帝都守護ホシノスメラギ<鳳凰院麗華>
毅然とした足取りで大きく瓦解した窓へ歩む鳳凰院さん。
妖精の様に整った容姿をしてる為、
無個性な学園の制服すら鮮やかに映える。
更に別個の様な輝きを放つ黒髪。
こんな場合じゃなければ、僕だって魅了されていただろう。
しかし今は緊急時だ。
ああやって鳴神君が前衛を努めてくれてるが、突破されるのは時間の問題。
数を増すガーゴイルを早く何とかしないと……!
焦ってステッキを構える僕。
そんな僕の手を優しく押さえながら、
「大丈夫ですわ、神楽くん」
「でも、このままじゃ鳴神君が!」
「大変不本意ですが……
特別にお見せ致しますわ。
帝都守護職<星皇>の術を」
「え”?」
疑問に思う暇があればこそ、
上品に懐から扇子を取り出し構える鳳凰院さん。
軽く目を閉じ、何やら口ずさんだ瞬間、
「な、なんだこれええ!!?」
驚愕する僕。
彼女の前方の空間に、輝く光球が無数に浮かび始めてた。
まるで空に舞う花弁の様に。
魔力を感知できる魔法少女の僕だから分かる。
この魔力量は先代魔法少女の最終魔法にすら匹敵する!
「星皇流魔導術<五月雨の舞>」
その言葉を核とし、
幻想が現実を塗り替える。
石像目掛け砲弾の様に放たれる光球。
視界を埋めつくす光の軌跡。
轟音と閃光。
何とか眼が回復した後には、
綺麗さっぱりガーゴイル達は消えていた。
きょ、驚愕するしかない。
こんな身近にこんな使い手がいただなんて!
あわわ、と慌てふためく僕。
しかし助けられたとも感じてないのか鳴神君……
宇宙刑事ジャスティオンは軽い感じで手を挙げ、
「お~サンキュ。助かったわ」
と軽めのお返事。
鳳凰院さんも肩を竦めて、
「お安い御用ですわ」
と雑用を代わりに代行したぐらいの返事。
いやいやいや、ちょっと待って。
色々おかしいでしょ、そこ。
「鳳凰院……さん?」
「麗華で結構ですわ」
「じゃあ麗華さん」
「何ですの、神楽くん」
「今のって……」
「ああ、わたくしの所属する組織<帝都守護職>の……
やんわり微笑んだ麗華さん。
しかしその彼女の影から、
「危ない!」
突如現れ彼女に迫る鬼の様な手。
平面世界を利用した召喚術!?
間に合わな……!!
術を使う暇はなく、せめて彼女の身代わりをと思った矢先、
「もう……一つ貸しですよ、麗華」
「あら、委員長。
ありがとうございます」
周囲を囲む障壁。
影の鬼を寄せ付けぬそれによって僕達は守られていた。
立ち塞がった委員長が展開したと思われる。
(委員長、お前もか……)
最後の心の拠り所が崩壊していくのを感じつつ、
委員長……如月真綾は穏やかに微笑むのだった。
って、もう!
そろそろ色々限界なんですけど?(涙)
さ~出揃ってまいりました!(><)