七年前の約束
ピンポーン。
茜の家に付き、チャイムを鳴らす。
「はーい。樹君、久しぶりね」
茜のお母さんが、ドアを開けながら、にこっと笑いながら言う。
「茜が亡くなったって本当ですか?」
「・・・ええ。茜から手紙預かってるの」
「俺に?」
「ええ。あの子の部屋の机の上にあるから、読んであげて」
「はい」
茜の部屋に行き、部屋を見渡す。
小さい頃から、何も変わってない部屋。
変わったと言えば、もう茜は、ここにはいないということ・・・。
机の上の手紙を手に取った。
水沢樹様
この手紙を読んでるってことは、あれから七年が経ち、今日は、十月十二日になったんだね。
あの時の、約束忘れたことなかったよ。
約束の橋に行きたい!
でも私は、七年後にはもう・・・。
樹に、ずっと言えなかったことがあるの。
小さい頃から、心臓が弱くて、よく発作が起きていたの。
樹に気づかれないように、ごまかすの大変だったんだよ。
樹には、余計な心配かけたくなかったから、言わなかったけど、最後にどうしても伝えたくて、こうして手紙を書く事にしたの。
タイムカプセルの七年後の夢。
私は、白紙のまま中に入れてしまった。
もう生きてないことが、分かっていたから。
でももし、私が生きてたら、その紙には、
”樹のお嫁さんになる”
って書いてたよ。
だってね、私、樹が初恋の人だったから。
ごめんね・・・。
ずっと隠していて。
樹の夢はなんだったのかな?
叶うといいね。
樹と過ごした、約十年間、本当に幸せだった。
ありがと。
樹には、明るい未来があるから羨ましいな。
最後になるけど、約束守れなくてごめんね。
いままでありがと。
さようなら・・・。
杉浦茜