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【書籍化】エアボーンウイッチ~異世界帰りの魔導師は、空を飛びたいから第一空挺団に所属しました~  作者: 呑兵衛和尚
Inter Mission~迷宮騒動、大騒動!

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I’ll Be There(ダンジョン攻略は、とにかくスムーズに)

 北部方面隊第2師団旭川司令部へ通信を行い、そのままトムラウジ山麓で待機している第二特科連隊と合流するために超高速で移動しました。


 新記録ではないかという位の速度で移動、札幌発トムラウジ山麓片道18分ということは、恐らくは最新記録かと思われます。

 さすがは魔法の箒Mk1クーペリア、初号機からのカスタマイズ機だけあって、加速性能はかなり上がっています。

 第二特科連隊が待機している場所はトムラウシ山頂から南西へ250m地点にある、『トムラウシ南沼野営指定地』と呼ばれている平野部。まあ、キャンプ地点と思っていただけると。


――シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 その上空に到着し、ゆっくりと垂直効果を開始。

 すでに報告は届いているらしく、第二特科連隊長の五反田1佐が、私を出迎えてくれました。


「第1空挺団魔導編隊所属、如月弥生三等陸曹です。トムラウシ迷宮攻略任務遂行に来ました」

「ご苦労。第二特科連隊長の五反田宗次1佐だ。こちらからの指示はない、今回の作戦については全て如月3曹に一任するようにと畠山陸将から通達があった。その上で、何か協力できること、して欲しい事があったら遠慮く申し出て構わないのでね」


 五反田1佐の印象は、見た感じ、たたき上げの現場主義者という感じのも、気の良さそうなおじさん系です。そして彼の背後では、第二特科連隊も待機行動中であるらしく、観測隊などが望遠鏡で迷宮口付近の監視を続けています。


「現在の様子は、どのような感じでしょうか?」 

「トムラウシ迷宮口の周囲40m付近には、以前、新宿大空洞で確認されたゴブリン種が徘徊しているという報告は受けている。また、こちらの動向についても察知しているようだが、ここに向かってこないので戦闘待機状態のままで隊列を維持しているが」

「そうですね……恐らくは、この迷宮は生まれて間もないため、それほど魔素を噴き出していないのではないかと推測出来ます。というのも、邪妖精種は澱んだ魔素のある場所を好んでいるのですが、この野営指定地は魔素が澄んでいます。つまり、ここまでやってこれないというのが正解かと思われます」


 実際に、私が魔術を行使しなくても感知できる待機内含有魔素量を測ってみても、この野営指定地はかなり魔素量が少ない。

 これならここまで邪妖精種がやってくる事は無い、今の内は。

 ただ、あの迷宮入り口から噴き出してくる魔素がどの程度の濃度なのかによって、このあとの危険度が大きく異なってくる。


「では、直ちに迷宮討伐を開始するよう」

「はっ!!」


 さて、腕が鳴りますねぇ。

 そう思って魔法の箒に跨ろうとした時。


「待ち給え、自然界に存在する迷宮は、私たち迷宮管理特別委員会の監視下にあることを忘れてはいないかね?」


 ほら出た。

 思わず声の方角を振り向いてみますと、しっかりと防寒装備に身を包んだ、見た事のなおじさんおばさんが立っています。

 その向こうには、今到着したばかりの雪上車まで待機しているじゃないですか。


「あの、どちら様でしょうか? 私としては急ぎダンジョンコアを破壊しなくてはなりませんので、あまり時間を掛けていられないのですが」

「だから、勝手な事をされては困るといっているのだよ。先日の委員会での質疑応答以後、私たち迷宮管理特別委員会はいくつもの法案を提出して来た。その中には、迷宮管理について我々が主導権を得るという項目があるのを知らない筈が無いだろう?」

「知っていますよ」


 ええ、それはもう。

 草案が提出されるたびに都度、幕僚総監部に呼び出され、防衛省に呼び出され、幾つもの法案を推敲して却下して来たのですから。


「では何故、君は迷宮を破壊しようとしているのかね?」

「危険だからに決まっているじゃないですか」

「何故、あれが危険だと言い切れる?」

「邪妖精が危険だからですが? それとも、あれが危険ではないという根拠を示してくれますか?」


 そう告げると、おじさん議員がニイッと笑った。


「我々の委員会に所属している、モンスター関連の専門家の意見では。邪妖精は危険ではないという結論に達している。あれは生存している環境により大きく性質が変わる、ゆえに迷宮を支配し彼らにとっての生活環境を整えることで、邪妖精は邪悪な魔物ではなくなる……ということで、今の彼らに危険性はない。分かったら、とっとと帰りたまえ、君の仕事はないのだから」


 はぁ。

 これは参りました。

 まさか、日本語が通用しない存在が、国会議員に存在したとは。

 

