七年前の約束
月日はたち、俺も二十歳になった。
あれから一度も茜に会ってないし、連絡もしていなかった。
茜のやつ、七年前の約束ちゃんと覚えてるかな?
彼氏できちゃったかな?
俺は、茜の事を一度も忘れたことはなかったし、今でも好きな気持ちは変わらない。
いよいよ、明日約束の日だ。
茜に会える。
七年前の約束を、ずっと楽しみにしていた。
「もしかして樹?」
後ろを振り返るとそこには、茜が立っていた。
「茜、七年たつのにあまり変わってないな」
「う・・・うん。久しぶりだね」
「ちゃんと、約束覚えてたんだな」
「もちろんだよ。忘れたことなかったよ」
七年前の約束の橋の上で、茜に会った。
「じゃあ、早速タイムカプセル開けようぜ」
「本当に見るの?」
「当たり前だろ。何しにきたんだよ」
「会えただけでもいいじゃん」
「ばーか。俺は、どうしても茜に見せたいんだよ。俺の夢を」
「・・・」
タイムカプセルを砂浜から出し、開けた。
「ちゃんとあるもんだな。茜のから見るか」
「・・・」
紙を広げた。
「なんだよこれ!白紙じゃねか!」
「・・・」
「なんで何も書いてないんだよ。タイムカプセルなんてばからしいとでも思ってたのか?俺の事ばかにしてたのかよ!」
俺は、久しぶりに茜に会ったというのに、怒鳴ってしまった。
七年後の今日、タイムカプセル開けて、白紙だったなんて・・・。
「ごめんね、樹・・・。馬鹿にしてたわけじゃないよ」
「じゃあ、なんでだよ」
「私ね、私、七年後の自分がどうなってるか分かんなかったの」
「なんだよそれ」
「樹にはずっと言えなかったんだけど、小さい時から、心臓が弱かったの」
「なんだって!」
「お父さんの転勤で東京行ったのも嘘なんだ。大きな病院で、いい環境で治療しないといけなかったの」
「そんなこと何も言ってなかったじゃないか。それに、小さい頃から、ずっと一緒に遊んでたじゃないか。別に元気だったろ?」
「それは、樹に心配かけたくないから、つらくなったら、トイレに行ったり、なんとかしてごまかししてたんだよ」
「俺達、幼馴染じゃないのかよ!なんでも話してくれてもいいだろ。今更そんなこと言われても・・・」
俺は、だまってしまった。
気づいてやれなかった自分に、腹をたててたのかもしれない。