表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雪姫

作者: 諫山菜穂子

歌舞伎三姫のうち雪姫を元にしたシナリオです。

○狩野雪村の屋敷・内

   屏風に絵を描く狩野雪村(70)。

   絵皿に乗せた色を筆の先に付け、屏風  

   に色を重ねる。

雪姫M「狩野派。室町時代から続く、代々、将軍家や時の武将に仕える、御用絵師の家柄である」

   屏風に、緻密な絵が出来上がって行く。


○同・外観

   屋敷の外、雪が降り積もる。


○同・部屋

   火鉢に火が焚かれる中、筆を手に墨絵  

   を描く、狩野雪村(70)。

   雪が降り積もる梅の木が、紙に現れ

   る。

それを見つめる、雪姫(10)と狩野直介(13)、狩野元秀(4)。

雪姫「やっぱり、お爺様の絵は凄いわ」

直介「ええ」

雪姫「まるで、梅の木が生きて息をしているみたい」

直介「本当に。さすが、室町幕府将軍、足

 利義輝お抱えの天才絵師、狩野雪村」

   ほうっと息を吐く雪姫と直介。

元秀「おじいしゃま、凄い!」

雪村「なに。祖父……伝説の絵師、雪舟にはかなわんよ」

   描き上がった絵をしみじみと見つめる

   雪村。

雪村「お前達も描きなさい」

雪姫「よおし」

   和紙に向い、絵筆を手にする雪姫と直介。

思い思いに絵を描く。

庭の外、降り積もった雪が木から落ちる。

   出来上がった絵を雪村に見せる、直介と雪姫。

雪村「直介の絵は……わしと同じく、庭の

 梅だな」

直介「はい」

雪村「元秀の絵は……」

   好きに線と丸をぐしゃぐしゃに描く元秀。

元秀「おじいしゃま!」

直介「元秀、お前、お爺様を描いたのか?」

元秀「はい!」

   元気良く答える元秀。

雪村「おお、わしを描いてくれたのか。ありがとうよ、元秀」

   雪村、元秀の頭を撫でる。

雪村「どれ、雪姫の絵は……」

雪姫、嬉しそうに鼠が描かれた絵を見せる。

雪姫「鼠です!」

雪村「ふむ」

   雪姫の描いた絵をじっと見る雪村。

雪村「まだ、修行が足りんな」

雪姫「え~」

   雪村、元秀を抱き締めて撫でる。

   嬉しそうにはしゃぐ元秀。


○京都・表の通り

   人々が行き交う中、雪姫と直介、並

   んで歩く。

自分が描いた鼠の絵をとても気に入って見つめる雪姫。

雪姫「結構、頑張って上手く描いたつもりだったのだけれど」

   溜息を吐く雪姫。

雪姫「ああ、私もお爺様みたいに、生きてる

 ような絵が描きたいな」

直介「雪村様みたいになるまでには、もっ

 と修行が必要だよ」

雪姫「直介は、従兄なのにまるで兄のように私にものを言うのね」

直介「悪い?」

雪姫「別に、悪くはないけれど」

   微笑む直介。

直介「絵手本の絵を描けるようになったり、様々な筆法を会得しないと」

   宙に指で描く直介。

直介「墨一色の墨絵でも、濃淡とか、にじみとかかすれとかね」

雪姫「まあね」

直介「雪姫の絵は上手いと思うけれどね」

   雪姫、唇をとがらせる。

雪姫「でも、普段は、お爺様は上手い上手いって褒めてくれるのよ」

直介「今回は少し辛口だったんだよ」

   直介、宙に絵を描く。

直介「四君子、覚えてる?」

雪姫「覚えてるわよ。えっと」

   雪姫、指で数えながら言う。

雪姫「春は蘭、夏は竹、秋は菊、冬は……」

直介「冬は?」

   少し考え込む雪姫。

雪姫「冬は梅!」

直介「正解!」

直介「じゃあ、色の名前、幾つ言える?」

雪姫「え、待って。えっと……」

   考え込む雪姫。

雪姫「深藍、紺、花葉色、刈安、梅染……」

   ふと、風が吹き鼠の絵が飛ばされる。

雪姫「ああ、私が描いた鼠が!」

   絵を追い掛ける雪姫。

   鼠の絵を、農民のような格好の小一郎(15)が拾い上げる。

小一郎「なんじゃ。この絵は。上手いけれど

 下手くそだな」

雪姫「なっ!」

   雪姫、衝撃を受ける。

