6話 自分でも分からない内に物事は進んでいくものです
やばいかも…私って実は年上好み…?って、待って待って。おそらく、目の前のダンディなおじ様はルシーのお父さんのはず…さすがにまずいです。落ち着け私…まだ女子歴?が浅いから耐性がないだけなんだ…きっとそうに違いない。
「どうしたのかな?お嬢さん。私の顔に何か付いているのかな?」(?)
「葵ちゃん…何でパパに見惚れているの?浮気?浮気なの?」(チ)
「ち、違うから!?」
思わず声を上げてしまったけど…これって思いっきり見惚れてましたと言ったようなものじゃないですか…
「参ったな…また若い娘を魅了してしまったか…」(?)
「あなた…何をにやけているんです?また浮気ですか?」(?)
「ち、違うんだ!誤解だよ、リーネ!」(?)
「そうですね。あなたは何もしてないですものね?相手が勝手に寄って来るだけですもの。あなたは何も悪くないですよね?」(?)
「その通りなんだがね?言葉がチクチク刺さると言うかね?明らかに私が責められているように聞こえるのだが…」(?)
「気のせいではないかしら?それに、私はその程度のことは何とも思ってませんもの。可愛い娘に言い寄られて鼻の下を伸ばしてるあなたを見ても、何とも思ってませんもの?」(?)
「すみませんでした。」(?)
「あら?何で謝ってるのかしら?やっぱり浮気していたのかしら?」(?)
「それは違う!私は、リーネだけを愛してる!!浮気などするはずがないだろう?」(?)
「あら?あなたは私達の子供も愛していないと言うのね?そんな冷たい人だなんて…」(?)
「あの、リーネさん。揚げ足を取らないで頂けないでしょうか?本当に、本当に!リーネだけを愛してるんだ。あんな可愛い娘に見つめられて少し優越感を覚えてしまったのは謝るから…許してください。」(?)
わぁ…さっきからダンディなおじ様が平謝りしてるよ…。この光景を見るに、ルシーママ>ルシー>ルシーパパと言う、力関係の構図がうかんだけど、恐らく間違っていないと思う。ルシーママのお陰で、さきほど発症したナイスミドルなおじ様アレルギー(?)は克服したようです。
「…お母様、お父様、それくらいにしてもらってもよろしいかしら?私の葵ちゃんが困惑してるみたいなので、私の葵ちゃんが!」(チ)
大事な事なので2回言ったようです。どうやら、チェルシーさんはお父様に見惚れた私に危機感を持ったようで…私を自分のものだと主張しているようです。私は誰のものにもなったつもりはないのですが、それを言うとまたややこしいことになりそうなので、この場では我慢しておきます…
「あら?私の葵ちゃんだなんて…まるで恋人のような表現ね?」(?)
そう言いつつ、ルシーママが私を真正面で捉えるように振り向いた。やはり、ルシーの母親だけあって容姿が整っている。ルシーと同じ赤みがかった茶髪に黒い瞳だ。見ただけだとルシーの母親だと思えないほど若い…だけど、一番の驚愕は胸の大きさです。・・・ルシーの時と違って嫉妬さえも抱かせないほどの大きさです。あそこまでだと肩が凝ったり大変だろうなぁ?とか言う感想しか逆に沸かない不思議です。
「なるほどね。二人が騒ぐわけだわ。とても可愛らしい娘ね。お名前は、葵さんで良いのかしら?」(?)
「は、はい。私は…」
「待って?こんな場所で立ち話も何ですから、部屋の中で座って話しましょう?こちらへどうぞ♪」(?)
そう言いながら、私の背中を押して部屋に招き入れてくれるルシーママ。それ自体は問題ないけど、私に対して異様な執着心を持っている彼女を差し置いてそんなことをすれば…
「待って、お母様!葵ちゃんをエスコートするのは、私の役目よ!!さすがに、お母様が相手でもそれだけは譲れないんだから!!」(チ)
当然の様に反応するチェルシーさん。まあ、私がそう思うくらいだから母であるルシーママがこの反応を予想していないはずがないのですが…意図がわからないです。
「あら?ルシーったら、そんなに声を張り上げて…すぐそこのソファーまで案内するだけですよ?」(?)
