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異世界制圧奮闘記  作者: 大九
第3章 入学編
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第13話 説明と納得と裏工作

「では、あの白魔の予言に出てくる精霊とは、そこの精霊なのか!」


 ひと通り、説明を聞いたトルチェと国王は随分驚いていた。特に、国王は内々に白魔の予言について報告を受けていたらしい。まるで、生きる伝説にあったような顔をしている。


「失礼ながら、そのお姿を見せていただいても?」


 既に恐縮してしまっている国王が、サフィに向かってすっごく下手(したて)に出ている。


『いかが致しましょう?ご主人様。』


 サフィがお伺いを立ててきたので、いいよ!って軽い感じで言ってあげた。確かに、白色精霊のことはなるべく隠しておかなければならないのだけれども、この王様相手なら、いざという時にトルチェを人質にできるし。(というか、喜んで人質になりそうで怖い)


 サフィのまばゆい白色が部屋に瞬く。僕も含め、思わず目をつぶってしまう。だんだん目が慣れてきたけど、それでも眩しい。


「サフィ、此処だとまぶしすぎるから、もういいよ。」


 僕のお願いに、分かりました。とサフィが、普段の風低位精霊に姿を変える。


「ということです。僕たちの願いは、この国で大人しく、静かに暮らしていくことです。将来的には、あの国には報復をしようと思っていますが、基本的に国同士の争いに関わるつもりもありません。あの学校に入学しようと思ったのも、僕自身が、しっかりとした魔法が使えるようになるためなのですから。」


 僕自身の力はともかくとして、サフィの力はこれから噂として広がっていいくだろう。だからこそ、サフィの力をなるべく使わないようにすることが、大事なのである。


「因みに、余がお前の精霊の力をいろいろと使おうとしたらどうする?」


 さすが、国王。驚きっぱなしではなく、しっかりと為政者の顔になっている。まだ、天井から吊られているけど・・・。


「別に、この国で平穏な生活が送れなくなったら、この国を去るだけです。平穏な場所をさがします。最も、その時、一緒に来たいという人を拒むつもりがありませんから、もしかしたら、国の一つや2つが、なくなってしまうかもしれませんね。」


「まあ、私はダーリンについていくから、この国の正統後継者はいなくなって、滅びるかもしれないわね。」


 便乗して、トルチェが当たり前のようにいう。


「この余を脅すつもりか。では、仕方ないな。その希望を飲もう。ただ、もし万一、この国が第3国から攻められ、お前自身の平穏な生活が脅かされそうなときは、せめて少し手を貸してくれ。」


「その時になりましたら、その時に考えましょう。」


 僕の曖昧な回答に仕方ないなと国王はつぶやく。そして次の議題を上げてくる。


「ところで、話は変わるが、お前が如何に力も財力もあるからと言って、トルチェちゃんとの交際は別問題だぞ。決して認めることはないが、もし万が一、・・・、いやこういう言い方は可能性がありそうで誤解されるか。絶対ありえないことであるが、余がお前を相手として認めよう。糞、なんでこんなことを考えなきゃいけないんだ。で、だ。貴族の奴らは絶対お前を認めない。最低でもこの国の貴族の地位、若しくは他国の王族の一員でなければ、な。それをどうするつもりだ。」


 なぜ、此の王様の脳内では、僕とトルチェは結婚することになっているんだ。僕はまだ、誰ともそういう仲になっているわけじゃないんだ。周りがどう言おうとも・・・。


「そんなの決まっているわ。ダーリンの実力なら、うちの貴族だって、認めないわけないじゃない。」


 トルチェはさも当然のように言うが、だからトルチェと僕が婚約したことは一度もない。


「奴らは、力でものを考えるのではない。馬鹿だからな。血筋とか体面、身分で判断するのだ。そんなでは、お前の代になった時、内政で苦労するぞ。いいか、どんなに邪魔でも、あの貴族どもがいなければ、この国は成り立たない。それを、しっかり肝に銘じろ。」


 う~ん。伊達に国王やってないな。これは、勉強になった。今日はじめて、この王様をすげえと思ったよ。


「へ・い・か?ちょっといいかしら?」


 ここまで、口を開いてこなかった、ミルテさんが急に口を開いた。


「み・ミ・み・ミルテアーテ!な、な、な、何かな?」


 いや、国王様、どもり過ぎだから。せっかく尊敬したのが台無しじゃん。


「このチカラ様はうちのサラと結婚することになっているの。そうすれば、チカラ様には私達のドルカニア王室の一員。いえ、当主になってもらいますわ。没落したと言えども、王族の当主であれば何の問題もないかと。」


 ミルテさん。だから笑顔が怖いって!


「い、いや。しかし、チカラ殿がそれでも王族の血が入るわけでは。それでは納得されようものでは・・・。」


 国王は、思いっきり緊張しながら、言葉を絞り出す。この二人は本当、過去に何があったんだろう?


「それくらい、あなたが何とかしなさい!!」


「は、はい~~~!!」


 こうして、僕のバルミカル王家入り工作も密かに進められるようになった。って、だから僕がまだ納得してないって。

今話にて第3章が終わりです。

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