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4話 甘い物が好きだけど甘え上手って訳じゃない

 実際はそんなに経ってないかもしれないけど、私にとってはとても長い沈黙の時間が続いている。やっぱりショックだったんだろうな…。今までの全てが演技だったと思われても仕方ないし、何か言われる前に去った方がいいのかな?…ダメ、逃げずに受け入れるって決めたんだから待たないと…。


「ごめん」(チ)


「…うん」


 何についてのごめんかな?ずっと傍にいると言ったことへの?それとも、好きって言ったことへの?どのことへの謝罪だとしても、拒絶されたってことだね?罵声されなかっただけまし?でも、やっぱり辛いなぁ…


「謝らないで。…仕方ないよ、それが普通の反応だと思うし…」


「そうだよね…。やっぱり、そうだよね?そんな…そんな素敵な事を言われたら妄想に浸っちゃうのは仕方ないことだよね!!」(チ)


「そうだよ。そんなこと言われたら妄想にひた…え?今なんて?」


「妄想に浸っちゃうのは仕方のないこと?」(チ)


「その前…素敵な事って言わなかった?」


「うん、言ったよ?だって、葵ちゃんは転生前は男だったんでしょ?と言うことは…今も昔も女の私と付き合っても、結婚しても何も可笑しなことはないってことじゃない♪今後の生活を妄想して浸っちゃうのは至極当然のことじゃない?」(チ)


「当然のことではないでしょう!?元男なんだよ?私の事を気持ち悪いとか思わないの?」


「そんなこと言う輩がいたら、私が生きていることを後悔させてやるわよ!!」(チ)


「怖いよ!素直に喜べない反応だよそれ!?・・・本当に平気なの?演技してるかもしれないんだよ?」


「あのね、葵ちゃん。私の事を馬鹿にしてるでしょう?これでもそれなりに人を見る目はあるつもりだよ?葵ちゃんの反応ずっと見てたけど、素直な反応ばかりでとても可愛いし、演技してるとは思えないんだよね。それにね?」(チ)


「うん?」


「葵ちゃん、今の自分にもう馴染んでる感じがするの。さっきも「俺」って言ってた時違和感を感じていたでしょう?」(チ)


「実はそうなんだけどさ…」


「確かにさ、全部演技でぶりっ子なんてやってたら気持ち悪いとか思ったかもしれないけど、今の葵ちゃんを見ていてそれはないと思うし、万が一演技していたのなら凄い才能だと思うよ?もしそうなら、私を一生騙し続けていてね?そうすれば、私にとってはそれが真実になるんだし♪」(チ)


「凄い発想だね?でも、演技力には自信がないかなぁ…ルシーにはあっという間に見破られる未来しか見えないくらい…」


「残念!もっと色々な葵ちゃんが見られるかもと思ったのにぃ?」(チ)


「…ルシーは、欲望と言う脇道にそれ過ぎだと思うんだよね…」


「それは直せそうにないね!葵ちゃんが可愛いのが全て悪い!!」(チ)


「何という堂々とした責任転嫁…逆に言い返し辛いと言う…」


「フッフッフ、このまま攻め続けてなし崩しに葵ちゃんを手に入れて見せるのだ」(チ)


「…それ、私に言っちゃいけないセリフだと思うんだけど?」


「私は葵ちゃんに隠し事をしたくないの」(チ)


「さっきから素直に喜べないことばかりなんだけど…?」


「葵ちゃん。私はね…海より深く、大空より高く、葵ちゃんを愛してるんだよ?葵ちゃんはもうちょっと私の愛を素直に受け取っても良いんじゃないかと思うんだよ」(チ)


「…私が素直に受け入れたら暴走するんじゃないの?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなことないよ!!」(チ)


「…それだけ熟考しておいて言い切ったね?」


「熟考したからこそ言い切れたんだよ!私の愛は安全で健全なのですよ!!」(チ)


「…それで、本当の所は?」


「葵ちゃんが抵抗しないのをいいことに、あれやこれやで家に連れ込んで、ベッドに押し倒したところまで進みました」(チ)


「思いっきりそんなことあるよね、それ!?」


「ねえ、葵ちゃん。愛って素晴らしいと思わない?」(チ)


「この流れで言われると複雑なのですが?」


「じゃあ、一度私の愛を受け入れてみると言うのは?」(チ)


「だから、この流れで言うのは可笑しいから!?」


 そんなこんなで、私が際限なくヒートアップしていると…


「お客様、他のお客様が今はいないとはいえ、もう少し静かにして頂けると助かるのですが」(?)


