7話 トモダチ
「さーおとめ!さっきやばかったね?」
「小野・・・他人事でしょ、それ」
「だっておもしろいでしょ?あんなに乙女展開嫌いだった早乙女がイケメン転校生にさぁ・・・」
「なっ別に好きじゃないよ!」
「何も言ってないけど??ニヤニヤ」
しまった、墓穴ほった。
今話してる子はあたしの中学からすごく仲いい友達、小野 梨々香。
あたしとは違ってオンナノコって感じで少女漫画も大好きな子。
なのにいっつもあたしと一緒にいてくれるんだ。
「・・・ねー今日放課後時間あるー?部活休みでしょ?ちょっとお喋りしよ!」
「はぁーい。時間ならありますよー。モックでいい?」
「あ、ううん。奢るからツタバいこ?」
(ツタバとはツターバッキュスという有名なおいしい飲み物が売っているカフェ的な店。ちょっとお高い)
――放課後・・・
はぁぁぁぁ疲れたぁぁぁぁ
あの後もさんざん佐倉は眠り続けてた。
それなのに先生にはばれないし謎に私はいっぱい当てられるし。
その上なんかたっちょんもいつもよりちょっと冷たかったような気がする。
「んでさ。しゃべりたいことって何なの?」
「んー?いやぁ、早乙女さ、正直佐倉にビビッときてんしょ?」
「はぁ?」
「まーさ、いくら乙女的展開が嫌いな奴でもいざ少女漫画の中に投げ込まれたらヒロインになっちゃうってことだよ」
「いやいやいや、あたしが嫌いだっつってんのは少女マンガじゃなくてその現実感のなさとそれに恋して現実見えてない女の子たちなんだって」
「うんうん、じゃあ別に恋しちゃっていいんじゃない?乙女展開でも。現実見えてたらいいんでしょ?」
「その前に・・・さ。あたしはたっちょ・・・坂井が好きなわけで」
「あーんな振られ方してまだ好きでいるあんたがおかしーわ。てかさ、振られてんだから、好きな人かわろーが何しようが早乙女の勝手でしょー?てかやめればいいじゃん。坂井に執着すんのも、少女漫画嫌いって言ってんのも、そのせいで女の子らしくすんの恥ずかしいって勝手に思うのも。」
別に執着してないし。女の子らしくするの恥ずかしいわけじゃないし。
「違うって。うざいんだけど」
「もー、やっぱし昔からこれ言うとそーなるよね!そろそろ時間だしかえろっか」
そういった帰り道、小野とも別れて家への帰り道。
目の前に立っていた姿には見覚えがあった。
恐ろしい。