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非魔法少女主義!  作者: ミサキ
12/14

phase12

 俺は黙りこくったヘッドフォン娘の装いに一番の違和感を覚えつつ、紗都の横へ並んだ。

「おい、俺が話をつけてくる。このバリアみてえのを解除しろ」

「無理よ」

「役不足なのは解った上で言ってんだ」

「今のあなたは力不足でしょ。無理なものは無理よ」

 俺の申し出を却下すると、紗都は視線を正面から動かさずに、

「あなたの身はおろか、私さえ苦戦するかもしれないの。圷ちゃんの能力とは相性悪そうだし」

「のほほん娘が来ただけでか? ドジばっかで凄そうにゃ見えねえけどな」

 哀歓を織り交ぜた表情で紗都は圷を見つめる。

「私の魔法を遮断してみせたのよ。アニメで言えば光の属性。防御特化ってとこかしら」

 語ってる内容が理科の話題にでも聞こえてきそうだぜ。

 紗都はチークブラシを口に咥えると、出し抜けに左手で自分の胸部を触り出す。

 ……何やってんだ、こんなときに。

 反対の手を突き上げた先に、傷だらけの黒ブレザーが握られていた。

「そんなもん増やして――」

「来るわよ」

 唇で棒を挟んだまま押しのけるように言い、右手に持った二着目をマントでも羽織るかのように重ね着する。

 あ?