「それでもダメです!それに、そのまま自分の隣に座らせる気でしょ?葵ちゃんは私の隣に座るんだからダメなのっ!!」(チ)
「ルシーったらもう、そんなに大声を張り上げて…ご近所様の迷惑になりますよ?」(?)
「ここのご近所さんまで私の声が届くって…私はどれだけの大声が出せるんですか…」(チ)
「もう!あの人といい、ルシーといい、何で人の揚げ足ばかりとるのかしら?」(?)
「どちらかと言うと、お母様の方が取っている気がするんですけど…」(チ)
「言い訳しない!ごめんなさいね?葵さん。いえ、葵ちゃんの方がしっくり来ますね…。では、葵ちゃん。行きましょうね♪」(?)
「って、さりげなく連れて行こうとしないで!わ・た・し・の!葵ちゃんを!!」(チ)
「いつもならルシーが折れてくれるのに…今日は折れてくれないのね?」(?)
「先ほど言いましたよね?葵ちゃんだけは譲れないって!」(チ)
「そこまでですか…なら仕方がありません。」(?)
「やっと分かってくれたんだ…」(チ)
「葵ちゃんは私の隣に座りたいですよね?」(?)
「え!?えっと…その…」
ここで私に振るんですかー!?ムリムリムリムリムリ!?どっちに転んでもろくでもない未来しか見えないですよ!?
「葵ちゃんビシッと言ってやって!愛し合ってる私の隣に座りたいって!!」(チ)
「えっと…あの…うんと…」
愛し合ってないとか突っ込みたいけど、まずはどちらを選ぶかですよ…。選びたくないけど、どちらも選ばないとかやると酷い目に遭いそうだし…。
「二人とも、葵ちゃんが困ってるじゃないか?ここは家長である私が席を決めると言う事で…」(?)
「「(あなた・パパ)は黙って(下さい・て)!!」」(母娘)
「・・・はい。」(?)
おじ様ーー!!弱すぎですよ!?もうちょっと頑張ってください!今、暴落してたルシーパパの株が上がりかけたのに、また勢いよく下がって行きましたよ…最初のトキメキを返してください…
「葵ちゃんの困り果てた顔も可愛いわね♪」(?)
「でしょ?葵ちゃんはどんな時も超絶可愛いんだよ♪」(チ)
いつの間にか意気投合してますよ?この母娘…。もしかして、私はからかわれていた…?
「葵ちゃんをこれ以上困らせるのも可哀そうですし、ここは葵ちゃんが真ん中でその隣が私とルシーと言うことで手を打ちましょうか。」(?)
「はい、お母様。それが一番良いかと思われます♪」(チ)
完全に黒です、この母娘。もう帰りたい…ルシー一人でも手に負えないのに、私にどうしろと言うのですか…
「あの…私はどこに座れば?」(?)
「あなたは家長なのですから、対面に堂々と座ればよろしいのでは?」(?)
「・・・はい。」
…もはや、ルシーパパには期待すまい。何か見ているととても可愛そうになって来ました…。でも、他人事ではないのです…
結局二人に案内されました
「こうしていると昔を思い出しますね。昔は、ルシーもこうさせてくれたのですけどねぇ。」(?)
「もう…何年前の話ですか?覚えてないでーす。」(チ)
「葵ちゃんみたいに、素直で可愛い頃に戻ってくれないかしら?」(?)
「だから、何年前の話なんですか?それに、昔の私が可愛かったかはともかく、葵ちゃんの可愛さには勝てるはずがないですよ♪」(チ)
「そうかしら?まあ、やはり親としてのひいき目もあるでしょうからね。それにしても、葵ちゃんはいつまでも撫でていたくなる可愛さね♪」(?)
「でしょでしょ♪葵ちゃんを撫でていると心が洗われていく気がするよぉ♪」(チ)
「・・・」
現状をお分かり頂けたでしょうか?私の両端にはルシー母娘が座っています。これは百歩譲って仕方ないと割り切りましたが…問題は、何故か二人とも私の頭を撫でている現状です。
両脇から頭を撫でられて続けてむずがゆいのに、二人とも何故か必要以上に私に寄り添って座っているので身動きが取れません…。
頼みの綱のルシーパパは、威厳たっぷりで向かいのソファーに座っている…つもりのようですが、その顔は私も混ぜてくれと言っている物欲しそうな顔です。もはや、私のおじ様の評価は底辺まで落ちました…
「いつまでもこうしていたいけど、そろそろ自己紹介から始めましょうか。ここは、家長であるあなたからお願いしますね?」(?)
