ!
で、たまにマンションに帰った時に、銀行で下したそのままの封筒をテーブルの上に置いていたから……ヤツは小遣い銭には事欠かなかったんだろうなあ~
こんな甘い事をしていたら……
そりゃ切れないわ!
うん!深く反省!
そんな……実は“内側ボロボロの”私に……
社の男の子たちが浴びせて来る“熱の籠った”視線には気が付いていて、
「バカな子たち! 初音ちゃん達の方がよっぽど実があるのに!」
なんて自虐的な苦笑いもした。
でもやっと!!
ようやく!!
私は自由になった!!
前々から社長ご夫妻は……私の“お婿さん”の心配をして下さっているのだけど……
『貞淑な妻』なんて!
今はまっぴらごめん!!
自分で言うのもなんだけど……『仕事ができて、だけど自分は前に出ないで男を立てて優しくて……』なんて仮面はかなぐり捨ててさ!
ちょっとは男を弄ってみたい!!
あ!変な意味でなくてよ!
いや、変な意味でもか……
アハハハ!
それはつまりね!
あんなオトコとは勿論、もうずーっとシていなかったわけで……
だからと言ってゴタゴタしている間は他ではできないでしょ?!
それが、身も心も自由になれば開放感が半端なくて!!
やっぱスケベ心の一つも起きる訳ですよ!
で、ロックオンする相手はもう決めてあるの!
それはね!
ピッチピチ!の若手の志摩クン!!
実は、入社面接した時に見初めてしまったの!!
決してイケメンじゃないんだけど、学生のくせして既に凛々しくて……
でも、一所懸命に笑顔を作ろうとする時はシャイな少年の顔になって……
もう可愛い!可愛い!!可愛い!!!♡♡
当然、社の女の子たちもすぐにカレに目を付けた。
もちろん彼女達も私の大切な仲間だから……
トラブルにはなりたくない。
でも私は“デキる”女だから……
まず、川上さんには得意先の営業部長(次期役員確定)のご子息とのお見合いをセッティング!
次に八重子ちゃんを二人だけでお洒落なバーへ飲みに誘い、彼女の膝がいい感じで緩んだところで「実は山口くんがずっとあなたの事を想っているのよ」と耳元で囁いた。
そして“今が旬”の亜季ちゃんと初音ちゃんには新宿の外資系企業とか丸の内の商社にお勤めの子達との合コンを……“合コン女王”の異名を取る祐実ちゃんを傀儡にしてセッティングした。
まあ“デキる”女の私が“仕事モード”で事を運べばこんなもんよ!
で、決戦の日は……月末の金曜日!!
“目標達成かつ前年比10%UP達成”の打ち上げ飲み会の途中で志摩クンを拉致し、私の隠れ家の1件である焼肉屋へ連れて行く。
勝負下着が“チラ見せ”になる様にブラウスのボタンを多めに外し、志摩クンに肉を焼いてあげる。
(途中からカレにトングを奪われたのだけど)
カレが緊張とかその他の理由でビールをガブ飲みし、“いい感じ”に仕上がったとこで、私はカレの為の“とっておき”を作ってあげる。
それは、カレが入社面接の時にレシピを披露してくれた“サークルの後輩の女の子が作ってくれた”という悪魔のスペシャルドリンク!!
カレの顔を“久しくガラ空きだった”胸のふくらみにグイグイ押し付け、
「ねえ~どおしたのぉ~ 年上の女の子からのプレゼントじゃ 飲めないのぉ~」
と甘~く囁く。
『ああ、志摩くんの後輩ちゃんはこんな“S的悦楽”を得ていたのか!!』
得も言われぬ刺激に私の胸は乙女のようにドキドキなのに!!
これ、志摩くんに伝わっているのかな??
グテングテンで吐き散らかして
分けの変わらぬ説教を私に垂れているけど……
そうやって、どこかで自制している志摩くんがたまらなくいじらしくて……
“肉食系”おねーさんとしてはもちろん焼肉だけで事足りる筈もなく、カレをしっかり“ラブホへお持ち帰り”して……
甲斐甲斐しく“隅から隅まで”洗ってあげた。
私の勝負下着をアイマスクにしてスヤスヤ寝ているカレを飽くことなく眺めて、カレの体温を感じながら時折まどろんで一夜を過ごした。
でも愛しい夜が明けるのは何と早い事よ!
でもまだ時間はたっぷりある!!
むにゃむにゃ目を覚まし始めたカレを
茶目っ気たっぷりな優しさで
包んであげよっと!♡♡♡