悪魔の支配も金次第。
キタキタキタァーーー!!
こと時をどれ程待ったか!全てはこの日の為にあったと言っても過言ではない!
「我を呼び出したのは貴様か。お前のような小娘が我を従えると思うな。代償は高くつくぞ。」
テンプレのセリフあざっーす!
――――――――――
きっかけは気軽な気持ちで。
お試しだと、無料で貰った魔方陣『ランダムくん』を折角だからと、使ってしまったのが、長い戦いの始まりだった。
使用するまで何が出るかわからない魔方陣の魅力にあっさりどっぷり嵌まった私は『ランダムくん』を買いまくった。
もはや、魔方陣『ランダムくん』を買うために働いていた。
そして、ある噂を耳にした。
まことしやかに囁かれたのは、最高位の悪魔が出た。というもの。
代償だけを取られ帰ってしまった、なんて怪しいことこの上ないが、証言を基に描かれた悪魔像を目にした時、戦慄が走った。
『ランダムくん』から雷が出たときよりも、びびっときた。
要するに一目惚れしたのだ。
それからは『ランダムくん』の為に生きた。
衣食住よりも魔方陣。
いつか必ず出会えると信じて。
とうとう今日、遂にその時が来た。
飽きることなく眺めた空想画よりも遥かに超えたその魅力で、今目の前にいるのだ。
これまで魔方陣から何体か悪魔は出てきたが、基本上から目線の彼等は毎度似たようなセリフを言っていた。
しかし!!
今までの悪魔とは比べ物にならないと一目で分かる。
これ程までに偉そうなセリフが似合う男が居ただろうか?いや、いない!
あまりの感動に手が震える。
「怯えて声も出ぬか、小娘。」
あああああ!声まで良いよ!サイコーだよ!!ちくしょう!
おお、落ち着け、落ち着け私。
かかった獲物を取り逃がすわけにはいかない。冷静になれ。
よし、よし、魔方陣『ランダムくん』に夢中になっている間に、気が付けば"最強"と呼ばれていた私なら出来る!
「つまらんな、代償をいただいて帰るとするか。」
ヤバいヤバい!帰っちゃう!
えーと、どうする!?あー!もういいや、皆呼ぼう!
慌てて私は私の使役する皆を喚んだ。
「なんだ小娘!?なんなんだこれは!?」
よし、よし!足止めは出来た?
最高位の悪魔とはいえ、格下でも上位の悪魔が5人もいれば手こずるはず。
「…ちっ!」
あー!待って!空に逃げた!皆追いかけてー!
やだー戦う姿もチョーかっけぇ!!
とか言ってる場合じゃねぇよ!おされてるじゃないですか!強すぎですか!かっこよすぎですか!
かくなるうえは!悪魔の天敵、天使達召っ喚!!
生かして捕らえてね。ヨロシクぅ!
「なんだと!?ぐおっ!キサマらぁ…!!」
よっしゃゲット!!皆お疲れ様ー。
「…っく。小娘、お前何者だ?何が目的だ?」
なんてこと!私に興味津々!
だがしかし!ここでがっついては駄目だ、とりあえず無害アピールで警戒を解こう。
じっくりゆっくりお知り合いになればいいのだ。
よし、スマ〜イル、スマ〜イル。敵意はないですよー。
まず怪我を直しましょう。それっ回復魔法。
「お前、その指輪は――――!!」
…あ。いけね。
昨日、魔方陣『ランダムくん』から出た聖魔法具※対魔気絶効果有 つけっぱなしだった。
「……。」
…ごくり。
い、いかん。気絶した相手に生唾ゴックンとか、私は変態か。
しっかし見れば見るほど好みだわー。
戦闘もかっこよかったけど、素手もいいけど個人的には刀とか武器も似合うと思うんだよねー。
…武器、刀、イイ!!
この時またしても私は衝撃に身を震わせた。
思い立ったが魔方陣日和!
狙うは神話レベルのカッチョいい武器!
とりあえず今のうちに喚べるように契約して、と。
よし!『ランダムくん』を買いに行こう!
待っててね!私が最強で最高の武器プレゼントするから!
あー!これだから高額魔方陣『ランダムくん』は止められない!