第11話 式の後
「以上、国王陛下挨拶、並びにトルチェリーナ王女殿下との共演、即興コントでした。」
ゲーリッヒさんが、横でピクピクとしているものに一瞥し、こう締めくくった。その後、司会の先生がなんとも言えぬ顔をしながら式は終了した。
「なあ、トルチェ。陛下にあんなことしちゃって良かったのか?」
僕が少し心配そうにトルチェに尋ねたが、当の彼女はさっきから、ぶつぶつと言いながら教室までの道を歩いている。
「おい、トルチェったら!」
肩を揺することで、ようやくこちらを意識したトルチェは一気に不満を爆発させた。
「何なの、あのオヤジは。よりにもよって、ダーリンに攻撃するとか、ありえないでしょ。あれ、絶対当たったら死ぬレベルの魔法だったわよ!」
憤るトルチェの前にサフィが胸を張る。
『大丈夫なのです。トルチェ様。このサミエスフィールがいる限り、ご主人様には指一本触れさせないのです。』
また、サフィの頭を撫でてやると、更に嬉しそうな顔をしていた。
「ふ~ん、随分自信があるのね、サフィ。あなた確か下級の風精霊じゃなかったかしら?」
トルチェが疑いの目を向ける。
「お父様の放ったあの魔法は、風魔法では絶対相殺できない魔法だったのだけれども?仮に相殺できたとしても圧倒的ま魔力が必要だから、下級のあなたじゃ無理なのじゃない?ねえ、ダーリン。これはどういうことかしら?そういえば、この間の大蘇生についても、詳しい説明を聞いていなかったのだけれども?」
う~ん。やっぱりトルチェはいろいろと厄介だ。このまま、ごまかすこともできなくもないけど、サラやキャニのことを考えると、ある程度の情報は出して行かないといけないかな?最も、どんな事を話しても、トルチェが僕らの不利になるようなことはしないってことは感じているけど。
「トルチェ。サフィの事は家で話すよ。ここだと、どこで誰が聞いているかわからないし。」
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教室に戻った後のS組は大変な騒ぎであった。なんといっても今までその存在と年齢しか噂されていなかった王女殿下が公になったのである。しかも、何を隠そう、国王自らそれを認めてしまっている。
廊下から、学年を問わず野次馬がいるのを見て、トルチェは頭を抱えている。セミーもブルー家の人間として少なからず、注目を浴びていたが、トルチェの存在で、最早埋没していた。
かくして、前途多難な学校生活が始まったのであった。
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一日が終わり、やっとのことで家に帰った僕たちは、かなり疲労困憊になっていた。王女殿下のお住まいはどこだとか、あの一緒にいる冴えないゴキブリ男は誰だなどといった憶測が流れていた。とりあえず、尾行を巻くため、路地裏に身を隠した僕たちはサフィに認識阻害の光魔法をかけてもらい、無事家までたどり着いた。
「さあ、ダーリンとサフィのことについて、すべて吐きなさい。」
トルチェのその言葉に、仕方なく説明をしようとした時、玄関に豪華な馬車が止まり、そしてそこから出てきた男が家に乱入してきた。




