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今日も今日とて、姉によく似た小生意気な姪っ子は、一仕事終えて帰ってきた家主をまるで不審者を見るかのような目で見て首を傾げる。
「……冒険者ごっこですか?」
「冒険者まで出てきといてなんでそうなるの?」
「クラスメイトの男子もよくやっていますけど、さすがにおじさんの年齢でそれはどうかと思います。いくら精神年齢が五歳でも、肉体は立派な大人なんですよ?」
「誰の精神年齢が幼児だ。本当に冒険者だっての」
「夢ばかり見てないで現実を見てください。どれだけつらい現実でも目を逸らしてはダメですよ」
「本当にかわいそうな人を見る目で見るのやめてくんない?」
「安心してください。おじさんが妄想癖と虚言壁のあるニートでも私だけは見捨てませんから」
「見捨てたほうがいいよそんな奴。それより、依頼主から飯に呼ばれてるんだけどお前も来る? 貴族様だから結構いいもの出ると思うけど」
「私はおじさんのご飯のほうがいいです」
「……そう。んじゃ、断っとくわ」