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今日も今日とて、姉によく似た小生意気な姪っこは、何やら人を殴り殺せそうな分厚さの本を抱えてうちにやってきた。
「学校の歴史をまとめたものです。これまでの卒業生についても書かれていました」
「……なんでそんなものをうちに?」
「昨日、おじさんが学長に話しかけられていたのを見ました。それもなんだか親しげに」
「……まぁ、世話になった人だからな」
「それで、もしかしたらと思って探してみたら載っていました。本当に首席で卒業していたんですね。無職の戯言かと思っていました」
「散々な言われよう……」
「歴代でも指折りの優秀な成績です。……昔はすごかったんですね」
「今はそうでもないみたいな言い方やめてくんない?」
「そうでもないんですよ」
「まっすぐな目で酷いこと言われた」




