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デシン
ここは、ロウ半島の小国シンドの港町カルウ。
カルウは、「イルカが来る町」という意味で、その名の通り、ここはイルカの回遊地点として有名である。
この国は、地形的に古来より交易が盛んで、大小さまざまな商人がこの地を拠点に経済活動に従事していた。
そのなかには、金融・武器商人・遠隔地交易などで、大貴族や宮廷に取り入り、政治に介入する者もいた。
ここ、カルウに一人の少年がいた。歳は十歳で、碧眼、黒髪、肌色の肌をしており、やや小柄である。
名は、デシンといった。祖父は、シンドの宮廷の御用達であり、父は金融業と小さいながら遠隔地交易にもあずかっていた。デシンは、七歳から祖父と父の手伝いをするようになったが、海の向こうの世界へのあこがれが強く、冒険心にかき立てられていた。
そこで、成人としての扱いを許される十歳になると、貯めていたお金で航海の準備に取り掛かるのであった。
デシンの運命は果たして…