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連撃のシュウタ   作者: ゼルダのりょーご
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四十四話 《リンクの冒険書は傷だらけのデジャヴ》⑪


 オレの名はリンク。


 ルシルーシー・シュートリアという魔法世界にて、錬金術による転生を成した。

 それはもちろん、合法の術ではない。

 故に、誰にも知られずに生きて行かねばならない。負い目と、過去の古傷をこの笑顔の裏に隠しながら。


 だが、転生直後に出会ったシュウタが、オレの心の変革者となってくれた。

 彼もまた転生者であり、オレと同じくチート能力スキルを持つ、頼もしきパートナーである。


 オレの冒険書はないけど、シュウタの持つ冒険書をふたりで共有している。

 オレの荷物や所持金もそこに収まっていくと言うわけだ。

 シュウタは、まだシュートリアの冒険者になったばかりだ。

 若さ故のその正義感が、彼に強がりを強いて行かぬか心配になる。微力ではあるが色々と助言を加えて、ふたりの冒険に祝福の鐘の音が届くことを祈りたい。


 そして、ふたりの冒険書に刻まれる魂の記憶だけは、永遠不滅の物語であれと切に願っている。





 魔物たちがうようよと徘徊する山林の中腹にて。この辺りは奴らの縄張りだろうか。あちこちに大きな木箱や荷物が積み上げられていた。その物陰に身を潜めて、ふたりで奴らの様子をうかがっていた。


「山賊のサーベルを一体どうするつもり?」


 シュウタが強すぎるせいで、結局、敵が逃げ出す可能性も視野に入れていて、相手の怒りをどのように利用するのかを聞いてみた。


「残党100体に先制を仕掛けて、100本の剣を同時に装備して僕の百撃を──」


 なんか物凄いこと、思いついたみたいだけど。

 

「同時に装備なんて、できるのか?」

「それはやって見なきゃ、分からないけど」


 一か八かの賭けのような作戦か。

 敵は山賊とクヌークの50セットで100体居るから、一撃も外せない神突入になってしまう。少々無謀ではないのか。

 

「相手の怒りをもっと上手く利用して、効率よく立ち回るのではなかったの?」

「──と、言いますと?」

「無茶な奇襲より、弱者のふりして油断を誘うんだ。腰を低くしながらふところの1億でもチラつかせる方が、逃げ出す確率はゼロに近づくでしょ。山賊なんだからさ」

「ぷっ! やっぱり、リンクは面白子供だな……」


 また言ったな、その台詞。

 有無を言わさず切り返す表情には、憎めないものがあるけど。


「カッコいい戦闘スタイルではないから、ナンセンスだと言いたいんだな」


 連撃のシュウタだもんな、君は。


 時空魔法の使い手として、それを駆使して高速で無双とかを派手に決めたい。そういうお年頃なのだろう。

 腕っぷしもなくて、戦闘経験もないド素人のオレなんかの戦い方を参考にする奴など、さすがにこの世には居ないか。


「リンク、それ。ゲーマーの登竜門にて、動画クリエイターの嗜みだよ」

「ちょっと、何言ってるのか分かんないっす……」

「スキル持ちってのは、面白そうな方に乗っかってみたいものなのさ」

「まさか、今のを実践しようって言うのか?」


 オレたちの大切な生活費なのに。

「ちっ」真に受けるとは思わずに余計なことを言ってしまったようだ。

 1億ギアを目にした敵が、興奮のあまり狂戦士バーサク状態になって、逆に、全部奪われないかと心配に駆られる。

 

「カッコつけるのは人前だけでいいんだ。ここには誰も居ない。それにちゃんと理にかなっている。手持ちの1億をチラつかせるとか、考えもしなかった発想だよ。よし、それでいこ!」


 ガチで、それで行くのだと顔に書いてある。

 いたずらっ子のような笑みを漏らす彼を横目に見る。

 スリルを求めたその選択には、酔狂のスキルアップの付録も付いてくるのだ。

 戦いには自信があるようなので、ここは彼に任せることにする。

 

 面白い発想とか、理にかなっているとか、生まれてはじめて人に褒められた。


「シュウが良いと言うなら、それでいこう」


 オレはなんだか気分が良くなってそう言った。すると「リンクはここに居て」と言い残して、彼は奴らが気付く寸前の距離まで密かに歩を進め、斥候を試みた。


 戦闘に入れば、一撃たりともミスは許されない。

 オレは戦力にならないから、出て行かなくても良いんだよな。

 大金で釣り、一体ずつ着実に人知れずに葬って行けば良い。


 さて。

 木箱の陰で聞き耳を立てて、彼らのやり取りを楽しませてもらうとしますか。


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