七年前の約束
「今は、大丈夫なのか?」
「う・・・うん」
「そうか。じゃあ、俺の夢を見てくれよ」
紙をひろげて、茜に見せようとした。
「ごめん、私、もう行かなくちゃ」
「行く?行くってどこへ?」
「会えて良かった。ありがと」
茜は、そう言うと消えてしまった。
「茜!」
俺は、叫んで気づいた。
なんだ、夢だったのか。
今までのことは、夢だったんだ。
ベッドの上でぼーっとしていた。
「え?」
二枚の紙を手にしていた。
「なんだよ、これ」
タイムカプセルの中身。
白紙の紙と、俺の夢が書いてある紙。
「なんで・・・。あれは夢だったのに、なんで・・・」
ドンドン。
「樹、起きてる?」
母さんが、ドアを叩いて、部屋に入ってきた。
「なんだよ。勝手に入ってくるなよ」
「それが、今、杉浦さんの奥さんから電話があって、茜ちゃん覚えてるでしょ?」
「ああ」
「落ち着いて聞いてね。三年前に亡くなったそうよ」
「・・・なんの冗談だよ!」
「冗談なんかじゃないわ」
「なんで、三年前の事で今頃、電話かかってきて、報告あるんだよ!」
「茜ちゃんの頼みみたいよ。どうしても今日まで、連絡しないでって、強く頼まれたんですって」
「・・・」
「茜ちゃんのご両親、今、元の家に帰ってきてるらしいの。手紙があるらしいから、茜ちゃん家にいってらっしゃい」
俺は、まだなにがあったのか、分からなかった。
茜が死んだ?
信じられない。
着替えて茜の家に向かった。