 それは本当にマントのようなものに変化していた。

 ローブだかクロークだか名称なんか知ったこっちゃないが、足元まで隠れる真っ黒な布きれは、内塔がジェミニシティで身に着けていたのと同様のものだ。

 紗都はフードを被って顔を覆うと、チークブラシを手順もなくスイングする。

 何を狙ってんだと斜め上に向けた俺の視野へ、無謀とも思える行動を成す人物が投影された。

 こんなに近くまで……。

 褐色肌の中性的女子が紫バリアの上に立ち、狂ったように足元へ斧を叩きつけていた。

 紗都も紫の刃を飛ばしまくって応戦するが、ぼんやりと発光した乃浪の身体は、その刃すべてを弾いていく。

「近距離型はこうじゃないと、かな」

 ぞっとするほど冷たく言った乃浪に対して、

「圷ちゃんに防御魔法を施されたのね」

 紗都は客観的見地から見ているようにあばき出す。

「やっぱり仲間って大事かも。そこに立ってるあんたは手助けしてあげないのかな」

 乃浪は手を休めることなく、俺に言葉で牽制してくる。

 舐めやがって――。

 さすがにキレそうになる。しかし、こいつにではない。特等席とも言える場所で歯ぎしりをしながら観覧している俺自身にだ。

 視界の端に映り込む他の四人は、光の陣地内で動こうともしていない。圷だけが両手を開いてこっちへ向け、三人は戦況を見定めているといった佇まいを見せている。

 一瞬目を離した隙に、褐色ガールの姿が消えていた。

 どこへ行きやがった。

 顔をあげて行方を探す。氷の斧を振り上げた乃浪が、俺の頭上へ打ちつけようと降下してくるのが目に入る。

 ヤバい、と俺はそれ以外に考える間もなく二、三歩後退してしまった。

「外に出たらダメよっ」

 紗都が飛ばした声と同時に、乃浪の斧が紫ドームを通過する。

「さよならかも」

 鋭利な氷細工が目前に迫る。怖さはあったが不思議と目を瞑ることはできなかった。

 何もできないまま終わりかよ――。

 諦めかけた俺の前を何かが横切っていった。氷の斧じゃない。

 冷たそうなそれはあと数センチという顔前で停止している。いや、停止させられていた。

 チークブラシを伸ばした紗都が、片手を震わせ受けきってくれていた。

「そう来ると思ったかも。マトリッチ・サトランダ」

 ここぞとばかりに冷たい笑いを見せつけた乃浪は、

「ライっ、火弥子!」

 紗都を睨んだまま仲間の名を叫んだ。

 紫色の半球は乃浪に突き破られたのか、跡形もなく消滅しちまってる。いま攻撃されたら紗都が……。

「いっくよー」

 鳴世が締まりのない声で返事をすると、紗都の身体へ半固体化した雷のようなジグザグが巻きついていった。

 唖然とした黒フードの中身が、瞬時に俺の傍から離れていく。

「紗都っ」

「動かないほうがいいかも」

 乃浪が斧の角度を変え、俺の首に近づけてくる。

 クソっ。

 黒衣装の紗都は鳴世が持つ黄色い鞭的なものに引っぱられ、ヤツらの陣地前へと運ばれてしまった。

「ゴメンよー、眞取っち。ドンデゥル、エーンプルス!」

 止めろ……。

 紗都の頭上がグレーに濁り始め、音もなく稲妻が走った。

 黒い煙が立ち昇る。身体へ直撃したのか、紗都は仰け反ったまま動きをみせない。

「鳴世っ、止めろっ!」

 俺の叫びもむなしく、鳴世は追い打ちの一発を紗都に浴びせやがった。

 更なる追撃とばかりに双子妹が小指に口をつけ、

「ヴュールスピラール」

 崩れ落ちそうになる紗都へ、DNAのような二重螺旋を描く火焔を放つ。

「てめえら……」

 俺は乃浪を振り切り、紗都の下へ駈け出した。

 絡み合った二本の炎が紗都を襲う。無防備な身体は抵抗も見せず、派手に吹き飛ばされた。

 ……紗都。

 移動魔法を使ったのか、走る俺の前へ乃浪が立ちふさがる。

「どけっ」

 肩に手を掛け横へと追いやり、そのまま止まることなく俺は走り続けた。

 今のはマジでヤバいはずだ。必殺ブローを棒立ちで二、三発喰らったようなもんだからな。

 水飲み場の前でぶっ倒れている紗都を見て、思わず自分が倒れそうになった。

 身体の至るところから黒煙が噴出している。

「おい……」

 声を掛けると、紗都はゆっくり上半身を起こしていく。

 意識はあるようだな、と胸をなで下ろしつつ、

「もうこれ以上は止めとけ。俺のことは気にせず、移動する魔法が使えるならすぐに逃げろ」

 紗都は黒フードの中から口元だけを見せ、

「……逃げる? 絶対に嫌よ。だって、約束したじゃない。あなたを守ってみせるって」

「そんなガキの頃の口約束なんかどうでもいい。とにかくこの場から消えてみせろっ」

「この場からではなくこの世からなの」

 久々耳にする大人びた声が後方から静かに届く。その持ち主のもくろみを察知し、俺は確認するために振り返る。

 小柄なヘッドフォン娘が弓を構え、俺たち二人に狙いをつけていた。

 千代田の指が離れたのを目にした瞬間、俺は紗都を抱えて横へ転がった。

 逃げ遅れて矢を喰らったかと思ったが、喰らったのは俺じゃなかった。紗都のローブに、矢が貫通したような空洞ができている。

 クソっ、こんな間近で飛び道具かよ。

 ミディアムボブの頭を不思議そうに傾げ、千代田がすかさず姿なき矢を掃射してくる。

 俺は紗都を肩へ担ぐと、蛇口が六つ並んだ水飲み場の裏へ飛び込むように避難した。

 ズサっと、下になった俺の背中が地面と擦り合う。

 コンクリートをぶち抜いてまで風の矢が追尾してくる気配はなかった。

 今のは確実に回避できるタイミングじゃなかったはずだ。何発かはもらう覚悟だったが、俺に激痛が走った箇所はない。千代田のヤツ、器用にも紗都の身体だけを狙ってんのか?

