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今日も今日とて、姉によく似た小生意気な姪っ子は、この間の話に多少なりとも思うところはあったのか、あれから文句を言うことなく黙々と補習に参加しているらしい。
「おじさん、この問題なんですけど……」
「ん、あー、それはさっきの公式を使うんだよ。……にしても、急にやる気になったのな」
「おじさんみたいに落ちぶれたくないので!」
「そうかそうか。反面教師になれて俺はすごくうれしいよ。ぶっ飛ばすぞ」
「あと……」
「?」
「あと、だからお母様達は強いんだなって」
「……だな。あの人は隙がない。何やらせても間違いなく一流だ」
「別に、お母様だけではないですけど」