「ご、ごめんなさい」


 マスターらしき人が来て注意されたので凄い勢いで頭下げて謝りました。…私はそんなに悪くないと思いたいのだけどね。


「ごめんなさい。葵ちゃんを責めないであげて下さい。悪いのは全部葵ちゃんが可愛すぎることなんです!!なので、葵ちゃんの可愛さに免じて許してあげてください」(チ)


「え?何を言って?」


「分かりました。そういう事なら仕方ありませんね。葵さんの可愛さに免じて今回は不問に致しましょう」(店主)


「え?何でマスターさんがルシーにのって…」


「やっぱり分かりますか!?葵ちゃんの可愛さが!!葵ちゃんの可愛さがあればどんな罪でも許されますよね」(チ)


「だから何言ってるの?元はと言えばルシーが…」


「はい。葵さんの可愛さがあれば世界平和も実現可能でしょう」(店主)


「さすがにそれは無理でしょう?と言うより、マスターさんも何言って…」


「ですよね?いやー、マスターさんはとても話が分かる人ですね!」(チ)


「分かってないよ!私の話は分かってないよ!?」


「いえいえ、ルシーさんこそお若いのに物事の本質をなかなかに理解されていますよ。素晴らしいことです」(店主)


「いや、分かってないよ?少なくとも私の話を聞かずにすぐに暴走しだすからね!?」


「いやいやいや、店主さんこそあっぱれです」(チ)


「何があっぱれなの!?」


「いえいえいえ、ルシーさんこそさすがですよ」(店主)


「何がさすがなの!?」


「「ハッハッハッハ!!」」(チ&店主)


「いい加減に私の話を聞けーー!!!」


「お静かにお願いします」(店主)


「あ、ごめんなさい。…って、何で私だけ悪者にされるのー!?」


「ね?葵ちゃんってとっても可愛いでしょ?」(チ)


「はい。とても素直で可愛らしい方ですね、葵さんは。私の娘もこれくらい素直で可愛ければ良かったんですが…もう遅いんですけどね」(店主)


「え?娘さんに何かあったんですか?」


 マスターが寂しそうに笑いながらそんなことを言ったので、つい聞いてしまってから繊細な問題だったかもと気が付いた。触れては行けない話題だったかも…


「はい。娘は…ろくでもない男に引っかかり遠くに行ってしまったのです」(店主)


「それは…複雑ですね。娘さんが元気に暮らせていればいいんですけどね…」


「はい。三ヶ月に一度の手紙じゃやはり心配です」(店主)


「そうですよね。三ヶ月に一度の手紙じゃ…え?手紙来るんですか?」


「はい。ろくでもない男がこうしたああしたと報告して来て、惚気るんですよ。困った娘ですね…」(店主)


「…そうですね。相手はろくでもない男なんですよね?」


「ええ、ろくでもない男です。傭兵という不安定で危険なことをしているくせに、娘をたぶらかしただけでなく、足繫く私と妻を説得しようと我が城に通い詰めて妻まで懐柔したのですから。そして、私の反対を押し切り、ついには結婚式まで挙げる始末…本当にろくでもない男ですよ」(店主)


「それは…ええと…きっと、傭兵ってだけでマスターの娘さんを本気で愛しているからこその行動だったんですよ。ね?ルシーもそう思うよね?」


「え?何が?」(チ)


 何と、ルシーさんはわれ関せずで緑茶すすってやがりましたよ!?さっきまで二人で結託して私をからかっていたと言うのに、自分の興味のない話題だからって変わり身早すぎでしょう…


「えっと…娘さんを心配する気持ちは全部分かるとは言いませんけど、娘さんもマスターさんの事を大事に思っているからこそちょくちょく手紙で報告していると思うんです。私なんかが言うのも何ですけど、認めてあげてはいかがでしょうか?娘さんもやはり、お父さんには認めて欲しいと思っていると思いますので…」


「はい。認めてはいるんですよ?ただ、やはり大事な一人娘には幸せになって欲しいので…いえ、これは私の父親としての意地なんでしょうね。しかし、葵さんは本当にお優しいですね。私だけでなく、見たことすらない私の娘まで心配してご意見下さるとは…いやはや、中々出来ることではないですよ」(店主)


「でしょう!葵ちゃんは優しいし、可愛いし、天使みたいな娘なの♪最優良物件ですよ!ただ、私がすでに買い占めましたけどね♪」(チ)


 私が何か言う前にルシーが割り込んできた。…あれ?さっきまでわれ関せずでお茶すすっていたよね?