雪姫「わ、私の絵、返して下さい!」

   小一郎、絵を雪姫に返す。

直介「雪姫、絵を褒められてばかりで、けなされることに馴れてないからな」

   小一郎の傍にいる足軽の男が、小一郎に言う。

足軽の男「おい、小一郎。その娘さんは、将軍、足利義輝様のお抱え絵師、狩野雪村の孫娘、雪姫様だぞ」

小一郎「えっ。す、すみません、御無礼を」

雪姫「いえ。いいのです。別に。行きましょう、直介」

   雪姫、小一郎から絵を返して貰う。

   小一郎、去って行く雪姫に言う。

小一郎「でも、私はその絵、好きですよ。雪姫」

   雪姫、驚いた顔で小一郎を見る。

   そして、少し恥ずかしそうに顔を赤らめる。

雪姫「あ、ありがとう。貴方は」

小一郎「尾張を統べる主君に付き従う足軽です」

雪姫「足軽?」

小一郎「ええ。主君が此度、京の都に上洛したのでついて参った次第でございます。御無礼をお許しください」

   頭を下げて去ってゆく、小一郎。

   その後ろ姿をじっと見つめる雪姫。


○同・曲がり角

直介「あの者、近頃、京の都にやって来た尾張から来た武将に仕えていると言っておりましたね」

雪姫「ええ」

直介「その武将、多分、今、都で大うつけと噂の武将ですよ」

雪姫「大うつけ?」

直介「余り近寄らない方がいいですよ」

雪姫「そうかしら」

   雪姫、鼠の絵を見て溜息を吐く。

雪姫「私の絵って、下手くそかしら」

直介「そのようなことはないですよ」

雪姫「本当?」

直介「多分」

雪姫「多分ってどういうこと」


○狩野雪村の屋敷・部屋

絵筆に炭を付け、木の枝に留まっている鳥の絵を描く雪姫。

傍には、ぐしゃぐしゃに丸めた失敗作の山。


○回想・京都・表の通り

   雪姫が描いた絵を片手に、ふてぶてしく言う小一郎。

小一郎「なんじゃ。この絵は。上手いけど下

手くそだな」


○元の狩野雪村の屋敷・部屋

   ムッとした顔の雪姫。

雪姫、絵筆を片手に、庭の外を見つめながら絵を描く。

丁寧に一枚一枚羽根を描いて行く。

雪姫M「(ああ、思い出しただけで腹が立つ)」

   絵筆を置き、描き上がった絵を手に遠目で見つめる。

   庭の外で留まっていた鳥は羽ばたいて行く。

雪姫「駄目ね」

   絵をぐしゃぐしゃと丸め、脇に投げると、再び紙を取出して絵筆を手に取り、筆先に墨をつける。

雪姫M「あんなこと言われるようじゃ、私、

まだ駄目なんだわ。絶対にもっ上手くな

ってやるんだから」

  雪姫、庭の外に立つ雪が降り積もる梅の木を見上げる。

雪姫M「今度はあの梅の木を描くか)」

   黙々と絵を描き続ける雪姫。

雪姫「……ふう」

   やがて、もう一匹鳥が来る。

雪姫M「今度はあの鳥を描こう」

だが、雪姫が絵を描いている途中で、木の枝に留まっていた鳥は羽ばたいて飛んで行ってしまう。

雪姫「ああ、途中だったのに……」

   雪姫、溜息。

部屋に雪村が入って来る。

雪村「煮詰まっているようだな、雪姫」

雪姫「お爺様」

   雪姫、雪村を見上げる。

   雪村、雪姫を見つめて口角を上げる。

雪村「ひとつ、話をしてやろう」

雪姫「話ですか?」

   雪村、雪姫の前に坐る。

雪村「わしの父、雪舟は知っておるな」

雪姫「ええ。伝説の天才絵師ですよね」

雪村「父、雪舟は昔、吉備の国にある宝福寺という寺に入れられた」


○宝福寺・外観

   寺の外、荷物を手に立つ雪舟(5)。

○元の狩野雪村の屋敷

   雪姫を見つめる雪村。

雪村「だが、絵ばかり好いて経を読まんので、ある日、寺の僧に怒られて、お堂の柱に縄で縛り付けられてしまった」


○宝福寺・境内

   他の写経する坊主の中で、絵を描く雪舟。それを腕を組んで怒りながら見下ろす僧。


○同・お堂

   お堂の柱に一人、縄で縛られる雪舟。

雪村の声「夕方頃、その寺の僧は床に鼠を見つけて、捕まえようとした。だが、鼠は動かなかった。その鼠は、雪舟が自分の零した涙を使って、裸足の爪先で描いた絵だったのだ」