「……少し休めたから、もう大丈夫」

 俺の耳元に、カフェで一息ついたような紗都の声が流れる。

「何言ってやがんだ。被ってる布きれだってボロボロじゃねえか」

「これを纏っていたから耐えられたの」

 紗都はすくっと立ち上がると大きく息を吐き、

「なかなかの連携プレーだったわね。でも、私はまだ消滅するに至ってないわ」

 五人に聞こえるように布告し、跳び箱を越えるようにして水飲み場の前へ舞い降りた。

 千代田が武器を携え前線に、乃浪は正六面体の拠点へ戻っているようだ。

 出て来られるのは一人だけってことなんだろうか。よっぽど守りが固えんだな、あのおとぼけ少女がこしらえた光のワンルームは。

 双子妹が代表して答えますみたいな顔で、

「そちらのお仲間はわたくしたちが排除させて頂きました。あとは、あなたを倒すのみです。魔女王マトリッチ・サトランダ」

 俺の姿が見えないとばかりにカウントも数えず、紗都へ文書なしの通告を行なった。

 こいつの指す仲間とは内塔のことだろう。どうこねくり回したとしても、俺と紗都は仲間と呼び合える間柄じゃねえ。もちろん、助太刀してやりたいのはやまやまだ。ジェンダーフリーを唱える団体だかにはこっぴどく叱られるかもしれないが、このまま女に守られ続けるなんてのは、ガキの頃から自然と備わった俺の主義に反する。

 俺は自分の無力さを心得つつも、ちっぽけな見識の中で終息に向かう算段をする。ぶざまでもしょぼくてもいい。何でもいいから浮かんできやがれ。

 ふふっ、とほくそ笑んだような乾いた笑いが聞こえた気がする。

 それは、フードに隠れた優等生の口からだった。

「たとえ同志ではなくても、信頼関係が成り立つこともあるのよ」

 おい、今さらこの俺を護り手とやらに仕立て上げるんじゃねえだろうな……。

 紗都は黒マントの裾を華麗に払い、ブレザーのポケットから何やら取り出す。

「頼むわね、バロちゃん」

 と、それに向けてコソっと呟いた。

 ……誰に向けて言ってるんだ。

 サイレントで親指に弾かれた小さな円形が、一つの球体に見えるほど回転して紗都の頭上へ舞った。

 あれは確か、涼司からもらったキーホルダーに付いてたメダル。何だってあんな物を――。

 メダルが引力に逆らえず、最高到達点へ達したときだ。落下が起こるはずのそれが宙に浮き、元のサイズから拡大を始めた。

 いや、デカくなってるわけじゃない。メダルの表面から何かが突き出ている。

 足……なのか?

 OKサインの輪っかサイズから、獣の前足らしきものが窮屈そうに突出した。爪だけで人を踏み潰せそうな前肢が、獲物を探すように空を掻き荒らす。

 ズズズッと効果音が鳴るように鼻先が見えると、小さなメダルから巨大な黒い塊が一気に飛び出てきた。

 何なんだ、こいつは……。

 見たこともない獣だった。実際にというだけではなく、図鑑や想像上も含めたすべてにおいてだ。

 黒々とした毛並みの隙間に、微細なクリスタルガラスを散りばめたような輝きを発している。怒髪のような漆黒のたてがみは、何かに逆らうように微動だにしない。紫色の瞳が、より一層特異さを表しているように見える。

 ライオンに似た体躯の黒い獣が、奈落からでも這い上がって来たように空中へ留まっていた。

「あれは……聖獣バロン。自分と敵対する存在を召喚できるとは、いったい――」

 少女団のリーダーには見覚えがあるのか、名称のようなものを口走る。しかし、その上品顔は驚きに満ちていた。

 模造したメダルをイジくったってわけか。紗都が貰い受けたのがどっちだったかなんて興味もなかったが、コミカルに描かれた動物のほうはこんな凶悪そうなツラしてなかっただろ――。