「一つ聞いてよろしいでしょうか?」

「なんだね? 答えられる範囲でなら構わないが」

「その専門家の名前と経歴を教えてください」


 私ですら、完全に解析していない邪妖精の生体を詳しく知っている存在。

 それはつまり、私よりも上位の魔導師か、もしくは高位聖職者。

 上位冒険者という可能性もありますし、ひよっとしたら賢者なのかもしれません。


「東京のとある大学に所属する教授だ。生物学および幻想生態学を専攻している」

「幻想生態学? なんですかそれは?」

「教授が発案した分野で、既存の生態学に幻想種の生物の生態も取り込んだものだ」

「ああ……つまり、普通の日本人なのですね? 私たちのような異邦人(フォーリナー)ではないと?」

「当然だ」

「なんだ、素人でしたか」


 そう呟いとき、二人の議員は顔を真っ赤にして怒鳴り散らしています。

 まあ、何を話しているのかなんて興味がありませんので、フィルター掛けて聞こえなかったことにしましょうか。

 そしてゼイゼイと息を切らせたところでフィルターをカット。

 それじゃあ、ここからは私のターンです……もう、面倒くさいのでとっととこの件は終わらせましょう。


「私、如月弥生三等陸曹は、防衛大臣直下幕僚長より、直々にこのトムラウジ山迷宮の調査及び可能ならば排除を命じられております。故に、私を止めることができるのは防衛大臣もしくは私の直属の上司のみです。では、これよりトムラウジ山迷宮の破壊を開始します!!」


 ビシッと敬礼をしてから、私は駆け足でトムラウジ山の方角に走ります。


「ま、待て、まだ話は終わっていないぞ、そんな事をしていいと思っているのか!」

「第一空挺団は精鋭無比。日々、挺身赴難を常とし活動しています。名前も知らない委員会の方でも、この言葉の意味がわかりますよね! では、任務なので失礼します!」


 そう叫んでから、トムラウシ迷宮火口へと走りますが。。

 私の後ろで、五反田1佐が笑い声を殺しつつ何か叫んでいます。


『スキップしながら叫ぶな馬鹿たれ! 表の声と体の動きがバラバラだぞ!! この件も踏まえて、後ほど近藤陸将補には報告を行うからな!』


 しまった!!

 思わずスキップしていましたか。

 これはいけません、ええ、たとえ心がスッキリしても身体はしっかりと締めなくてはなりませんね。

 ちなみにまたしても後ろで何か叫んでいる方々がいらっしゃいます。

 まあ、無視して任務を終らせましょうか。

 すでに装備は魔導兵装、杖も装備しているのでさっそく攻撃開始です。


「七織の魔導師が誓願します。我が手の前に四織の黒雲を遣わせたまえ……我はその代償に、魔力2450を献上します。雷霆槍(サンダージャベリン)っ」


――バリバリバリバリバリバリッッッッッ

 目の前に出現した黒雲から、8本の雷を発生させました。

 今回は威力よりも数を重視、一瞬で雷は邪妖精種たちに向かって飛んでいき、その場にいる全ての邪妖精を貫きました。

 ええ、一瞬で炭化しましたよ、魔石も残りはしません。


――シュンッ

 そして再び魔法の箒に飛び乗ると、一気に上昇を開始したのち、迷宮口へ向かって高速でダイヴ。

 自然洞タイプかと思いきや、内部は重力変換された建造物型。

 新宿大空洞と同じように、石造りの壁や天井、床が広がっています。

 

「……まあ、これで迷宮が自然洞ではないことが理解できました。ということで、ここから一気に行きましょうか行きましょうか!!」


 迷宮管理特別委員会が何を言ってきたところで、何も怖いものはありません。

 ええ、『素人は黙っていろ』、ですよ。

 そのまま止まる事無く飛行を続け、道中で出現するミノタウロスタイプを焼き滅ぼして……んんん、ミノタウロスじゃない、レッサーデーモン種ですよ、4つ腕のサバトの黒山羊のようなタイプ。


――キィィィィン

 私が放った『爆炎の球体』をバリアのようなもので反射し、こっちに向かって返してきましたからね。しかも、そんなレッサーデーモンが三体も出現して、次々と魔法を行使してくるというのは想定外です。

 

「メェェェェェェ、メメェメェメェ!!」


――キィィィィィィィィィィィィン

 次々と私に向かって飛来する緑の葉っぱの形をした刃。

 これは風の精霊魔術、『疾風の刃』ですか。しかも多重詠唱で唱えているらしく、一度に3枚の刃を生み出していますよ。


「葉っぱカッターごときで、この私に傷をつける事が出来ると思わないでくださいねっ……」


 手にした杖の先から焔を噴き出し、葉っぱカツターを燃やします。

 更にその後ろから飛んでくる氷柱の矢に対しては、炎の壁で対応可能。


「七織の魔導師が誓願します。我が目の前に四織の壁を遣わせたまえ……我はその代償に、魔力1250を献上します……爆炎壁っっっっ」


――ゴゥゥゥゥゥッ

 地面から、もとい床から噴き出した爆炎の壁。

 これに阻まれて、氷柱の矢は一瞬で蒸発しました。

 

「うん、魔術の練りが甘いです、それにザコ勢力も強くない……生まれたての迷宮特有の、なんとなく生まれてきた守護者という所ですか……それでは、面倒なので先に進みますからねっ!!」


 魔法の箒の高度を上げ、一気に先に進みます。

 ええ、レッサーデーモンの頭上を通り抜ける瞬間に、奴らの頭上めがけて『爆炎焼夷弾(フレアナパーム)』を放ちました。


――ドッゴォォォォォォォォォォォォォォッ

 はい、爆音と熱風と爆発で、レッサーデーモンは影も形も残っていません。

 え、焼夷弾はナパームじゃない?

 そんな細かい所はツッコまないで下さい。今は時間が惜しいのですから。


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