勇者の結末
「ついにここまで来たわ。覚悟しなさい、魔王!」
「クックックッ、よくぞ来た勇者よ。女でありながら単身で我が軍を蹴散らし、余の下までたどり着くとは。お前のレベルはもはや余を超えている!」
「でやー!」
「ぐわああああ!」
「やった……! 魔王を倒したわ!」
勇者は魔王に捕らわれていた王子を救い出した。
「王子、ご無事ですか?」
「はい。しかしあの魔王をたった一人で倒してしまうなんて……さすが勇者殿」
「そんな、大したことありませんよ」
「この偉業を成した上でなんと謙虚なお言葉! 勇者殿、私はあなたに心奪われてしまいました。どうか私と結婚していただけませんか」
「それは無理です」
「一体どうして!? まさか身分のことを案じているのですか? 誰にも文句など言わせませんよ。そ、それとも他に既に好きな方が……?」
「そうではありません。無理な物は無理なのです。だって」
勇者は自分の手の平を王子に見せながら、笑顔で言った。
「私があなたの手を取ったら握り潰してしまうもの」