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連撃のシュウタ   作者: ゼルダのりょーご
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十二話 戦記の空②

 《連撃のシュウタ》 戦記(おののき)の空②



 ◇



 次に日、イヤなヤツに出会った。


 そいつは二年のときクラ番だった、リキと呼ばれし男だ。

 今は、三組にいるようだが、クラ番には成れなかったと発表があった。


「おう、シュウタ! 聞いたぞ、お前またビリっけつに成れたんだってな。おめでとう!」

「好き好んで成ったみたいに言わないでくれよ」


 何がめでたいものか、皮肉たっぷりで何の用だよ。


「オレは残念ながら二番手に格下げだ。レイには勝てなかったよ。ま、レイとは馬が合うんで問題はないが」


 レイか……。

 二年のときも四組でクラ番をしていた(ごう)の者だ。


 僕はもう誰とも口をきく気がしなくて、この時もうつむき加減だった。

 リキが満身(まんしん)創痍(そうい)の僕を見て不敵(ふてき)に笑いながら言った。


 オレの舎弟になるならパシリ生活から解放してやるぞと言ってくれたが、何をさせられるか想像がつくから聞こえないフリをして通り過ぎてやった。


 あぁ、どんな顔をして教室に足を運べばいいのか。


 いっそこのままトイレに引きこもってトイレの花子と暮らそうか。

 うわぁ、無性に行方知れずに憧れてしまう~。

 3Dゲームなら短時間で方向音痴になり、ターゲットに背を向け迷子の子猫と化せるのに。


 傷だらけのみすぼらしい身体。

 ちょうど顔の()れ具合が一番ひどくなる2日目。


 目立ちたくない、目立ちたくない。

 トボトボと背を丸め廊下を行く。

 願えば願うほど、すれ違う生徒は冷ややかな目線で遠巻(とうま)きに後ろ指を差す。


 

『暗い、暗すぎる……。このまま醜態(シュウタイ)で良いのか?』

「だ、誰だっ!?」


 おかしいな、頭の上で声がするなんて。すかさず見上げても白い天井しかない。


『またこのまま自殺をするんじゃないのか?』

「だ、誰だ? さっきから」

『オレだよ、ショウタだよ。死神の見習いの、覚えているはずだ』


 あっ!


「あれは夢じゃなかったのか!」


 だとすると確か僕が君の身体を借りているという状態だったね。

 

「でも、ショウタ。いまさら何が変えられると言うんだ」

『そうさ、これはオレの身体だぞ。こんなに痛めつけられてくれてよ。さあ、元に戻せ!』


 も、戻せと言われても僕は医者じゃないぞ。

 君は僕をコケにする為に(つか)わされたのか。


『念じろ! 魔法を使うんだ。お前の心の声もオレには聞こえている』

「えっ?」

『身体よ無傷になれ! と念じるんだ。そうすれば元に戻る。さあ、やって見ろ!』


 彼の声が不思議とあの死神の声に重なり、説得力を放つのだ。

 僕は言われるままに念じた。


「うわっ!」


 するといとも簡単に、ぼろ(ぎれ)の様だった肌の傷が消えた。

 す、すごい! もう痛むところがないぞ!

 これが魔法か。


『魔法はお前の意思でしか働かないんだ。オレが自在にできないキマリなんだよ』


 へえ~、そうなんだ。

 僕、ホントに魔法使いになったんだね。

 なんだか今、とても幸せな気分になったよ。


『そう来なくっちゃな! 魔法の使い方はオレがアドバイスしてやるから。それより、イクに仕返しをしてやろうぜ!』

「……!」


 し、仕返し……えっと、


『もうためらうんじゃねェ、イクの上靴(うわぐつ)に犬のウンチを入れてやれ!』


「うわ~! いけないんだ~!

 それってメチャクチャ悪いことじゃん。

 流石(さすが)は死神の弟子だな~。

 こ、こわいこと言うんだ~」


(あき)れるほど誰にも無抵抗(むていこう)だったんだな。お前が先日受けた雪辱(せつじょく)戦にしちゃあ、ちっとばかし足りないくらいだぜ! やっぱり(いや)か? 気乗りしねェんなら……』


「そ、そんなことない! やるやる~。絶対やる~」


『ノリは良いんだなお前。ま、イメージするだけで魔法が使えると知ったら随分(ずいぶん)と強気になってくるだろ?』


 でへへ。お顔がデレてきます。


「ショウタと一緒なら出来そうな気がしてね」


 身体は一つだし、ショウタが僕から(はな)れることは無いと思うと、急に信頼できそうな友達が現れたみたいで嬉しくて仕方ないんだよ。


『ドンと信頼してくれ! そうと決まればイクの靴箱の前まで行こう。ある程度、近くまで行かなければ魔法も効果を発揮(はっき)できないからな』


 魔法には有効範囲があるのか。

 早朝の今は、人が多いから下校時間を狙ってやろう。

 放課後を待ってイクの靴箱の前で魔法をかけた。

 あいつらは不良だから、終業のチャイムとともに下校なんかしやしない。



 ◇


 

 次の日の朝、イクはとんでもない表情で怒りをあらわにして、犯人を追及するため、走り回っていた。


 そして運の悪いことに昨日(さくじつ)の下校時間にシュウタが、イクの靴箱の前ではしゃいでいるのを見たと言う証言があった。

 当然、休み時間にシュウタはイクから呼び出しを()らっていた。


 体育館の裏手(うらて)だった。

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