1話 転移とステータス
体がぐらぐら揺れている気がする。地震だろうか。
「~~~■■かわ!■い■■ろ!」
誰かが何かを叫んでいるようだがうまく聞き取れない。
(なんだ?確か俺は突如光に飲み込まれて~どうしたんだったかな?)
そんなことを考えていると、だんだん意識が鮮明になってきた。また、誰かが何かを叫んでいる気がする。
「おい!たちかわ!起きろ!」
(ん?この声は?)
俺はゆっくりと瞼を持ち上げる。
初めに見たものは見たことのないような天井だった。
例えるなら協会の天井だろうか?
俺は独り言のようにつぶやく。
「ここはどこだ?」
すぐ隣からそれに答える声があった。
「わからん。気づいたらここにいたんだ。お前もわからないのか?」
それは雄太だった。俺が首を振ると雄太は俺に興味をなくしたように舌打ちをする。
「ちっ」
少し首を動かすと雄太の横に由紀のすがたもある。由紀は落ち着いた様子で異世界?魔法?と一人でつぶやいている。俺が秘かにラノベの読みすぎじゃないか?と思ったのは内緒だ。
そんな会話していると、離れたところから声が聞こえた。
「私はビフレスト王国、第一王女のミシェル=ルノアールだ。この国を助けてくれぬか勇者たちよ。1000年ぶりに魔王が復活して、未曽有の危機にさらされているのだ。」
雄太たちも焦っていて声の主には気づかなかったようだ。
俺たちは驚き、声のした方見る。
そこには、身長は160~170cm位で瞳は紅く、髪は金髪で髪型はセミロングでストレートの女性がいた。
その横には、体全体に銀の鎧をまとい腰に西洋風の剣を差した騎士がいる。
周りを見渡すと同じような格好をした騎士が俺たちを囲むように並んでいた。
するとさっきまで俺の横でフリーズしていた雄太が冷静さを取り戻し淡々と聞く。
「ここはどこなのだ?勇者とはなんだ?」
すると今度は王女が口を開く。
「そうか。その説明がまだだったな。」
「ここは〔ビフレスト王国、首都ラピス〕にある王城だ。君たちには儀式魔法勇者召喚で来てもらった。君たちがいた世界とは異なる世界と思ってもらっていいだろう。」
(異世界に儀式魔法、魔法だと?)
俺がそんなことを考えていると雄太の横から由紀がわくわくした表情で聞く。
「この世界には魔法があるのですか?」
「そうだ。勇者召喚の文献は一代前の祖父の時代に遺跡で発掘したものだ。魔法が発動したところに24時間後に勇者が召喚される、遅延発動型術式だからこの場に術者がいないのだ。君たちの世界に魔法はなかったのか?」
(後で聞いたことだが1日は24時間でその他の1か月、1年も地球と同じらしい。)
その質問に由紀が答える。
「はい。ありませんでした。本の中には出てきましたが…」
「そうか。本というのは書物のことか?魔法はないのに書物に出てくるとは奇妙な世界だな。」
そのまま王女が続ける。
「書物といえば、勇者召喚の文献には勇者と賢者のジョブを持った二人が召喚されると書いてあったが何故3人いるのだ?まあ、良い。これからわかることだ。」
王女が無言で手を上げると、後ろから初老の男が水晶玉のようなもの持って出てきた。
ずっと王女の後ろにいたみたいだがさっきまではきずかなかった。
その初老の男は王女の横まで行くと立ち止まり、得体の知れない妖しい笑みを浮かべながらしゃべりだす。
「私は宰相の役職を預かる、公爵のオーバン=ゴルディーニです。」
(胡散臭そうだな)
と思いながら次の言葉を待つ。
「この水晶玉は【表しの水晶】といって、触れたらステータスプレートが出て、触れた人のステータスを他人に見せることができる国宝です。」
「ちなみに〔ステータスオープン〕と唱えると自分のステータスを見ることができます。これは自分以外の他の人には見えません」
すると王女が急かすように言う
「さあ、この水晶に手を触れてくれ」
初めは雄太だ。雄太が水晶玉に手を置くと水晶の上に薄い透明の板が現れた。その板にステータスが書いてある。
《ステータス》
氏名:ユウタ トガミ
年齢:16
種族:人間
性別:男
職業:勇者
M称号:なし
Lv:1
HP:1000/1000
MP:1000/1000
攻撃力:800
防御力:750
筋力:800
体力:500
俊敏:700
器用:400
知力:700
スキル:聖属性魔法Lv1 剣術Lv1
天歩Lv1
固有スキル:指揮 撃滅漸 聖剣召喚
S称号:来訪者 異世界人 率いる者 屠る者
このステータスを見た宰相は妖しい笑みを浮かべ、興奮した様子で手をたたきながら喋る。
「素晴らしい!素晴らしい!これは期待できそうです。」
それに王女も続く。
「うむ、素晴らしい。え~と君は《ユウタ》というのか。ユウタのステータスは国民男性のステータスを大きく上回っている。国民男性の平均は350くらいなのだ。」
「次の子も楽しみだ。さあ、次はだれだ?」
王女様がそういうと、今度は由紀が水晶玉の上に手を置いた。
《ステータス》
氏名:ユキ トヤマ
年齢:16
種族:人間
性別:女
職業:賢者
M称号:なし
Lv:1
HP:500/500
MP:1600/1600
攻撃力:700
防御力:650
筋力:400
体力:400
俊敏:500
器用:600
知力:800
スキル:全属性魔法Lv1 全属性魔法耐性Lv1
眷属召喚Lv1
固有スキル:治癒の祈り 全方位結界
S称号:来訪者 異世界人 屠る者
王女がステータスを見ながら絶賛する。
「ユキ、君も素晴らしい。勇者に続けて賢者までこのステータスとは。」
「あ~そうだ。文献によると魔王にダメージを与えることができるのは【屠る者】という称号を持った者だけらしい。それを持っているのは勇者だけだと書いてあったが賢者のユキも持っているとは。」
「さあ、次は最後の君だ。」
やっと俺の番が回ってきた。
(さて、俺のステータスはどうかな?)
俺はゆっくりと水晶玉の上に手を置く。
俺のステータスプレートが出た瞬間、まわりが騒がしくなる。
俺は恐る恐る、自分のステータスプレートを見る。
(こ、これは!?)
M称号というのがメイン称号、S称号というのがサブ称号といういみで、S称号に獲得した称号が表示され、その中からM称号に設定した称号1つだけが効力を発揮します。
※M称号は1つしか設定できません。
※称号に効果をつける予定です。
誤字、脱字があるかもしれませんが、楽しんで読んでくだされば幸いです。