「それは残念ですね。私に妻がいなければ年甲斐もなく猛烈なアプローチをしていたかもしれませんね」(店主)


「そんなこと言っていると、奥さんに怒られますよ?」


「ですから、妻がいなかったらと申したではないですか?」(店主)


「それをなしにしても、私はマスターさんの名前すら知らないのですよ?」


「私はアルベルト・ダルフォスと申します。以後お見知りおきを」(ア)


「私は綴葵(つづりあおい)です。こちらこそよろしくお願いします」


 マスター改め、ダルフォスさんが深々と頭を下げて挨拶してきたので、こちらも頭を下げて返礼しました。…ん?似たようなことがあったような…


「これで名前を知らない仲ではなくなりましたね」(ア)


「似たようなことが前に(と言うか今日)ありましたよ!」


「なるほど、葵さんはとてもおもてになるようですね」(ア)


「いえ、ただ単に弄られているだけだと思うんですよね…」


「そんな!これだけ態度で表しているのに私の愛が疑われていただなんて!?」(チ)


「凄い速度で反応した!?ルシーの愛は…信じていないと言うより、信じたくないほど苛烈すぎると言いますか…」


「愛に上限何てないんだよ!私は、この愛が葵ちゃんの全身に染み渡るまで攻撃の手を緩めないからね!!」(チ)


「ごめんなさい。緩めて下さい。身が持ちません…」


「ふふふ、葵ちゃんたらまた照れちゃって♪」(チ)


「何でそこはいつもポジティブにしか反応出来ないの!?」


「愛ゆえに?」(チ)


「理由になってないから!!」


「「お静かにお願いします」」(チ&ア)


「あ、ごめんなさい…って、何で二人は息ぴったりなの!?」


「何故でしょうね?」(チ)


「さあ?私にも分かりかねますね」(ア)


「申し遅れましたけど、私はチェルシー・コルネットです」(チ)


「なるほど。だから葵さんがルシーと呼んでいるのですね。私はコルネットさんと呼んだ方がよろしいですかね?」(ア)


「いえ、ルシーで結構ですよ。アルベルトさんには、何やらシンパシーを感じますので♪」(チ)


「おや、こんな綺麗なお嬢さんにそんなことを言われるとは…私のモテ期こんなに遅く来るなんて思いませんでしたね」(ア)


「ふふっ♪残念ながら、私と葵ちゃんは相思相愛♪薄っぺらな紙一枚も入る隙間なんてありませんよ?」(チ)


 もうツッコミなんて入れてあげないと、そっぽ向いていたら…


「ねー?葵ちゃん♪」(チ)


 そう言いつつ、私を横から抱きしめて手を服の中に入れてきた…ちょっと!?


「ななな、何してるんですかーー!?」


 物凄い勢いでルシーから離れ、自分の胸を両手で隠すようなポーズを取る私がいた。・・・悲鳴を上げなかったからギリギリでセーフだと思いたい…


「やはり、キャミの下にはちゃんと柔らかい感触があったね。小さな膨らみ…でも、私だけの膨らみが♪」(チ)


「やめてやめて!セクハラ反対です!私は何も聞こえませんから!!」


 両手を耳に当てて、嫌々と身体を揺らす。・・・考えるのはよそう。こんな動きが自然と出るなんてもう手遅れだろうけどね…


「ふふっ♪葵ちゃんってば本当に可愛いんだから♪」(チ)


「すみません。さすがにそういう行為は、二人きりの時にお願いします」(ア)

「ごめんなさい。それじゃあ、私の部屋に行こうか?葵ちゃん♪」(チ)