○宝福寺・境内

   鼠を捕えようとする僧。

良く見ると、水滴で描かれた鼠。

涙を零しながら柱に縛り付けられている雪舟。


○元の狩野雪村の屋敷

雪村「そして、その僧はその鼠の余りの見事さから、雪舟に絵を描くことを許した」


○宝福寺・境内

   筆を手に、笑顔で絵を描く雪舟。

○元の狩野雪村の屋敷

雪村「父は、自分が描いた鼠に助けられたのだ。雪姫、お前も自分が好きな絵を描け」

   雪村、雪姫の頭を撫でる。

雪姫「お爺様……。はい、ありがとうございます」

   嬉しそうに笑う雪姫。

○同・部屋

   絵筆を手にする雪姫。

   描かれる鳥の絵。


○同・庭

   桜が散り、青葉が茂る。

やがて、葉が赤く染まり、散って行き、白い雪が降る。

   その間、ずっと絵筆を動かし続ける雪姫。

   少しずつ、育ってゆく雪姫。

   絵皿に乗せられた様々な色。

屏風に向う雪姫。

屏風に、見事な鳥の絵を描く雪姫。


○同・部屋

   幼い頃より、ずっと上手く緻密に描かれる様々な絵。

   絵筆を手に持つ雪姫(20)。

雪姫「ふう」

   汗を拭って、絵筆を置く。

   絵を持って見つめる雪姫。

雪姫「随分、マシになったわね」

絵の束を持って部屋に入って来る直介(23)と元秀(14)。

元秀「雪姫、また絵の練習ですか」

   雪姫、顔を上げる。

直介「精が出るな、雪姫」

雪姫「ええ」

   庭の外、梅の木は白い花が咲きこぼれ 

   どこかからウグイスが鳴いている。

雪姫「鳥が逃げても、絵を描けるようになったわ」

直介「それは良かった。私も頑張らねば」

元秀「兄上だって、父上と一緒に、将軍様に拝謁なさったじゃないですか」


○室町御所

   父と共に、将軍、足利義輝に拝謁する直介。

○元の狩野雪村の屋敷

直介「まあね。狩野家は代々将軍家に仕えている絵師の家系だから。お前もその内に謁見することもあるよ。元秀」

   元秀の頭に手を置く直介。

元秀「そうでしょうか。私も屏風に絵が描けるようになるでしょうか」

直介「その内に、有名な武将に自分を描いてくれって頼まれるようになるさ」

元秀「だと良いのですが」

雪姫「なるわよ」

直介「雪姫も、狩野の姫君だ。今は私も雪姫も、将軍家お抱えの絵師だ」

雪姫「でも」

直介「なに」

雪姫「私、描けない絵があるわ」

直介、目を細める。

俯く雪姫。

雪姫「直介、貴方はお爺様に見せて貰ったのでしょう。お爺様が龍の絵を」

直介「……ああ」

雪姫「私、龍の絵を見せて貰ったことがないの。手本を見たことがないから、龍の絵も描けない」

   悲し気に瞼を伏せる雪姫。

雪姫「これって少し酷いと思うの。お爺様は何故、私に龍の絵を見せてくれないのかしら」

元秀「私もありませんよ」

雪姫「元秀は元服もまだじゃない」

元秀「そうですけど……」

   直介、言おうか戸惑うが、心を決め   

   たように言う。

直介「昔、雪姫のお父上が殺された事件があったろう」

雪姫「……ええ」

直介「犯人は、夜中にこの狩野雪舟の屋敷に忍び込んで、龍の手本を盗み、そのときに雪姫のお父上を殺して、逃げたんだ」


○同(夜)

   屋敷に忍び込み、何かを手にとる忍び。

雪姫の父「何者だ!」

その忍びは刀を抜き、雪姫の父を刺殺す。

雪姫「ああっ」

   屋敷から逃げ出す忍び。



○元の狩野雪村の屋敷

直介「雪村様は、雪姫の身を危険に晒すまいと、敢えて龍の絵を見せないんだよ。元秀。お前もだ」

雪姫「そうかしら……。結局、私の絵って下手くそなんじゃないかしら」

直介「そんな、昔にどこぞの馬の骨ともわからない奴に言われたことをいつまでも引き摺って。雪姫はこれまで、ずっと、僕達と共に、様々な手本映しや筆法を習って来たじゃないか」

雪姫「そうだけれど……」

元秀「僕もお爺様が描いた龍の絵を見てみたいですけれどね」

   雪姫、溜息を吐く。

直介「それより、雪姫」

   雪姫、目を上げると、直介が真剣な眼差しで雪姫を見つめる。

雪姫「何?」

直介「僕達もいい年頃だ。僕は、君と祝言を挙げたいと思うのだけれど……」

雪姫、驚いた表情で直介を見つめる。

雪姫「私、貴方をそんな目で見たことなかった……」

   困った顔の直介。

直介「駄目かな。僕達は従兄弟同士だけれど……」

   黙り込む雪姫。

   二人を見つめる元秀。

元秀「兄上、急いては雪姫に申訳ないですよ」

直介「ああ、そうかな」

   元秀、雪姫にお辞儀をする。

元秀「それでは、僕は実家に戻りますから。兄上はこちらでまだ暫く絵を描いているのでしょう」

直介「ああ、仕上げたい絵があるからな」


○室町御所(夜)

