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ステータスの数値プチ修正し申した。
三人称視点の資料多すぎ。どれが正しいかよくわからんかった。
季節は夏。
こちらの地球も愛大が元いた地球と気候はあまり変わらないようだ。
ちゃんと四季があり、その月ごとに変動する。
冬は寒く、夏は涼しいとイメージの北の大地ではあるが、地域によっては普通に熱い。
愛大たちが住んでいる孤児院ーー養護施設キタイクミが位置する地域もそれに該当する。
木々に張り付いたまま騒がしく鳴き声を上げる蝉。
そしてカラカラに乾いたアスファルトが暑さを一層際立たせていた。
とはいえ孤児院は比較的に風通しの良い場所に建設されているので思った以上に過ごしやすくはあるようだ。
そんな夏のとある日。
孤児院では、とある少年の誕生日を祝っていた。
「ハッピバースデートゥーユ〜ハッピバースデーディア〜愛大くんハッピバースデートゥーユ〜」
アラサー男だった剣菱愛大がトラック衝突事故で死んでから。
そして、この世界に転生を果たしてから早いもので5年の月日が流れていた。
転生直後は赤子のまま、しかも雪山という極寒の環境下で一人放置されるという思いがけないアクシデントに見舞われたが、孤児院の代表である北育美志穂ーー通称、院長先生によって救出されたおかげで今日もどうにか生きている。
そんな彼女に運良く保護された愛大は孤児院にいる他の子供たちと一緒にすくすく育った。
とはいえ最初はすこぶる大変だった‼︎ 本当に……‼︎
と、愛大は振り返る。
なにしろ赤子だから自制が全く効かない。
それすなわち、自身の世話すらままならないのだ。
履いているオムツを自分色に何度染めたことか。
そしてオムツ交換を繰り返して尊厳を失い、心を疲弊させながら生活していた。
精神が大人な愛大だからこそ、精神崩壊を起こしかねない状態だったが、どうにか耐えきって3歳になるころには無事……いや決して無事ではないがオムツを卒業。
そんな辛い日々を乗り越えて今がある。
「はーい愛大くん、5歳の誕生日おめでとう」
誕生日を祝う院長先生に「ありがとう‼︎」とニンマリとした顔で心底嬉しそうに答える愛大。
それを優しい眼差しで見つめる院長先生。
嬉しそうに笑みを浮かべている愛大ではあるが、この5年の月日を振り返って感慨深い感情を抱いていた。
(この世界のこと。オムツ交換のこと。神様から貰ったというレアな特典とやらのこと。オムツ交換のこと。これからの身の振り方のこと。そしてオムツ交換のこと。色々あったよなあ……あれ? なんかオムツ交換のことばっかじゃね?)
この世界での出来事と言いながらも愛大の脳内を占めるのはオムツ交換であった。
愛大にとってオムツ交換がいかに辛いかったかは察せられることだろう。
だいぶ話が逸れたが。
本日節目となる5回目の誕生日を迎えたわけだ。
なぜ節目かというと、この世界では5歳になると『ステータス』ーー自身の能力値を文字や数値で表したものーーを初めて視認できるようになるからだ。
それに加え、魔法を使うことができる最低条件の一つも同時にクリアできる。
だからこそ節目の年と言われ、人生最初の大事な日であるのだ。
逆に言えば、5歳まではステータスを見ることも出来なければ、魔法やその他能力を使うことはできない。
それゆえ神様から貰ったはずの『レアな特典』とやらが気になって仕方なかったが、残念ながら使うことはおろか自身にどんな力が与えられたか確認することすら叶わなかったのだ。
しかし、愛大は今日で5歳となった。
(ようやくこれで神様から貰ったレアな特典とやらが見れる……‼︎)
と、内心ニヤニヤする愛大だったが院長に声をかけられて意識を戻す。
「はい、これプレゼントよ、どうぞ」
「わーい‼︎ ありがとう院長先生‼︎」
貰った特典のことばかりで頭がいっぱいだった愛大に院長先生からプレゼントが送られた。
送られたプレゼントは青色のリュックサック。
(特典は気になるけど、せっかく俺のために院長先生が祝ってくれるんだし、ありがたく祝われよう。それにもう5歳になったし、いつでも見れるから後の楽しみにでもしとくか)
と、一旦特典のことを頭の片隅に置いて、せっかくだからと院長先生から貰った青色のリュックサックをその場で身につける。
院長先生は「似合ってるよ」と愛大の頭を撫でながら言う。
精神こそアラサー男の愛大ではあるが、院長先生から撫でられることが思いのほか好きになっていた。
幼い身体に精神も引っ張られているのだろうか。
そんな気持ち良さそうに目を細める愛大に、自身の姿を見せるように部屋に立てかけてある鏡まで誘導する院長先生。
鏡にはリュックサックをかるった愛大の姿が映っている。
院長先生が言った通り、中々似合っていた。
そんな自身の姿を見た愛大は。
(まんま幼き頃の俺だな……残念ながら容姿は変わらずか。どうせなら女の子たちを虜にするくらいのイケメンだったらよかったのに……)
もしかしたらイケメンになってるんじゃないかと僅かばかりの期待を抱いていたようだが、残念ながらあちらの地球にいた時の見た目と何もかもが同じであった。
あったのは歳を重ねているかいないかの違いだけだ。
鏡に映る自分を見て残念そうに溜め息をつく。
愛大は若返って転生したのであり、新たな存在となって転生を果たしたわけではない。
よって姿形は元いた地球の頃と全く同じであったのだ。
そんなやや残念そうな顔で鏡を見ていた愛大の感情などつゆ知らず、院長先生はステータスについて問いかけた。
「そう言えば、愛大くんは5歳になったでしょ。それはつまりどういう意味かわかってる?」
「うん、ステータスが見れるようになる!」
子供らしさ全開で答える愛大。
「正解。じゃあ、どうせだから見てみようか。自分の力だから早い内に把握しておかないとね」
院長先生に促された愛大は「うん、わかった‼︎」と元気よく返事をし、自身のステータスを確認しようとする。
ちなみにステータスの確認方法は見たいと思うだけでいい。
そうすると脳内に表示される。
仕組みは謎だが、そういうものとだけ思っておけばいい。
ステータスを確認しようとする愛大だが、どうも落ち着かないようだ。
ワクワクが全面に出ているといった感じか。
まあそれも仕方がないことだろう。
待ちに待ったレアな特典とやらをようやく自身の目で確認できる瞬間なのだから。
この5年という月日は決して短くはなかったのだから。
「すごい良いスキルがあればいいなあ」
などと愛大は言っているが、自分をネット小説とかでよくある王道テンプレ主人公だと重ねている節があるので。
(まあ神様もレアな特典って言ってたし、まず間違いなく理不尽チートな能力に違いないんだけどな。というか、そもそもこういうのはチートって相場が決まってるし‼︎ いやあ、オムツ交換地獄を耐えた甲斐があってもんだ。ようやく報われる……‼︎)
内心このように思っていた。
不確定な未来なのになぜここまで自信があるのだろうか。
一度大きく深呼吸をした後、もう我慢出来ないといった様子でステータスを見たいと念じた。
すると愛大のステータスらしきものが脳内に浮かび上がってきた。
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剣菱愛大
『基礎値』
・生命力:30/30
・魔力 :120/120
・腕力 : 5
・耐久力: 5
・器用度: 5
・敏捷性: 5
『スキル』
・性者Lv.1
∟性剣
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「えっ……性者って何⁇」
ご覧いただきありがとうございま‼︎