宇宙刑事ジャスティオン<鳴神悠馬>
「どういうことなの、霧島君?」
「マジありえないんですけどー」
「良く出来てますわね、これ」
「あ~でも確かにな」
「なかなかの魔力値と推定」
「ん~可愛い顔してやるな、神楽」
委員長に遊び人、お嬢様にイケメン、理系女子に苦労系男子。
共に転移してきた級友達に囲まれながら、僕は困窮してた。
何から説明すればいいのやら。
まずは僕が魔法少女になった切っ掛けから……
何て悠長な事を考えていると、
「と、今はそんな事を追及してる場合じゃないな」
クラス一の美形で気遣いの出来る男、鳴神悠馬は皆を遮り言った。
その手に、どこから出したのか黒光りする銃を持って。
「うあっ!」
思わず仰け反る僕。
魔法少女とはいえ、銃を見たのはこれが初めて。
本能的に恐れを抱いてしまう。
けど鳴神君はそんな僕を無視し、銃口を向けてくる。
普段優しい笑みを常に浮かべたその顔は、怖いくらいに真剣だった。
ななななななに!?
両手でホールドアップし抵抗の意志はないことを示す。
目の前で構えられた銃。
その銃は、テレビで見る様な通常の物より何というかデフォルメされていた。
そう、まるで小さい時に見た……
一瞬にして思い浮かぶ連想。
しかし立ち竦む間もなく引き金は引かれ、
ミュ~~~~ン
顔脇を掠める様に、閃光を上げる銃。
え?
今なんかビームっぽいの出なかった?
驚きに後ろを振り返った先で、
新手のガーゴイルが砕け散っていた。
銃……光線銃による一撃を喰らって。
「油断大敵だぜ、神楽」
星が浮かぶようなウインクを一つして、イケメンぶり発揮する鳴神君。
如何にも戦い慣れた強者アピールするようにクルクルと銃を仕舞う。
いやいや、そうではなく。
「え? ……と、これ」
「皆の前で正体を晒したくなかったんだけどな。
巻き込んだら悪いし。
ただ今は緊急時……そうも言ってられないか」
「あの、その……鳴神君?」
「<瞬着>!」
奇妙な構えと共に発光する鳴神君の身体。
その身体は光に包まれたまま空へ浮かび、瓦礫と化した塔の上に着地する。
次の瞬間、光が霧散され、そこにいたのは!
全身を隙間なく覆う銀のメタリックボディ。
鮮やかに輝く電子回路。
手に構えた銃と……レーザーブレード。
もしかしなくともこれって……
「学園特捜、宇宙刑事<ジャスティオン>!!
学園の平和を乱す輩は俺が許さない!」
人として言ってはいけない言葉を言い放ちつつ、鳴神君は宙に舞う。
その前にはどう反応していいか困惑してる風のガーゴイル達。
気持ちは分かる(うんうん)。
けど鳴神君はそんな事はお構いなしで、
「ジャスティスブレード!」
と、レーザーブレードで斬り捲る。
小さい頃に観た威力そのままで、石像を紙みたいにスパスパ斬る鳴神君……
いや、宇宙刑事ジャスティオン。
しかし敵側もさるもの。
騒ぎを聞きつけ、次々と集まってくるガーゴイル達。
あの数を前には流石の彼も……
ステッキに手を伸ばし、魔法で支援しようとする僕。
その僕の前に、
「やれやれ、ですわ。
このままでは習い事に間に合わなくなってしまいます」
学園一のお嬢様。
鳳凰院麗華様が立ち塞がるのだった。
……って、まだ何かあるの!?
正直、僕の現実認識許容量はもうおなかいっぱいですよ! はい(涙)
超展開。
さ~次は何がくるのでしょう(投げやり)。