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連撃のシュウタ   作者: ゼルダのりょーご
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十九話 戦記の空⑨

 《連撃のシュウタ》 戦記(おののき)(そら)






 ──彼らからの予想通りの要求がシュウタに向けられた。

 それに関するコメントは用意してあった。


 シュウタは、台の上のマイクを前に声変わりもまだ迎えてない様な透明感のある声で、自己紹介から入った。



 ◇



「僕はふじ本中の新たな総番、桃ノ木シュウタだ! 前総番のハヤトに全てを託されてここにやって来た。──ハヤトとその他のクラ番すらも、誰も連れて来てはいない。今日は僕一人でカタをつけに来た。そして……」


「ちょっと待てえっ! くらぁ~っ!! どーゆー意味だ! テメェ、オレらをナメてんのかっ!?」


 ──シュウタの挨拶が終わり切る前に大声を張り上げて、いきり立つ者が現れた。


『予想していたとは言え、話を(さえぎ)って来やがったな。奴は南中の総番、南野(みなみの)(りゅう)(いち)。リューイと言うのが愛称の様だ』


「え? ショウタの知り合い?」


『んな訳あるか。企業秘密だが、死神は普通に人間の顔を見りゃ、四柱が……いや氏名や生年月日のコトだ。それが分かるのだ』


「そんな特技あったんだ、カッコいいね!」


『そ、そっかあ? オレにはごく普通のコトなんだがな』


 ──か、カッコいいのか。なんか嬉しいな。








「リューイ、待て! シュウタよう、ワケを訊かせろや! そして今言いかけたコトも」


 ──リューイや他の総番を制止して、この場をまとめているのは北中のナオだった。

 何故だかナオが、シュウタに対して好意的に接してくれた様にも思えたのだが。

 一触即発の危機を流してくれた。


 ケンカ祭りなのに、ケンカの仲裁をするとは。

 わりと普通の神経も持ち合わせているのだな。


「あ、ありがとう……ナオ」


 ──ナオがリューイを背後から、くわえるようにガッツリと抑え込んでいる。

 これでシュウタが安心して、決めて来た覚悟を伝えられる。


「僕のトコの生徒は皆、僕が激しく痛めつけたにも関わらず、前総番のハヤトに付き従う様で、ハヤトが辞退した時点で僕は一人だ。僕がこの場に来ないとうちの学校を潰すと言ったのは君達だよ。だから来たんだ」


「ああ確かにそうだったな。お前は来なければならない、よく来た。トップの座に()いても人望まで手に入れられなかったと、そういう訳か? なら仕方ねーか」



 ──シュウタの事情に納得したのか、落ち着きを取り戻し、言葉を添えたリューイ。



「そして総力戦は不戦勝ではなく、一回戦から僕一人とそちらの戦力で争うコトにすれば文句はないはず。無論、大将戦にも出るよ!」


「だからテメェは何様のつもりだって言って……」


「まあ待てって!」


 ──今にもシュウタに飛び掛かろうとするリューイを再びナオが制止した。

 ムカつきにゆがんだリューイの怖い顔にシュウタは、内心恐々としていたが、それとは裏腹にニヤリと笑って見せた。


「ホントにそんな条件で良いんだな! だったらオレのチームからヤらせろ! 天狗の鼻っ柱へし折ってやるぜっ!」



 ──シュウタのニヤついた顔にことさらに腹を立てたリューイが、台上のマイクを通して皆に聞こえる様に言った。

 

「僕はどっちでもいいよ、どうせここにいる全員ぶっ飛ばして帰るつもりだったし。あはははは──!」


 ──リューイの握るマイクを横取りして、大声で挑戦的な台詞(セリフ)とともに高笑いをするシュウタだった。


「オラァ──! 南中! 気合入れろーぉ! この天狗野郎をフクロにしちまえェーっ!!」


 ドカっ!


「うわっ!」



 ──リューイがシュウタを背中から蹴とばして、台上から落っことした。


「やれやれ。一回戦は、ふじ本中対南中に変更だー! 相手が何人だろうが最後までその場に立っていた者が勝利者だ! おしっ、始め──ェ!!」


 ──仕方ないと言う顔つきでナオがそう言い放った。


 ついにシュウタの思い描く対決の幕が上がった。


 シュウタは何故に戦わなければならないのか。

 それは、母校の生徒たちの無事をハヤトから強く願い託されていたからだ。

 決して魔法を試したいとかではなく、見知った学友を守りたい。その思いからだった。


 最初は、魔法を得た勢いで、いじめっ子達に復讐せんが如くに立ち向かった。

 だが、ハヤトを倒してからシュウタは知ったのだ。


 ハヤトがどの様な立場で何のためにその強さを維持してきたかを。


 不良たちが作り出したケンカ屋の世界だが、大人たちが子供を恐れだしてきた時代に突入し、子供たちのすることに無関心……いや、目をつぶる様になってから随分と時の経過があったようだ。


 人間界は街ごと、いや国ごとこうなっている様だ。

 どこに行ったって、弱き者は泣かされるだけだ。

 強き者だけが支配者になれる、それがこの人間界なのだ。


 シュウタが5校の最下位なら、学校全体が生き地獄になるだろう。

 これまでハヤトが5校対決で王者の座から外れた歴史はないからだ。

 この町は、小学の時からもハヤトの天下だった。


 それが、魔法使いのシュウタの登場によって革命が起きたのだ。

 革命が起きても勝てば良い。

 だが、優勝でなくてはダメだ。

 優勝でなければ、ケンカ屋ルールにより、都落ちになり、最下位。


 これまで振るった権勢への逆襲に()うのだそうだ。


 シュウタが痛めつけた生徒の回復はできない。それでは元の木阿弥(もくあみ)だからだ。

 だからと言って負傷した生徒をこの場に出場させられない。


 結果、シュウタが一人ですべてを背負う事となったのだ。


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