 黒いそいつは咆哮も上げずに急降下すると、弓矢を構えた千代田に迫った。

「千代田っちっ、戻って!」

 鳴世の呼び掛けにヘッドフォン娘は後退しながらも、獣へ向け空気の矢を連射していく。

 が、黒光りする身体は攻撃を受けつけない。ことごとく矢を跳ね返してしまう。

 千代田は通常移動では逃げ切れないと思ったのか、

「ブウェ――」

 消える呪文を唱え……る途中で、大きく開いた獣の口腔へ捕えられてしまった。

「麻輝奈っ、あたしの身体に光護魔法を掛けて!」

 乃浪が早口でまくしたて、

「無理なのですぅ。ここの阻塞光を維持するだけでも、わりと頑張ってるほうなのですから~」

 圷がのんびり口調で必死に返答した。

「ちっ。始末の悪いのを出してきたかも」

 黒い獣は千代田の身体を咥えたまま、錯乱したように首を左右へ振っている。

「ヴュールウィール」

 双子妹が猛獣へ火の輪を飛ばす。

 炎輪は縦回転で飛翔してゆき、獣の尻尾を無音で切断した。俺に尾っぽは生えてねえが、想像した痛みに思わず顔をしかめたくなるぜ。

 バロちゃんという名が不似合な黒い塊は、千代田の身体を口から放り出すと、迷うことなく光の箱へ進路をとる。

 鳴世が鏡から出た黄色いギザギザをぐるぐると回し、

「御堂っち、近づきすぎて鞭が伸ばしきれないっ。ここからじゃ黒ライオンくんを生け捕りできないよー」

「……魔女を倒すチャンスを逃したかもしれませんね」

 御堂妹は、初めて苦笑いをみせた。

 黒い獣はヤツらの頭上へ降り立つと、闘牛のように前足で表面を引っ掻き出した。そして、圷が張った光のバリアを食い破っていく。

「むう! とってもまずいのです。まずいというのは食べてもおいしくないという意味ではないのですぅ」

 さすがの圷も話す速度が標準ペースになっている。

 紗都はスポーツカイトでもしてるかのようにチークブラシを操り、

「物凄い破壊音ね。耳を塞いでも聞こえてきそう」

 俺に背を向けたまま独り言を漏らした。

 ……破壊音? 俺にはまったく聞こえてこないぞ。というより、さっきから聞こえているのは女子たちの叫声と、飛んだり跳ねたり駈け出したりする動作音だけだ。

 目のほうは通常に機能しているはずだが、人型以外のものが登場したことで、俺から紗都への見方が少し変化してきた。

 こいつ、マジで悪い魔女だかになっちまったんじゃねえだろうな――。

 俺は思いついたように腕時計へ目をやる。十一時四五分。内塔が言っていた月を跨ぐ時間が刻々と迫っていた。

 いつもなら物静かで闇夜が広がっただけの空間に、似つかわしくない派手な電飾的一コマが映し出されている。

 乃浪は両腕をフル稼働させ、今にも押し入ろうとする獣の顔へ円錐型の氷をぶつけていた。

「ダメかな。氷属性は効かないかも」

 ものともしない黒い獣は、ついに光源のバリケードを破壊し、猛然と中へ入り込んでいく。

「各自、近距離移動してください!」

 お嬢顔の妹が、珍しく大声で指示を飛ばす。

「ブウェーヒゥン」

 鳴世が消え、御堂妹もその場から姿を消したが、

「むう……」

 圷がすっ転んだのを見て、乃浪が身体を掴み去ろうとしたときだ。

 黒い獣が乃浪の肩に喰いつき、首を振って褐色ガールだけを遠くへぶん投げた。

 あのおとぼけ少女は、貢献度がプラマイゼロになってんじゃねえのか……。

「ライさん、時間を稼いでもらえますか。魔女が再び障壁を造立する前に〝あれ〟を遂行したいと思います」

 御堂妹がしっとりとした声に戻して鳴世へ告げ、

「皆さん、きつい状況ですが準備を始めてください。言わずもがな、狙いは魔女です」

