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飯も酒も好きなんだ

作者: 朔立花

めんつゆ及び胡麻油、鰹節をご用意いただきますと、一層空腹感が増しますので、ご注意ください。

雑多に花やら野菜やら植えてある裏庭。勝手口の横の水で小さなニンジン10本の泥を洗い流し、ぶんっ、と腕を振って水を払う。


勝手口から入ってカラコロ鳴るツッカケを脱ぐ。上がった板の間は日が落ちて更にひんやりしているので、脱ぎっぱなしにしていたスリッパをそそくさと履いた。


ぼつぼつした突起がツボを刺激してくる。いてて、と言いながら流し台にニンジンを放り込むと、一本ずつ手にとっては頭としっぽを切り落としてゆく。


皮は柔らかいから剥かないでおいて、もう一度表面をさっと洗ったら、ホウロウの小鍋に水とニンジン、粗塩を少々。貰い物の昆布もひとかけら。


トロトロとろ火で、コトコト煮ている間に、大森さん家の木綿豆腐を二センチの厚みに切って、水切りしておく。


もうひとつのコンロでは、鍋でお湯を沸かす。粗塩を適当に入れる。


ニンジンの葉は大きな鍋に水をはって、中で振り洗いした後、水を切る。ザクザク刻んで、お湯に入れ、さっと沸騰したら、ざるに揚げてお湯を切る。


大きな鍋を洗ってきれいな水をはって、ざるごと葉を浸す。水はちょろちょろ掛け流し。ニンジンの葉の癖を少し抜きつつ、ニンジンの様子をそっと菜箸で確認する。もう煮えたようだ。


ホウロウの鍋の火を消して、少し冷ます。

流し台で水がちょろちょろ。

ポットのお湯で、砂色の四角い深めの皿を温めておく。


乾いた皿に片栗粉をひいて、さらしの布巾で水気をとった木綿豆腐を一枚ずつのせる。ひっくり返して、裏にもつける。


フライパンを熱して、胡麻油をひいて、豆腐をそっと入れる。片栗粉がジジッと音をたてながら焼けてゆく。できるだけ動かさない。端に色がついたら、そっとひっくり返す。


温めておいた砂色の四角い深めの皿の水気を布巾で拭う。

豆腐を二枚重ねて、その上に小さなニンジンを一本。


空いたフライパンに削り節の細かいものを入れて、火を入れて香りを出して、親戚がくれためんつゆを入れる。ジュワワァと音をたてながら、香ばしい匂いが充満する。


皿に盛った豆腐そしてニンジンの上から、そうっと鰹節の濃いタレをかける。


水にさらしたニンジンの葉を少し、ギュッと絞って細く縦に天辺に盛り付ける。

お好みで、一味を少し添えて。




盆に乗せて、食卓のある部屋へ行くと、一つ以外の全ての座布団が埋まっていた。


「お待たせしました」


アキは手早く今晩の主菜を、家主の喜一の前に置いた。作り置きの南瓜の煮付けもそっと並べる。全員の前に食事が並ぶまで、さほど時間はかからない。


喜一がうなずき、目元の皺を深くして口を開く。


「今日も、お疲れ様です。頂きます」

尚、筆者は昆布を昆布茶に変更することがしばしばありますので、悪しからずご了承くださいますようお願い申し上げます。

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