「今までの自分の行動を振り返ってみて?私が大人しくルシーの部屋に行くと思っているの?」


「うん♪」(チ)


「すっごい笑顔で即答した!?ルシーの思考回路を一度覗いてみたいよ!!」


「私の事が知りたいの?なら、やっぱり私の部屋に来てみるしかないね♪」(チ)


「凄いや…どうあってもその話に収束するように持っていく気だね…」


「ふふっ♪運命ってやつだね♪」(チ)


「…随分と強引な運命だね…」


「どうやら話はまとまったみたいですね。」(ア)


「え?まとまってないよ!?」


「はい!どうやら私の部屋であれこれすることになりそうです♪」(チ)


「だから、行くって言ってないから!しかも、あれこれって何する気なの!?」


「え?聞きたいの?」(チ)


「真顔で聞き返すのやめて!聞きたくなくなりました…」


「本当にお二人は仲がよろしいですね。羨ましくなりますよ」(ア)


「ダルフォスさんは眼鏡でもかけた方が良いと思います」


「そうですか?似合いますかね?」(ア)


「そのままの意味で取らないで!?」


「冗談ですよ。葵さんは本当に素直で可愛い方ですね。迷惑をお掛けしたお詫びに本日のお会計は無料とさせていただきますね」(ア)


「え?良いんですか?」


「その代わりと言っては何ですが、またこの店をご利用して頂けると幸いです」(ア)


「・・・気が向いたら」


 本当は直ぐにまた来ますと答えたかったけど、余りすぐに食いつくと甘味大好きなのがばれてしまいそうなのでそっけなく答えた。え?もうばれてるだろう?…ば、ばれてはいないはず…


「そうおっしゃらずに。お二人とも美人さんですから店の客寄せにもなりそうですし、もし来ていただけたらその都度デザートを一品サービスさせて頂きますよ?」(ア)


「!?」


 危ない…即刻食いついちゃうところでした…落ち着け私。そう、お店の為に仕方なく着てあげよう的なニュアンスで行くのだ…


「仕方ありませんね。お店の繁盛に繋がるならちょくちょく来てあげます」


「ええ。是非お願いします」(ア)


 にっこりと笑ってお願いしてきたアルベルト(・・・・・)さん。どうやらばれてないようです。やれば出来るじゃないか、私。あっと、一応二人ともって話だし…ルシーにも来るように促すかな?


「ルシーも良いよね?」


「うん。もちろんいいよ♪」(チ)


 うん?何その母性溢れる笑顔は…まるで微笑ましい光景を見てますみたいな飛び切りの表情してますよ?

・・・え?まさか全部ばれてるってことないよね?そう思いつつそっとアルベルトさんの方の様子を伺うと…


「おや?どうかされましたか?」(ア)


 すぐに表情を変えたけど、一瞬見てしまった。ルシーと同じような表情をしている顔を…。恥ずかしい…完全にばれているじゃない…穴があったら入りたいです・・・


「葵ちゃんてば可愛すぎ!気にしちゃダメだよ?私の家で慰めてあげるよ♪」(チ)


「…うん」


 もちろん、行く気はないけど今すぐにここから立ち去りたいほどの羞恥心から頷いた訳だけど…


「キタキタキターー!!?ついに葵ちゃんがデレたーーー!!すぐ行こう!!今行こう!!アルベルトさん、ありがとう!貴方の援護のお陰で葵ちゃんがデレてくれました♪あ、ご馳走様でした。とても美味しかったです」(チ)


「ついでみたいに言って…ご馳走様でした。とっても美味しかったです。また来ますね」


 暴走について指摘したところで収まりそうになかったのでスルーすることにした。…ダジャレじゃないよ?それにしても、これ止められるかな…。まあ、ルシーもなんだかんだ言って無理には家に連れ込まないはず。・・・連れ込まれないよね?


「いえいえ、お口にあったなら良かったですよ。繰り返しになりますが、お二人とも是非またいらして下さいね」(ア)


 そう言って暖かく見送ってくれたアルベルトさんにもう一度お礼を言いつつ店を後にした。

自分では頑張って書いているのですが、いつになったら設定生かせるところまで進むのか謎です(汗

相変わらず、区切るところが分かっていませんが、よろしくお願いします。



最終更新日、一部編集改変しました。

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