   酒の席。

将軍、足利義輝が坐し、酒を飲み、雪村も跪いて酒を賜っている。

将軍「狩野幸村よ。金閣寺の天井に龍の絵を

描いて欲しいという、わしの願いを受け入

れてくれるか」

雪村「は、将軍様。ありがたいお言葉にございます。この雪村、見事に金閣寺の天井に 

 龍を描いてみせましょう」 

   杯に口を着けながら、雪村は雪姫に思いを馳せる。

雪村M「この大仕事が終ったら、雪姫に金閣寺にて……わしが描いた龍の絵を存分に見せてやろう」

   雪村、杯の酒に映る自分の顔を見つめる。

雪村「あいつは、ずっとわしが描いた龍の絵を見たがっていたからな」

   賑やかに笑い声が響く中、突然、刀が抜かれる音と、悲鳴が上がる。

   驚き、顔を上げる雪村。

   目の前に血飛沫が走る。

   将軍、足利義輝が血を吐きながら倒れ、

   その傍に松永久通(22)が刀を抜いて不敵な笑みを見せて立っていた。

   刀がぎらっと光る。

傍で松永大膳(55)が笑って立っている。

   人々の悲鳴。

男A「松永大膳! 貴様、どういうつもりだ!」

   松永大膳、松永久通の後ろ、刀を抜いた武士達が一斉に斬りかかる。

逃げ惑う人々。

   雪村にもぎらついた刃先が迫る。


○狩野雪村の屋敷

   絵筆を手に絵を描いていた雪姫。

何かを感じて顔をあげる。

   庭の梅の木から、花弁がはらはらと落ちる。

雪姫「何、この感じ……」

   松明を手にした兵士達が、屋敷を取り囲む。

使用人達が悲鳴を上げる。

男B「何者だ!」

   どすどすと男達が屋敷に足を踏み入れる。

   雪姫の部屋も襖が開かれ、庭からも兵士達が入って来て取り囲む。

   驚いた顔の雪姫。

絵筆を落とし、硯から炭が絵に零れる。


○同・庭(夜)

   縄で縛られた雪姫と直介。

直介「貴様ら、一体何のつもりだ!」

鬼藤太(53)が兵士に言う。

兵士A「足利義輝将軍の母君、慶寿院様は自害しかけたところを捕えたとのことです」

鬼藤太「うむ」

   鬼藤太、雪姫と直介を見下ろす。

鬼藤太「天才絵師、雪舟の子孫であるこの二人は、慶寿院と共に金閣寺に連れて行けとの兄上の命だ」

兵士A「はっ」

   悔し気な顔で睨みつける、雪姫と直介。

鬼藤太「何だ、その顔は」

   直介を蹴り飛ばす鬼藤太。


○同・外観(朝)

   戸口が壊されている。

驚いた顔で、立ちすくむ元秀。


○同・中

   屋敷内に踏み込む元秀。

   使用人が切り伏せられている屋敷内。

   館中、破壊され、襖が壊され、おびただしい血の痕。

   驚き、目を開く元秀。

元秀「兄上! 雪姫! お爺様! どこです

 か!」

○同・外観

元秀「お爺様! 雪姫! 兄上!」


○金閣寺・外観(昼)

   中庭に満開の桜が咲き誇り、滝が流れ  

   る金閣寺。


○同・庭

   縄で縛られた直介。

   松永大膳と松永久通、鬼藤太がその前に立つ。

松永大膳「狩野雪村は死んだ。だが、この金閣寺の天井に龍の絵が欲しいという、足利義輝の想いはわしもわからんでもない」

   じろりと大膳を睨む直介。

   直介を見下ろす、松永大膳。

松永大膳「どうだ。狩野雪村の弟子、狩野直介。そなたならば、龍の絵を描けるであろう」

直介「ああ、私は龍を描くことが出来る。狩野雪村から龍の絵を見せて貰ったことがある故にな。だが、天下の大罪人である貴様らのためになんぞ描くつもりはない」

松永大膳「そうか。ならば死ね」

   鬼藤太、刀を抜き、直介を斬り捨てる。

直介「ぐわあっ……」

   血を吐きながら倒れる直介。

松永大膳「この金閣寺を血で汚しとうはない。

 鬼藤太、この躯を外へ捨てて参れ」

鬼藤太「はっ」

   鬼藤太、直介の躯を抱え、出て行く。


○同・外

   どさりと捨てられる、直介。

直介「うう……」

   直介、呻くが鬼藤太は気付かず金閣寺へ戻る。


○同・庭

松永久通「それでは父上。私は御所に戻りま

 す。三好三人衆と話がありますからな」

松永大膳「うむ。御所はお前に任せる」


○同・外   

馬に乗り、去って行く松永久通。


○同・庭

   何かを考えている松永大膳。

松永大膳「さて……」


○同・二階の奥座敷

   慶寿院が坐り、傍仕えの女が寄越され  

   て傍にいる。

慶寿院「私は何も話しとうない!」


○同・一階の奥座敷

   じっと黙り込んでいる雪姫。

雪姫「何故、こんなことになってしまったの」

   松永大膳付きの兵士、軍次(23)がじろ

   りと雪姫を睨む。庭で咲き初めの桜の

   花が開いている。

   ×   ×   ×

   桜が満開になり、花弁が散る。


○狩野雪村の屋敷(外観)

