5話 嘘つきのための嘘
洞窟を出て数十分程歩くと森を出れる
そこから数分歩くと自分が住んでいた村と変わりないような村が見つかる
村の周りは魔物対策の柵(あんまり意味はないと思う)に囲まれている
まあ正直王様達がいるような町に比べると貧相な物ではある
「しかし、片腕を怪我したまま死んだ子供を担いで行くのは流石に疲れるな」
でもこの頑張りももうすぐ報われる
ほら
村の隅で農作業をしていた夫婦がこっちに気がついて駆け寄ってくる
「おい兄ちゃん大丈夫か!?血が流れてるじゃないか、その背中の子供は?」
「話は後でしょ!今医者を呼んでくるから待っててね!」
おっさんが心配そうに駆け寄り
おばさんが急いで医者を呼びに行ってくれる
あれ、普通は逆じゃないか?
「すいません、何から説明をすればいいのか」
「ああ、喋らなくていいからここに座りなさい。背中の子は預かるよ」
「その子、すいません。もうダメなんです」
「それは・・・、ん?この子マーサーの所の子じゃないか!なんだってこんなことに」
村長とか偉そうな人来たら考えた設定話すから待っててね
何度も同じ話をするのは嫌いだから
そうして少し経つと村のお医者さんが来てくれて子供を見て首を横に振りました
その後腕の治療(薬草を紙に染み込ませて貼る感じ)してもらった
ある程度治療が終わると村長の家に呼ばれ
村長を筆頭に村の有力者らしき人達数名、後まだ目元に涙が残る夫婦
多分あの子の親かな?
「オールター君、今回の件本当にありがとう。村を代表して感謝する」
「できることをしただけです、寧ろもう少し早くあの場に着いていればと後悔しています」
治療してもらってる時に名前とかなにがあったのか簡単に説明はした
自分は旅をしながら魔物を研究している者で
たまたま魔物に襲われている子供を見つけて助けたが既に手遅れだったこと
その際に負傷をしてしまったこと
なんとか村に辿り着いて治療を受けました(今ここ)
「さて、早速で申し訳ないのだが襲ってきたのはどの様な魔物だったのだ?」
「子供の傷からもわかる通り牙を持つ魔物でした。その、信じてもらえないかも知れませんがあれはブレンドックです」
周りがざわつく
当然だろう、本来のブレンドックは子供にすら逃げられるのだから
死んだ子供の親らしいマーサー?さん達はあり得ないと今すぐ声を出そうとしている
いや、今は喋らせない
「しかし、あれは普通のブレンドックではありませんでした」
「普通のではない?」
「えぇ、とてもじゃないがあれはE級の魔物ではなくD級の魔物です」
オレの言葉にまたざわつく
魔物には階級があってSとかAとかのはマジでヤバいやつ
スライムとかはFくらい
D級なら庶民にはムリだからギルドの魔物の戦う人に任せなってラインかな
「それが事実ならまた被害が出る前にギルドに討伐をお願いしないとな」
「えぇ、私は魔物の研究をしています。だからこれは異常な事態だとわかるのです」
順調に話が進みギルドがどの程度戦えるのか
オレの書き換えた魔物がどこまで戦えるのかわかるだろう。
あ、オレのいた村って凄く平和で
ブレンドックレベルの魔物すらそうそう出てこない平和な村だったので
ギルドの人が来てくれたことないんだよね
さて、話も纏まりそうだなって所でマーサー?さんが声を出した
「待ってくれ!その男が言っていることが信用できない」
「マーサー落ち着いてくれ。この人はあんたの息子の身体を傷つきながら連れ帰ってきてくれたんだぞ」
「わかっている、だがうちの息子がブレンドックに殺されただって?そんなの信じられる訳がないだろう!」
あー、まあそうだよね
自分の子供が野良犬に殺されたなんて事実でもあんまし信じたくないよね
なんかどんどんヒートアップして
とりあえず村人のだけで事実か調査することになった。
当然オレもついて行くことになり
村長からは逃げるときに無くしたと嘘をついて護身用の剣を頂き
マーサーさんからは凄く難しい顔で
「すまない。君が嘘をついてないとわかっているが納得ができないんだ」
と、言われた
まあ、事故とは言え実際に死ぬ原因を作ったのはオレなのでそんな微妙な顔されても反応に困るんだけどね
とりあえず
「いえ、気にしないでください。私もこの目で見なければ信じられませんでしたから」
オレもまさかホントに子供殺して来ちゃうとは思わなかったので本心で話す
嘘はついてない
そうこうしている内に準備は整い
村の大人達10名とプラスオレで森に向かった
ゲノム・オールター
今回来た村よりも小規模な村で暮らしていた
ホントに平和な所であり
ゲノム本人の戦闘力は村人Aと同じくらい
魔物についての本を読むのは好きで
いつか自分も素敵に魔法を使いながら颯爽と美少女を助けるのを夢見ていた
嘘をつくときは真実3割嘘7割が信条