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連撃のシュウタ   作者: ゼルダのりょーご
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二十三話 リンクはおりこうさん③

 ──リンクはおりこうさん③──




 ◇




「エルとかアールとかは、なんのことか良くわからないけど」


 シュウタさんのあの様子じゃきっと、


「リンクはおりこうさん」などと心の中でうたっているに違いないな。


 シュウタさん……よろこんでくれたのは嬉しいんだけど、なにかとんでもない思い違いをなさっています。



「うわあ。地図を回収して書き直したい……」


 まさか冒険書に入れられてしまうとは考えもしなかった。


 シュウタさん、そんなにゲームをしたいのなら、夢の中へお戻りになればできるのではないかと思います。

 

 オレは弱い生き物だから、ゲームなんて近づきたくもないよ。


「参戦なんかしたくもないのに、いつも巻き込まれて、このざまだ」


 いつも馬鹿だな、オレは。

 良かれと思ってした事がいつも何かしらの裏目に出てしまう。

 利口じゃないから随分と傷付いてきた。


「んぐぐ……えっ!?」


 あれ、オレいま話せたよな? 

 声が……どうして戻ったんだ。


 そりゃ声を戻そうと思えば戻せなくはないさ。

 ワケあって、オレ自身で封印したのだから。


 この姿が見えないと言うのもオレの仕業なのに、あの死神は見透かしていて、その状況を利用してシュウタさんにウソの報告をしていたな。


 ならば、これはあの死神のせいではないはずだ。

 何が起きたか知らないが、声が戻ってしまった。とすると、

 この世界を巡って必死に施してきた鏡の封印が解けてしまったのか?


 いや、それよりも今はシュウタさんのことだ。

 彼の気配を感じ取ったので、あわてて狸寝入りなど決めてしまった。

 そのせいで、要らぬ誤解を招いてしまった。


 彼がリビングに入った時こう言った。


 明かりがつけっぱなしだ、と。

 オレは彼の様子をうかがいたくて、薄目を開けていた。

 しかし、彼はオレのことなど見向きもせずに窓際へ行った。

 彼が窓の戸を開けた様子はなく、次の景色がオレの目に映った。

 部屋の中に突風が吹き込んできて、彼は一言つぶやいた。


 ひと雨来そうだ、と。


 いつ窓を閉めたのか、いつソファーに腰を下ろしたのか、知らない内に目の前のソファーには、もう彼の姿があった。


 真夏のホラーファンタジーの始まりかと、目を疑ってしまった。




 ◇



 つい先日のことだが、

 声を失くしたからシュウタさんとのやり取りが不安だった。


 死神がオマケ付与してくれた能力を、彼が会話に活用できるように知恵を絞ってくれたおかげで、助けられたよ。


 だけど、そのおかげで彼がオレに話しかけてない時は、どんな速度で誤解や勝手な想像が彼の中で、展開しているのかわからない。


「だって、そうでしょ?」


 人の百倍の速さで動けるってことは!


 自分の頭が追い付いてないのに、身体だけ高速に動かせるって怖い話でしょ。

 そして、彼がオレの書いた地図をテーブルの上に見つけてからも、眠っていると思われているせいか、独り言がどんどん進んでいった。


 文句の中ほどで妙な事を言っていたな。

 

「コントローラー」……なんの事だろうな?

 オレの知らない言葉なんていくらでもあるさ。


 だが、こればかりは異世界シュートリアにはない言語だと分かるのだ。

 オレが知る世界の言葉に翻訳されないからだ。


 例えるなら、シュウタさんが死神から冒険書をもらったとき、ふつうに飲み込んでいく様だった。

 彼の世界に代用できる代物か、知識がすでにあった為だと思う。


 「コントローラ」それについても、こちらの世界に現存するものに、彼が改めて説明を加えてくれれば、理解に変わる可能性もあるが。


 シュートリアにて神以外の者が知らないことは絶対に翻訳されない。


 彼は今、ぐっすりと眠っている。

 朝になればきっと、速攻で小さな町へ向かうことだろう。

 

 その町の名は「トアル」。


 ここは、ひとまず落ち着いて、ゲーム屋の事はシュウタさんの早合点だと伝え直せれば、そう問題には発展しないはず。


 冒険書の事にしたって、彼もまだ知らない領域がいくつもある。

 さらなる誤解が生じる前に知っておいてもらいたい事があるんだ。

 早めに打ち明けておいた方が良いかも知れない。


 彼に困らされたら、そういう話題に移るのが得策だと隠しておいたのだが。


 リンクにおやすみを言う、その寸前(まえ)に "女神に願ったことがある"



「リンクはおりこうさん」



 その言葉が君の心の声でなぞられたとき、君に【チャンス職人】の加護と成るものを "竜王の名のもとに" 付与し、受理されることを許可する!



 さて、君の身に一体何が起こるのか?



 それは僕にもまだ分からない。

 夜明けとともに僕らは町へ向かう。

 君が真心で届けてくれた宝の地図は、僕の冒険書に入れた。

 そのとき、竜王の命によって地図の主に僕が持つ魔力というやつを注いで見たのだ。


 なぜ、それを願ったのか。


 それも、まだ見ぬ世界のまだ会えぬ女神に。

 僕は、死神さんがくれた "戦記(オノノキ)の空" で得た知識により、自身を生まれながらの竜王と知ったのだ。


 まだ詳細が不明でも僕自身は、死神さんとショウタの言動からして、どうもこの異世界シュートリアでは特殊なポジションにつく予感が頭から離れない。


 だから、そのお試し行動をさせてもらったのさ。

 竜王として命を下して見たい。

 ここから女神に交渉する気持ちで頭の中に描いて見たのだ。



「だって、どうにも不思議じゃないか?」



 僕は頭の中で色々とシミュレーションするタイプだ。

 僕とリンクを引き合わせたのは、死神さん。


 リンクは異世界の女神の従者ということだが、一人では帰れない。

 声はともかく、誰にも姿が見えないのに僕という保護者が必要。

 僕を生まれながらの竜王と知っているのは、死神さんだけではない様に感じた。


 だけど、詮索ばかりしていても何の真実をも呼び込めやしない。

 リンク……君はもっと僕を頼って、その秘密を共有すべきだ。

 君が秘めているだろう内情を。


「正義の味方っぽさはなさそうだけど、竜王だなんて知ったからには誰が大人しく、神々なんかにこき使われてやるものですか!」


 と、そんな衝動に駆られたものだから。


 神々には用心せよ、と死神(あなた)は言った。

 その神たちはきっと、僕の味方ではない気がした。

 だけど女神のほうは、その限りではないと聞こえたんだ。

 少なくとも僕はそう受け止めている。


 リンクは出会い頭に僕になついてきた。

 僕が君のお供をすることがもっと以前より、決まっていたかのように。



 早い話が、僕は魔力の(カタマリ)……。



 もっとも注目すべきは、そこなのだ。







 友情? 冒険? そんなもの信じていいのか……シュウタ。


「だ、誰?」


 魔力、竜王、転生……


「な、何?」


 死神、女神、可愛いリンク……。





 

 いますぐ手が届くのは、リンク……、










「お前だよ──っ! ギアぁあああああああ──っ!!!」


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