   げっそりとした表情の元秀。

   元秀に、此下東吉(25)が話し掛ける。

此下「少し聞きたいのだが」

元秀「少し前にも、そう聞いて来る人がいま

 した」

   此下、屋敷を見上げる。

此下「ここは、将軍のお抱え絵師、狩野雪村の屋敷と聞いたが」

   元秀、首を振る。

元秀「祖父、雪村も、兄、直介も、従姉の雪姫もここにはいません。松永大膳に捕らわれたのです。慶寿院様と共に」

此下「ふむ」



○金閣寺・外観

   桜の花弁が舞う金閣寺。


○金閣寺・庭に面した部屋

   碁を打つ松永大膳(55)と、その弟、鬼藤太(53)。

   松永がパチンと碁盤に決め手を打つ。

松永「私の勝ちだな」

鬼藤太「さすがは兄上」

   ふふっと笑う、松永と鬼藤太。

松永「さて、捕らわれの姫君の様子でも見て

来ようかな」

  立ち上がる松永。

鬼藤太「まだ、雪姫は言うことを聞かぬのですか」

松永「ああ。だが、私の言うことを嫌でも聞かぬわけにはいかぬであろう。私は、雪姫が好いておる男、狩野直介も捕えてあると思い込んでいるからな」

鬼藤太「もう既に殺されているというのに」

松永「哀れなものよ」

   松永は、奥座敷へ向かう。


○同・奥座敷

   松永が廊下から、奥座敷へ続く障子を開けると、中には雪姫(17)が正座をしている。

松永「まだ、私の言うことを聞く気にはなら

んか」

  黙って、松永を睨みつける雪姫。

松永「私の妻になれ。そして、この金閣寺の天井に龍の絵を描け。高名な絵師、雪舟の子孫であり雪村の娘にして弟子。女絵師、雪姫」

   雪姫を見て、笑みを浮かべる松永。

松永「そなたならば、この金閣寺に素晴らしい龍を現すことが出来るであろう」

   だが、雪姫は顔を反らす。

雪姫「……嫌でございます」

松永「ほう、嫌と申すか」

雪姫「ええ。嫌でございます」

   雪姫は松永を睨む。

雪姫「松永大膳殿。そなたは将軍様と祖父を殺して、慶寿院様をもこの金閣寺に捕えていると聞きました。そなたが天下の大罪人だということぐらいは、今、私にもわかります。お前の言うことなど聞きたくはありません」