「そ、そうだね。家長である私から話し出さないといけないよね。」(?)
私は見逃さなかった。話を振られて一瞬だけどとても嬉しそうな顔をしたのを…。ルシーパパの威厳は大丈夫なのだろうか?自分の家ではないのに、少し心配になってきましたよ…
それに、本来はルシーを介して自己紹介し合うと思うのだけど…良いのかな?
「うおっほん。私がこの家の家長、ウィルフレッド・コルネットだ。ルシーの父親に当たる。葵ちゃん、よろしくな。」(ウ)
「ウィルったら…仕方ないですね。私は、フィリーネ・コルネット。ウィルフレッドの妻、ルシーの母になります。よろしくお願いしますね。葵ちゃんには、気軽にママって呼ばれたいわね。」(フ)
「わ、私は、葵綴と申します…。ルシー…チェルシーさんとは出会ったばかりですが、友人だと思っています。その、フィリーネさんはとてもお若く見えるので、ママと呼ぶのは抵抗あるかなぁ?って…思います。」
「あら?葵ちゃんってば口上手ね♪でも、いずれ母と呼ぶことになるのですから…私のママと呼ばれてみたいと言うわがままを聞いてくれると嬉しいのだけど?」(フ)
「え!?えーと…」
「ママ!?葵ちゃんとの仲を認めてくれるんですか!? 」(チ)
「もう…そうやって都合の良い時だけママって呼ぶんですから…」(フ)
「えへへへ。ごめんなさい。」(チ)
「いいですけどね。葵ちゃんとのことは、先程までの会話でルシーがどれだけ想っているか大体わかりましたから、私は反対などしませんよ。大事なのは当人達の気持ちなのですから。もちろん、ルシーの子供が見られないのはとても残念ですけどね…」(フ)
「ママ…!?大好き♪」(チ)
そう言って隣に座る母親に抱き着くルシー。それはいいんだけどね?私が間にいるせいで、二人に挟まれているのです。そうすると、両側から恐ろしい双璧の山が襲ってくるんです。
元男としては嬉しいだろう?…自分で言うのも何ですけどね?もう、私が男だったなんてね…しっかりと思い出さないと最早忘れてますよ…。そして、この双璧の山に思うことは一つだけ…胸って柔らかいものだったんだね…あははぁ…
「抱き着くほど嬉しかったのは分かったけど、葵ちゃんが挟まれて困ってますよ?全く、ルシーは落ち着きがないのですから。」(フ)
「そう言いつつ、葵ちゃんを持って行かないで!?…お母様も葵ちゃんを気に入ったみたいですね。」(チ)
「ええ、とてもね♪こんなに素直で可愛い娘なんて早々出会えないものね♪後は…私の事をママと呼んでくれれば完璧なのだけど…どうかしら?」(フ)
「え?…あの…」
「もう、ママったら気がほんのちょっとだけ早いよ!ね?葵ちゃんも心の準備が必要だものね♪」(チ)
「えっとぉ…」
ルシーは私の援護しているようで…実はフィリーネさんの援護してるよね…。呼んでしまったらもう私に逃げ道なくなりそうなんですけど!?ど、どうしよう!?おじ様!底辺から浮上させますから助けて!!
そんな思いでウィルフレッドさんを見ると…
「うぉっほんうおっほん!」
私の視線に気が付いたからか、頷いた後ワザとらしい咳払いで注目を集めてくれた。おじ様、ありがとう♪こんな城に住んでいるだけあって、やるときはやるんですね♪
そんな風にウィルフレッドさんの株を急上昇させていると…
「あら?変わった動物の鳴き声がしますね?ルシーが飼い始めたのかしら?」(フ)
「いいえ?私は知りませんよ、お母様?」(チ)
「そう?なら気のせいですね。」(フ)
「二人とも…お願いだからこちらに注目してくれないか?」(ウ)
「初めからそう言ってくだされば良いのに。」(フ)
おじ様ー!?話し始める前からすでに劣勢じゃないですか!?・・・不安しかないけど、ここはウィルフレッドさんに賭けるしかない…
また変なところで区切ってしまいました…どうしても今日中にあげたくて(汗
相変わらず進んでいませんが、よろしくお願いします。