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連撃のシュウタ   作者: ゼルダのりょーご
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三十話 神撃の⑧

 《連撃のシュウタ》 神撃(シンゲキ)の⑧






 

「ショ、ショウタ……」


 生前の記憶を取り戻したショウタが、僕の目の前に居る。


 彼は死神に記憶を封印されていたとは言え、突然僕との付き合いを忘れてしまうわけでは無いだろう。それだと死神が、彼を僕と付き合わせた意味が無くなる。僕との接点にも何か別の意味が隠されてなければ不自然、と思いたいのだけど。


 そう、魔法使いになって生き返って、僕は生前で積み損ねた経験値を積み直す件があった筈だし。僕自体の修行も済んだのだろうか。まさか、まさかだよなぁ。


 まさか、自殺した2人を僕主体の同一人物として生き返らせ、彼主体の生前の死の要因となる人物に引き合わせるとか、死神って無茶をする生き物だよな。僕はどうなるんだ? 天国か地獄かだったよな、僕の行き先は。


 それを考えていると何だか体の震えも涙も止まって来たよ。


「今更、ショウタに嫌われた所で僕なんて最初から死神の使い捨てカイロに過ぎなかったんだ」


 ナオトが僕に向けてこう言っていた、「お前、死人(グール)だな!」って。

 僕は薄汚いゾンビなんだよね。


 ショウタも死んだのに、僕だけ悪者扱いされて。

 ナオトはショウタを復活させる呪文を持っていた様だ。

 しかも、それをナオトに託したのがショウタだと言うのだから驚き桃ノ木だよな。


 ショウタは、女神に仕える妖精の末裔だとか言っていたが。

 妖精と魔法使い。ファンタジー的には素敵な組み合わせだよ。

 僕とショウタはそれらを知らないままで、同じ組み合わせだったのか。


 だけど僕はとんだ噛ませ犬で、ショウタとナオトが真のペアだったのか。


 もしかしたら、彼が記憶の封印を自ら破り出す所までが僕の役目だったとか。

 その可能性も有り得るが。


 もし、その可能性を否定できるのなら、

 僕が彼の親友のナオトに何をしようとしたのかも、きっと忘れては居ない筈だ。

 その件については記憶が無かったとは言え、ショウタも悪乗りをしていたし。

 そこはどう出て来るのだろう。


 ショウタと言い争いとかは勘弁して欲しいな。

 僕はどの道、ショウタ無しでは生きては行けない身だ。

 記憶が戻って何かが変わって、天国にでも行けるのなら良かったじゃないか。

 もっと運が良ければ、本当に生き返れるかも知れないんでしょ?


 まあ、それでも僕は君と過ごせて本当に楽しかったから、礼を言うべきだな。

 代々、女神に仕えるという高貴なオノノキ一族の末裔さま。


「ありがとな、ショウタ。妖精の君が僕みたいな死にぞこないと泣き笑いしてくれた。本当の心の友達が出来たような気分を味合わせてくれて」


 目の前にショウタが居たけど、彼には届かないくらい小さな声でささやいた。

 こんな辛気臭い言葉聞かれたら、余計に嫌われそうだから。

 例えここで死に別れるにしても嫌なんだ! 


 ショウタには嫌われたくない。

 最後だから言わせてくれ、


「僕、ショウタの事が大好きだった。本当にありがとう……」


「おい、お前シュウタだろ? か、身体が別々にある。記憶とともに戻されたか」


「わあ、びっくりした!」


 さっきの時点で完全に彼自身を取り戻していたわけでは無かったのだな。

 

 僕の事、今頃気付いたのか。

 記憶を取り戻すってそういう事なんだ。時間がかかるとは聞いたことがある。


「シュウタ、色々と迷惑をかけちまってすまねぇな。ナオトの事は気にしないでくれ。シュウタがアイツを倒せなかったのは、オレが無意識にアイツを庇っていたせいだ」


 気にかかっていた件をショウタから切り出してくれて、ほっとしたよ。親友に殺意を向けた事、許してくれるのか。


「そ、それって妖精の守護みたいなものなのか?」

「ああ、そんなところだ」

「こんな能力もっているのにどうして不良を倒せなかったの? 絡まれたんでしょ、ナオトと一緒に」


 何だ? 一瞬暗雲が立ち込めたような暗い顔して。


「それがよ、妖精の力自体は微々たるものなんだ。人間からすれば凄い存在の様に思われがちなんだが、お前にも説明しただろ? 魔法はオレが自在に扱うことが出来ないと。つまり今、魔法の発動権を持つのはシュウタだってことさ」


「えっ」


 君が魔法使いじゃなかったのか。


「詳細は省くが、女神というのは知恵神だ。それに仕えるオレたちオノノキ一族は、魔法効果を導き出す呪文を多く授かっている。オレには魔力自体がなく、魔法の効果や呪文の知識を有していても、直接の発動者には成れない。そこで一族に代々伝わっている召喚書にて、魔力を秘めた人間を魔使として呼び出すのだ」


 うう。詳細が聞きたい。

 少し難しい内容になってきたが、要するに。


「召喚……魔法使いを召喚できちゃうの? アイツ、それのこと<エス>とよんでいたけど」

「<エス>は召喚の略称、頭文字ってだけさ」


 ああ、なるほどね。召喚の。単純に暗語のようなものか。


「そこにショウタが認めた者の名を記すと、その人は魔法使いに成れるの?」

「シュウタは飲み込みが早いな、そういうことだ。魔導書という説もあるんだが」


 大体のことはナオトが言っていたから、召喚書も魔導書も似たようなものか。

 広げると、魔法陣や呪文の言葉がびっしりと書かれていて、記された名の主だけが魔使となり、何かの使命の為に戦える様になる。そんなところだろうか。


 それが<エス>と呼ばれしものだったのか。


「ショウタ、ナオトが繰り返した呪文、蘇りのやつ。……誰も蘇りそうになかったけど。確か……戦記神撃<オノノキシンゲキ>っていう呪文。あれはどういう意味があるの?」


 せめて冥土の土産に聞かせてくれ。

 尤も、僕が聞いてもどうしょうもない問題かもしれないけど。

 それは、君とナオトの密約の様なものだもんな。


 だからこそ知りたいんだ、僕は。

 君を忘れたくない……ほかに何も想い出がない。と言うより、薄れていく。君と過ごした記憶がなぜか、なぜか薄らいでいく。時を失うように……。

 君と僕を繋いでいた唯一のものが、魔法だからね。


 魔法の呪文なら、この魔力に呼応していつかまた出会える気がするんだ。

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