松永「くっ……はっはっはっは」

   愉快そうに笑う松永。

松永「雪姫。そなたは自分の立場を理解しておりませぬな」

   松永、雪姫に顔を近づける。

松永「いつまでも、その頑なな態度を崩さぬのならば、雪姫。私は、そなたの恋人、狩野直介を殺しても良いのですよ」

   雪姫、目を開いて松永を見上げる。

雪姫「やめて下さい! 彼は大切な幼馴染なのです」

松永「そなたと慶寿院だけでなく、狩野直介の命も私の手中にあるのだと、ゆめゆめお忘れなきよう」

   松永、立ち上がり、障子を開いて出て行く。

唇を噛みしめ、拳を握る雪姫。


○同・廊下

   松永が庭に面した廊下を歩いていると、

   家来である軍次が来て、膝を付く。

軍次「殿。武将、尾張の武将だという、小田

春永の家来である此下東吉という男がや

って来ております」

松永「此下東吉?」

軍次「はっ。影の者でしょう。何やらお館

様にお仕えしたいと申しております」

松永「小田春永……ふん、聞いたことがないな」

軍次「どうやら、小田春永は織田信長付きの武将であるようですが」

松永「ふむ……」

   ニヤリと口許に笑みを浮かべる松永。

松永「気晴らしに会っても良い。通すが良い」

軍次「はっ」


○同・庭

   影の者らしき此下東吉(28)が、膝を付いている。

松永「何用だ」

此下「はっ」

   此下、頭を下げる。

此下「松永大膳様が、景気が良いという話を

 聞き及びまして」

松永「ほう」

此下「我が主君、小田春永はどうも「うつけ」

だと、評判が悪く。することも甚だ愚か」

松永「うつけとな」

此下「はっ」

   此下、松永を見上げる。

此下「私はそんな主君よりも、是非、松永大膳様にお付き従いたいのです」

松永「ふむ」

   松永、じろりと此下を見下ろす。

松永「私に付き従いたいと申すか」

此下「はっ」

松永「ならば、私と碁を打って勝ってみよ。

 私に勝てたら、お主を我が忍びとして使うことも考えてやろう」

此下「はっ。ありがたき幸せに存じます」


○同・二階の奥座敷

   松永の傍女が食事を出すが、慶寿院はそっぽを向く。

慶寿院「このような不味い飯は食べません!」

傍女「慶寿院様……」

慶寿院「私は息子を殺されたのじゃ。悲しみの余りに、このような粗末な飯は咽喉を通らんわ!」


○同・一階の奥座敷

   筆を手に、桜の絵を描く雪姫。

傍女「まあ、雪姫様はさすが絵師なだけあって、絵がとても上手いのですね」

雪姫「他にすることもないし、松永大膳が絵でも描いてろと言うから。本当はあの者に言われて描くなんて嫌だけれど」

   風が吹いて、絵を描いた紙が飛ばされ

   る。

   じろりと軍次に睨まれる雪姫。

   憂いを込めた瞳で、庭の桜を見つめる

   雪姫。

兵士達の中で、松永大膳に連れられ、庭を横切る此下東吉を見つける。

雪姫「あの人、どこかで見たことがある気がする……」

   此下東吉、絵を拾って手に取り、呟く。

此下「上手いけれど、下手くそな絵じゃな」

鬼藤太「此下東吉。碁盤を用意したゆえ、こちらへ来るが良い」



○同・部屋

   囲碁を挟んで向い合う、松永と此下。

   庭で桜がはらりと花弁を散らす。

   滝の音が聴こえる。

×   ×   ×

   碁盤に桜の花びらが散り落ちる。

碁盤、松永の陣地が此下の打った石に囲まれている。此下の勝ち。

此下「私の勝ちですな」

   悔し気に顔を歪める松永。

此下「それでは、是非、私を……」

   だが、松永は碁盤を手に持ちあげ、庭へ行き、井戸の中に碁盤を投げ込んでしまう。

此下「松永様……」

松永「ふん」

此下「何ということを……」

松永「この碁盤を、手を水で濡らさずに取り

上げることが出来れば、お主をわしの忍び

に任じても良い」

此下、暫く思い悩む。

松永「出来ぬであろうな」

だが、此下、庭に流れる滝に目をやって言う。

此下「わかりました。手を濡らさずに見事、碁盤を井戸から取上げて見せましょう」

松永「ぬっ」  

此下、金閣寺の雨樋をバキバキと外すと、庭に流れる滝へ雨樋を持って歩く。

そして、雨樋の片方を井戸の中へ、もう片方を滝へ通す。

すると、井戸に滝の水が流れ、水位が上がり、碁盤が浮んで井戸の上に現れる。見事、手を濡らさずに碁盤を取上げる此下。碁盤を松永に差し出す。

松永「うっ、……うぐぐ……」

鬼藤太「兄上……」

此下「これで、私をお取立て下さいますね」

松永「う……うむ。何と、機転の利く奴よ」


○同・座敷内

   金閣寺の中を歩く此下。


○同・二階・奥座敷

   此下が二階へ上がると、慶寿院(51)の

 声が聞えて来る。

慶寿院「私は良い!」

此下「……」

慶寿院「私は良い。雪姫という娘を……雪村

 の孫娘を助けなさい。婚約者が死んだとい

 うのにまだ生きていると思い込んでいると

 聞く。余りに哀れです」

傍女「慶寿院様、落ちついて下さりませ」


○同・一階・奥座敷

   そっと雪姫の様子を覗う此下。

此下「貴方の想い人は殺されている」

   雪姫、はっとして此下を見つめる。

   そして怪訝そうに言う。

此下「貴方は……」

此下「新しく、松永大膳様に仕えることになった忍びです」

雪姫「直介が殺されたというの」

此下「既に」

   雪姫、此下を睨み上げる。

雪姫「信じません。それに何故私に教えてく 

 れるの」

   此下、何も言わずに去る。

   雪姫、拳をぎゅっと握りしめる。

雪姫「直介が死んだなんて……」


○同・一階・奥座敷

   決意した表情の雪姫。

雪姫、宛がわれた傍女に言う。

雪姫「松永大膳をお呼びなさい」

   松永大膳、奥座敷にやって来る。

松永「どうじゃ、雪姫。気は変わったか」

雪姫「私はそなたの妻になります。その代わ

り、狩野直介と慶寿院様を助けて下さい」

松永「良かろう」

雪姫「でも」

   雪姫は松永を睨む。

雪姫「私は金閣寺の天井に龍を描くことはできません。手本がないからです」

松永「手本?」

雪姫「手本は昔、盗まれました。そのとき、盗人に父も殺されました」

松永「手本か。ならば、見せてやろう」

   松永、ニヤリと笑う。

松永「こちらへ来なさい。雪姫」


○同・庭・滝の前

   滝の前に立つ、松永と雪姫。

   傍に、鬼藤太が控えている。

   松永は腰に差していた刀を抜き、滝の傍にあて、日の光を反射させる。

   すると、滝に龍の絵が浮かび上がる。

   雪姫、はっとして龍の絵を見つめる。

雪姫「これは……」

松永「ふふふ……」

雪姫「我が一族、伝家の宝刀、俱利伽羅丸!」

松永「どうだ。この刀は光を当てると龍を浮かび上がらせることが出来るのだ。これで金閣寺の天井に龍を描くことが出来るだろう……」

   雪姫、松永を睨む。

雪姫「父を殺し、俱利伽羅丸を奪ったのは」

松永「私だ」

   雪姫、カッと目を見開き、松永の手から俱利伽羅丸を奪い、松永に斬りかかる。

雪姫「父と祖父の仇!」

   だが、鬼藤太が雪姫を捕える。

   雪姫の手から俱利伽羅丸が落ちる。

雪姫「離して!」

松永「雪姫を、桜の木に縛り付けておけ」

鬼藤太「はっ」


○同・庭・桜の木の下

   桜の木に縛られた雪姫。裸足。

雪姫「ああ……どうしたらいいのかしら」

   桜の花弁がはらはらと散る。


○同(夕)

