6話 きっと
一時間目が始まってもう十分近くたっている。
あたしはというと全然授業に集中できてない。
なんでかって、前で、隣で、イケメンたちが授業を受けているんですもの!!
前者はじーっと黒板を見て、話を聞いてる。
後者は。。。ちらっと横を見ると、空を見ていた。
雲の少ない晴天の日。そんな空を、あの時たっちょんを見てたみたいにじーっと見ている。
イケメンってやっぱり何してもイケメンなんだなーって思ってみてると、佐倉がこっちを向いた。
目が合う。
佐倉の驚いた顔。
「ご、ごめんなさいぃぃ!!!」
静まり返る教室。
「・・・早乙女ぇ、何がごめんなさいなんだぁ?言ってみろぉ」
「え、いや、その・・・すみません!!」
「しょうがないなぁ、じゃあこの問題が解けたら許してやるよ!!」
出された問題は超々難しいもの。
わわわわわわ分かんないぃぃぃ
ちらっと助けを求めて前の席を見るとたっちょんも分からないって顔してる。
どうしたら・・・・・・
コンコン
机からなったオト。
ふと机を見るとノートの切れ端に計算式が書いてある。
「・・・3」
「お、正解だ。座れ」
きっと、佐倉が書いてくれたんだよね。
乱雑に破り取られたノートの切れ端に書かれたきれいだけど急いで書いたような字。
思わずきゅんとしちゃう。
そっと横を見ると今度は寝てるじゃん。
なんで先生に気づかれないのよ・・・
っっっっって超々乙女展開じゃない!!!!
何なの?少女漫画なの!?あたしはヒロインなの!!!???
それからしばらくして授業が終わると、佐倉は席を立ってどこかへ行こうとしていた。
「ま、待って。佐倉!さっきのメモ・・・佐倉だよね。ありがとう」
佐倉はちらっとこっちを見ると照れくさそうに、「・・おう」と呟いてそのまま行ってしまった。
「なぁ、さっきの問題よく解けたな」
「え?あぁ、佐倉が教えてくれたの!!」
「佐倉が?へぇぇ、そんなことする奴なんだなー。意外」
「きっとすごい照れ屋さんなんだよ。いいじゃん、そういう人」
佐倉はきっといいやつだ。あたしはそう思うことができるんだ。
夢子がなんとも女の子になっている。