第13話 朝のひとときと受験会場へ
清々しい朝。今日は、第二魔法高校の試験日である。しかし大丈夫かな?
昨日は結局、サラに滅多滅多にされ一晩眠った今日になっても未だに満身創痍。試験の内容は実技試験だって言ってたけど、しっかり戦えるかな?体のあちこちが痛い。
因みにサラは昨日あれから一言も喋ってくれなかった。まるで、汚物を見るよな目で見やがって・・・。くっそう!ゾクゾクしちゃうじゃん。・・・。ってそうじゃなくて、そういう性癖は僕持ってないから。
『ご主人様、なにベッドで身悶えているのですか?』
『ごしゅじんさま?だいじょうぶ?』
二体の精霊たちが怪訝な目でこちらを見ている。
「なっ、なんでもない。とりあえず下に降りるか。」
下に降りていくと、朝食の美味しそうな匂いがしていた。ミルテさんが主体となって作り、サラとキャニがその手伝いをしている。
「ご、ごめん。僕も手伝ったほうがよかったよね。」
僕が慌てて近寄ると、サラは相変わらず、白い目でこっちを見てくる。うう。
「あらあら、そんな気にしなくていいのに。じゃあ、そこの食器をテーブルに並べてくれる?」
四人で食事の準備をすると、皆で一緒にいただきますをした。こっちにもこの文化があってよかった。
どうやら、サラたちは10日後が入学式らしい。それまでは、家でミルテさんから行儀作法の復習をしてもらうらしい。農民出身のミルテさんは、当時の皇太子妃になる時、さんざんしごかれて行儀作法をマスターしたらしい。本人はいい思い出よなんて言っているが、本当はすごいのかもしれない。
昨日に続き、二高の校門の前に来た。受験生がたくさんいる。みんな真剣な顔をしている。ふと、後ろから聞こえてきたうわさ話に興味を持った。
「お、おい。聞いたか?今年は、魔法高校のどれかに、姫様が受験されるらしいぞ。」
「うちの国の姫様って言ったら、あれだろ?暗殺を警戒して、とある所でお育てしているっていう。陛下の側近でも見たことがあるのはほとんどいないって言う話だぜ。」
「やべえ。もし、二高で一緒になったらどうしよう。知らないうちに恋仲になったりして。」
「バカ。そんな姫さまなら、普通一高か三高を受けるだろ。間違っても二高なんかに来ねえよ。」
「なんでも、デルモンテ侯爵家の三男は姫様をお守りするんだって公言しながら一高を受験しているって話だぜ。」
「うっわ。お守りって。むしろ、姫様に取り入る気まんまんじゃねえか。」
「ま、どっちにしろ俺らには関係ない話だな。行こうぜ。」
「ああ、違いない。」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
ふ~ん。一高ともなるとそんな有名人というか、王女まで来るのか、すごいな。つくづく二高にしてよかったと思う。
「サフィ、二高は平和そうで良かったな。」
肩にのっているサフィに話しかけた。相変わらず、風の低位精霊に変身しているので、そこまで注目は浴びない。精霊契約は珍しいと聴いていたけど、魔法高校を受けるレベルの子どもは契約している子も結構いる。ふと、後ろから気配を感じたと思ったら、いきなり視界を奪われた。
「だ~れだ!!」
「トルチェ、びっくりするだろう?」
僕が平静を装って答えると、クルッと前に来たトルチェが、ぶ~と膨れた。
「ダーリンたら、ノリが悪くてつまらない。まっ、いいわ。行きましょ。」
なんか、当たり前のように並んで校舎に入っていく。
「そういえば、ちらっと聞いたんだけど、なんでもこの国のお姫様が魔法高校を受験するんだって。」
「へ~、そうなんだ。」
トルチェは特に興味もないような感じでいる。
「ちょっと、お姫様ってのには興味があるけどね。でも、聞いた話だと一高か三高を受けるって話だから関係ないけどね。」
「そ、それよりもダーリン!・・・。」
トルチェはなんか強引に話を変えた気がしたけど、その後は他愛もない話をしながら教室に入った。やっぱりあれかな。私がいるのに他の女の話をしないでってやつかな。
トルチェと別れ、指定された教室で待つ。定刻になると、ムッキムキの教師が入ってきて、試験の説明を始めた。