   夕日が差し込む。

桜の花弁がはらはらと落ちる。

項垂れた雪姫。

   ふと、祖父、雪村の言葉を思い出す。


○回想・狩野雪村の屋敷

雪村「父は自分が描いた鼠に助けられたの

 だ。雪姫、お前も自分が好きな絵を描け」

   雪姫の頭を撫でる雪村。


○元の金閣寺・庭・桜の木の下

雪姫「鼠か……」

   雪姫、地面に落ちた桜の花弁を見つめる。

   はらりと一枚、花弁が枝から落ちて重なる。

雪姫「鼠が現われて縄をかじってくれたらい

いのに」

   雪姫、裸足のつま先で、そっと桜の花びらを寄せる。

一枚、一枚、丁寧に地面に並べ、やがて鼠の形になる。

雪姫「貴方が現われて、縄をかじってくれた

ら……」

  そう言うと、桜の木の下に風が巻き起こり、桜の花片で描いた鼠が、本物の

  鼠に変わる。

雪姫「えっ!」

鼠「ちゅう」

   鼠をじっと目を開いて見つめる雪姫。

   鳴くと、鼠は雪姫を縛っていた縄に噛

   り付く。

やがて、縄は咬み切られ、雪姫は縄を解かれる。

すっかり驚いている雪姫。

雪姫「ああ、こんなことって。あるのかしら」

鼠「ちゅう」

   鼠、鳴くと桜の木の洞から、鼠が二匹現れて、三匹揃って鳴く。

雪姫「鼠さん、あなた達、桜の洞に住んでい

 たのね。ああ、驚いた。でも、ありがとう。

 鼠さん」

   走り去る鼠。

  雪姫も、その場から逃げ出す。

  だが、それを、見張っていた鬼藤太が見つけて、追い掛ける。

鬼藤太「待て!」

   だが、此下が現われる。

   鬼藤太、刀を抜くが、此下も刀を抜き、鬼藤太と切り結ぶ。

騒ぎを聞きつけた松永、驚く。

松永「お前ら! これはどういうことだ!」

雪姫「貴方は……」

此下「天下のうつけ、小田春永……織田信長

 公に仕える木下小一郎長秀という。慶寿院

 様を助け出すよう仰せつかったのだ」

   松永が此下に向けて刀を抜くが、軍次が刀を抜き、松永と刃を合わせる。

松永「軍次……。貴様!」

   ふっと笑う軍次。

軍次「私は柴田勝家。私も信長公の命でここにいる。雪姫。狩野直介は既に松永大膳と鬼藤太に殺された」

   雪姫、はっとして辛そうに言う。

雪姫「そうですか。直介は……」

軍次「申し訳ないが」

   雪姫、悲し気だが、首を振る。

雪姫「お二方、助けて下さり、ありがとうございます」

松永「ええい、誰かおらぬのか! 誰か! この者どもを斬り捨てよ!」

   松永が叫ぶが、兵士達は半分は言うことを聞かない。

松永「こいつら……」

   ニヤリと笑う軍次。

軍次「半分は、此下と私が潜らせた奴だ」

松永「おのれぇ~!」

   兵士達、松永を取り囲む。

だが、半分の松永の兵士達が刀を抜き、競り合う。

此下と軍次は目を合わせると桜の木を登り、慶寿院が捕まっている奥座敷へ入る。


○同・二階・奥座敷

慶寿院「おやおや、何の騒ぎですか!」

軍次「慶寿院様、しばし耐えて下され」

   慶寿院を抱える軍次。


○同・庭

慶寿院を抱えて、逃げ出す軍次。

此下も雪姫に手を伸ばす。

此下「さあ、雪姫。参りましょう」

雪姫「はい」

   此下に手を伸ばす雪姫。

   兵士が馬を二頭連れて来て、軍次は慶

   寿院を乗せて走り、此下は雪姫を乗せ

   て共に走り出す。

松永「貴様らぁ~!」

此下「松永大膳よ。この次は戦場で会おうぞ!」

   金閣寺から去って行く四人。


○荒野

   二頭の馬が走って行く。


○山中

   途中、馬を休ませ、木の根本で休む四人。

慶寿院「そなた達、似合いですよ」

此下「え」

雪姫「そんな」

   顔を見合わせる此下と雪姫。

此下「共に来ますか。雪姫」

   雪姫は少し迷ったが、頷く。

此下「そう言えば、雪姫。私は昔、貴方に会

