第9話 (ダークサイド)だって、幼女には母親が必要でしょ?
引き続き、ダークサイドです。次回でとりあえず、オークションは終わります。
ノーマルサイドは、ダークサイド終了後の23日正午に投稿します。
あれから少し値段を上げたのか、今ついてる値は1円3000銭であった。値を言ったのは例の変態貴族っぽいやつ。ほかはもう誰もがんばろうという人間はいない。
「1円3000銭!他にいらっしゃいませんか?」
はあ、仕方ないな。
「1円3500銭!」
僕は、何くわぬ顔で金額を提示した。周りがおおっ!!と云う雰囲気でこっちを見る。まあ、外見は15歳なんだからそんな大金を提示して驚かれないほうが不思議だ。
例の変態が1円4000銭と言ってきた。めんどくさいな。
「1円5000銭!」
また、金額を上げるとすぐさま1円6000銭に上げてきた。よっぽどあの幼女がほしいのだろう。本当に変態だ。
「ははは、若造が!この儂と張り合おうというのか?100年早いわ!!!」
なんかほざいていたので、とりあえず、値を言うことにする。
「2円!」
一瞬で場の空気が凍りついた。今さっき得意げにしていた変態が苦々しくこっちを睨んだ。
「おい、お前。そんな大金払えるのか?」
仕方ないので、無造作にポケットに手を突っ込んで、一円玉を2枚取り出す。そして、その変態に見せてやった。変態は顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「くそ!2円10銭だ!」
もう僅かな値しかあげられないのだろう。僕は、もう一枚一円玉を取り出し、ため息をつきながら言った。
「3円。」
変態は更に顔を真っ赤にしたがもうなんにも言わなかった。
司会者も信じられないという顔をしているが、はっと現実に戻り言った。
「さ、3円!それ以上、誰かいませんか?いませんか?・・・それでは、この商品は3円でそちらの少年が3円で落札されました。」
盛大な拍手が上がる。
肩に座っていたサフィが心配げに聞いてくる。
『ご主人様、大丈夫なのですか。そんな大金。』
僕はサフィにしか聞こえないようにこそっと言った。
「僕が昔住んでたとこは、最小金銭単位が円だったからね。大体、ここの物価の一億倍の世界で暮らしていたんだよ。例えば、一食食べるのに大体500円かかったんだから。」
その言葉に、サフィは目を丸くしたが納得したらしい。さすがご主人様です。と言って擦り寄ってきた。
興奮がやまないうちに次の檻が開かれた。豊満で熟女と言うにはまだ若すぎる女性が引っぱり出された。
先程、思いの外高額な値段がついたので、司会者の舌も滑らかになっていた。
「お次は同じくドルカニア王国、元皇后、ミルテアーテ・シクト・ドルカニア!この豊満な肉体によって骨抜きにされた馬鹿な王のせいで国が一つ滅んだ。まさに傾国の熟女!!落札者はお家の心配をしっかりしといてください!!」
ステージではミルテアーテと言われた女性が屈辱に顔を歪ませている。身にまとっているのが僅かなボロ布の為、手で必死に体を隠している。顔の面影がキャニエルと似ている。
「サフィ、彼女はキャニエルの母親なんだよな?」
サフィは一瞬きょとんとしたが、質問の意図を理解したようだ。
『はい、そうです。今年で34になると思います。』
「ぐふふ、なかなかな抱き心地な気がする。」
僕のわざとらしい発言をサフィは華麗にスルーした。
「それでは、ここは1円から始めましょう!」
いきなりの高額スタートだったが、狙っている人間が多いのか値がどんどん上がっていく。しかし、先ほどの変態が2円4500銭をつけたところで上がり止まった。
よし、それでは値段を言うか。
「2円5000銭!」
変態はチッと舌打ちをして一気に値をあげる。きっと、キャニエルに賭ける予定だったお金も上積みしているのだろう。
何度かやり取りをして、変態が一気に5円をつけてきた。う~ん、めんどくさいな。
「7円5000銭。」
「8円!」
すぐさま、値をあげる。しつこいな。キャニエルには母親が必要なんだから、そこを理解して降りてくれよ。
「10円。」
大台に乗せると変態は顔を真っ赤にして手に持っていたグラスを地面に叩きつけた。しかし、沈黙を保ったので、競りが終わった。
「こちらの商品は10円で落札されました。」
よし、残り1人だ!
感想等、熱望中