 他のメンバーにも何かの指令を出した。

 何をするつもりなんだ――。

「オッケー。ボクはそのまま詠唱に入っちゃうよー」

 垂れ目女子は手鏡を顔の前に持つと、

「ブリクサムズウェープ、ヴェルレンゲンっ」

 黄色いギザギザをぐんぐん伸ばし、黒い獣に巻きつける。

「ゼーェルステルク、ドンデゥル。クリスタリザーシー!」

 鳴世の甘い声が、長ったらしい横文字を読むように吐き出された。

「ほんのちょっとしか止められないから、みんな急いでよー」

 すると、圷を咥えかけていた黒い四つ足は中空へと牽引され、全身に紫電をほとばしらせる。獣はうめき声一つ上げず、宙に浮いたまま固縛されてしまった。

「バロちゃん……」

 黒獣を操作していた紗都の腕が止まる。

「何か仕掛けてきそうだぞっ。いいのかよっ」

「お願いっ、動いてバロちゃん!」

 紗都は両手でチークブラシを握り始め、躍起になって獣を始動させようとしていた。

 俺の与えた注意なんてどこ吹く風だ。こいつも俺をいないもんだと思い始めてねえよな。

 グラウンドには散らばった魔法少女団のメンバーが、各々のマイアイテムを空へ掲げている。

 ……あれは何だ。

 俺の視界の隅に奇妙な塊が映る。

 黒い獣が電撃だかを受けている遥か上空に、気体や固体、液体だかも識別できない五つの何かが、打ち上げられた花火のように浮遊していた。

 褐色の氷使いが息を荒げながら、

「……またね、とは言えないかな」

「ですね。永久にお会いすることはないでしょう。魔女王マトリッチ・サトランダ」

 炎使いのリーダーは乃浪より冷やかに別辞を述べ、

「正義は絶対に負けません。最終超結合魔法ヴァィフ・クリスタリザーシー!」

 決めゼリフ的な言葉を叫んだ。

 五つの塊が渦を巻いて一体化し、ピンク色に輝く立体ハート型に様変わりする。

 見た目の秀麗さと物珍しさに意識を奪われかけたが、花火見物には時期が早い。

 俺は紗都に駆け寄り、脆弱そうな肩を揺すった。

「あれが見えてねえのかっ」

 フードで視界が狭まっていたのか、優等生魔女は大きく顔を上げ、プクッとした小さな唇だけを覗かせる。まるで見とれてしまったかのように、紗都はジュエリーっぽいピンクを見上げたままフリーズした。

 あんな外面をしてやがるが、確実にこいつの身を狙った兵器類だろう。

「おい、お前だけでもさっきの紫バリアで身を守れ。解ったな」

 紗都に言い残すと、俺はグラウンドへ向けて走り出す。

「ごっ、あなた何するつもり――」

 もう返事をする気にもならなかった。

 紗都は本気で魔女の仇を討とうと思っているわけじゃねえ。ましてや、ガキの頃に嫌がらせを受けた相手に仕返ししようなんて考えてもいないだろう。こいつは反撃に転じているだけにすぎないんだ。もちろんやりすぎな面がないとは言えない。それをさせないためには、紗都の後ろでボケっと見てるだけじゃダメなのさ。

 俺は自分がここへ何をしに来たのか、遅まきながら道筋が見えてきた気がする。

 魔法も使えない俺に何ができるか。たとえ使えたとしても、ヤツらをぶっ倒してそれで終わりなのか? 抑止力として振りかざしてみりゃいいのか?

 いや違う。涼司も屋上で俺に語っていた。互いにそんな力を行使し合っても、意味がねえんだよ。

 俺がやるべきことは紗都を止めることじゃない。ヤツらを蹴散らすことでもない。

 ――そう、追い払うことだ。

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