 ったことがあります」

雪姫「えっ」

此下「桶狭間の前。信長公が初めて京に御上

 洛なされたとき。私は京の都で貴方の絵を

 拾って……『上手いけど下手』とか言った

 記憶が」

雪姫「あ、あ~! 貴方、あのときの!」


○回想・京都・大通り

   雪姫の絵を拾う小一郎。

小一郎「なんじゃ。この絵は。上手いけど下

手くそだな」

雪姫「なっ!」

   雪姫、衝撃を受ける。

雪姫「わ、私の絵、返して下さい!」

   小一郎、絵を雪姫に返す。


○元の山中

   雪姫、膨れるが、少し肩を落とす。そして、少し向こうに見える桜の木を見つめる。

雪姫「私は貴方に言われてから、生きた絵が

描けないんじゃないかと、ずっと悩んでお

りました。けれど……」

   足元に咲く、小さな花に手を触れて雪姫は言った。

雪姫「私は、自分が描いた絵に救われました。

 祖先、雪舟がそうであったように」

   暫く沈黙が訪れる。

慶寿院「ねぇ、貴方達、添い遂げておしまい

なさいよ。それがいいわ」

   雪姫、此下と視線を交し、苦笑いをする。

溜息を吐く軍次。

軍次「婚約者を失ったばかりなのでしょう」

雪姫「婚約者というわけでは……。でも、直介は、大切な幼馴染でした」

   悲し気に目を伏せる雪姫。

雪姫「少し、考えさせて下さい」

慶寿院「尼にでもなるつもりか?」

雪姫「はい……。叔母が法華寺にいますので、もし、生きて金閣寺を出られたならば、そちらで尼にでもなろうかと思っておりました」

此下「そうしたいならば、そうするが良い。わしも、頃合いも見て会いに行こう」

慶寿院「おお、それが良い」

軍次「勝手にやってくれ。私は尾張に戻る」

   軍次、肩を竦める。



○狩野雪村の屋敷・外

   傷を負いながら、屋敷に帰る直介。

   直介を見つけて、駆け寄り、抱きしめる元秀。

雪姫M「実は直介は生きており、室町御所

 の狩野家に命からがら、逃げのびた」


○同・部屋

雪姫M「直介は狩野永徳として絵師として

の地位に戻った。そして、存分に腕を振る

った」

   絵筆で掛け軸に絵を描く直介。


○安土桃山城

   徒党を連れて、壁画を描く直介。

雪姫M「狩野永徳となった直介は、安土城や

大阪城の壁画などを手掛けた」


○同・本丸

   目の前に織田信長。

   怯えながらも、織田信長の絵を描く元秀。

雪姫M「元秀は狩野宗秀と名乗って、のちの世にも有名な、織田信長公の絵を描いた」


○桜の木の下

   桜の木の下で、微笑む雪姫。

   隣に此下。

雪姫M「私は、法華寺で尼になった」



○法華寺・外観


○同・境内

   尼となった雪姫。

筆を動かし、屏風に絵を描く。

雪姫M「私は、法華寺でも、良く絵を描いた」

   満足気に屏風を見つめる雪姫。

   そこには、花弁が舞い散る桜の木と三匹の鼠の絵。


○同・庭

雪姫M「そして暫くの間、私は此下東吉と……

長秀と逢引を重ねていた」

   此下と逢瀬を重ねる雪姫。

雪姫M「のちに、木下小一郎長秀は豊臣秀長

と呼ばれる。豊臣秀吉の、実の弟である。

私はやがて、彼の妻となった」


○大阪城

   豊臣秀吉に仕える、此下こと豊臣秀長。

○同・天守閣

   天守閣から外の景色を見つめる雪姫。

雪姫M「都の騒ぎが収まってから、私は直介

と元秀と再会した」


○狩野雪村の屋敷

   再会を喜ぶ、雪姫と直介と元秀。


○同・内

   描き掛けの屏風絵。

   傍には色が付いた絵皿と絵筆。

雪姫M「それからも数百年、狩野派は御用絵

師として、江戸幕府でも重用された」

(終わり)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