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今日も今日とて、姉に良く似た小生意気な姪っ子は、どういうわけか改まって頭を下げていた。
「おじさん、私におかし作りを教えてください」
「……改まってどうしたよ。別に教えるのはいいけどさ」
「今日、学校のテストが返ってきました」
「……? うん」
「埋めてしまおうかというくらい酷い点だったので、お母様のご機嫌取りをしないといけないのです。さもなくば、毎日勉強漬けにされてしまいます。実質、虐待です。お母様を犯罪者にするわけにはいきません」
「うん、その心配はいらないな。というか、おとなしく勉強すれば?」
「嫌です。たとえどれだけ辛い思いをしたとしても勉強はしたくありません。勉強するくらいならおじさんとお風呂に入った方がまだましです」
「なんで俺のことを不用意に傷つけるの? というかそれが教えてもらう態度か」
「この際、おじさんが作ってくれても一向に構いませんよ」
「こいつほんとダメだ。なんとかしないと」