第18話 第二魔法高校
今話で、第二章終わります。
場所は、二高の校長室。例年、入試の日の夕方以降は会議室に校長を含む入試担当教師6人が集まって、合否を決める。しかし、今年は急遽校長室で行われることになった。しかも、本来なら出席しないはずの教師も多数参加している。それは、今日の入試結果が教師の間でもそれほどイレギュラーなものとなったのである。
「彼は強すぎる。我々では指導しきれない。」
「しかも、低位とはいえ精霊と契約していたぞ。つまり、あれより強いということだ。」
「それを言ったら、トルチェリーナ・ルカミルバ、マーガレット・サルトル。この両名も二高としては規格外の強さだと考える。」
「しかし、彼、チカラ・スズキに比べたら、まだ見られる。なんせ、彼はマーガレット・サルトルを含む二高受験生10人を相手に回復なしの無傷で、しかも一切魔法を使わずに打ち勝っているんだぞ。正直、私だとて彼に敵うか判らん。」
二高は、もともとレベルの高い学校ではなかった。それが、今年に限って規格外の受験生が3人も集まったのである。更に加えると、他の受験生も例年にないほどレベルが高い。
校長が立ち上がった。
「諸君、我が二高はこれまでその歴史とともに、一高、三高に大きく差を開けられ、近年では四高にも劣っていると評判されるようになっている。事実、一高、三高では我が二高、及び四高を同列に扱うのはおかしいとまで公言されているのである。諸君!君たちは今のまま、バカにされたままでいいのか?」
そこにいる教師の顔つきが一瞬で変わる。二高の教師陣は、一高において権力闘争に負け島流しにあった者、分野特化しすぎて他では受け入れられなかったもの。その他、各々何かしらの理由があって迫害された者が集まっているのである。二高の生活により、すっかりその腕を錆びつかせていた彼らの錆が一瞬にして落ちた。
「私は、彼らがこの二高に来てくれたことは、この二高を救うためであると考える。二高再興のために私は今こそ狼煙を上げたい。君たちも積年の恨みを晴らすことが出来る最後のチャンスだと心得ろ。私は彼らに教師生命を賭ける。」
二高教師たちは既に鋭い爪と牙を取り戻した猛獣のように目をランランと輝かせている。この日、二高の一室からは不気味な雄叫びが聞こえたということがのちの記録書に書かれ、二高七不思議に加えられることとなった。
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ヴァルトシュタイン・ガーリック校長は1人残った校長室で、興奮で体を震わせていた。彼がこの二高の校長として赴任したのは今から7年前。それまでは、バルミカル王国軍幹部大佐として、ひたすら出世街道を進んでいた。しかし、同じ一高の同期であった友人に無実の罪をでっちあげられ、軍を追われることとなった。幸い、当時の直属の上司の口添えでこの二高の校長というポストを得ることができたが、その恨みは大きい。やがて、友人は王国軍少将に昇り、人事局長と一高校長を兼務することとなった。閑職である二高校長と違い、一高校長はれっきとした出世コースのワンステップである。彼は、今年度で校長を辞し、中将に昇進し参謀長を拝命するというもっぱらの噂であった。その最後の一年。ヴァルトシュタインはその一年で彼の経歴に泥を塗れると思うと興奮して震えが止まらないのだ。
一高との直接対決の機会はまず、ひと月後の青龍戦である。4校合同のイベントは、青龍祭、朱雀祭、白虎祭、玄武祭、そして黄龍祭の5回。それぞれの学校が会場となり、最後の黄龍祭は御前祭となる。その一番最初の青龍祭こそ、東に位置する一高が会場なのだ。そこで、万年最下位の二高が一高を倒すという事を成し遂げれば、それが二高再興の第一歩になると共に彼に泥を塗れる。校長の青龍祭へのプランは固まった。
この日決まった、二高の本年度合格者。ランキング制度を採る魔法高校では首席を筆頭にこの合格の瞬間からすべて序列化される。そして、より上位になるように競いあう生活が始まるのだ。
本年度合格者数50名。首席合格者、チカラ・スズキ。次席合格者、トルチェリーナ・ルカミルバ。三席、マーガレット・サルトル。満場一致で決まったのだ。
異世界週刊、終了。明日は更新を休み、これまでどおり、偶数日の更新としていきます。




