第3話 学術都市リステルプール
カルキレ帝国では周辺国の武力制圧を鮮明に打ち出した頃、帝国を脱出した僕らは、結局リステルプールに向かった。まぁその間、粗末布しかなかった3人の衣服を揃えたりとちょっと思い出したら大変な・・・。ゴホン!思い出せないようなハプニングもあったけど、それは後日に語ることにしようと思う。
ところで、なんでキャニはリステルプールに行きたかったのだろう。
「キャニ。なんでリステルプールに来たかったんだ?」
僕は今更だが、キャニに聞いてみた。
「あのね、キャニは来年からこのリステルプールに留学する予定だったの。だから、行ってみたかったの。」
なるほど、自分が行くはずだったところを見てみたかったらしい。
「じゃあ、ここで学校に通ってみるか?」
僕のこの提案にキャニは溢れんばかりの笑顔を見せた。
「チカラさん。学費もバカにならないし、無理しないでください。」
ミルテさんが焦ったように言う。こういう時のお金持ちってすごい優越感を感じる。
「心配しなくていいよ、ミルテさん。お金は溢れるほど持っているんだし。ここは、帝国からも遠い。まずはどっかに腰を据えなくてはいけなかったから、丁度いいんじゃない。ねえ、サラもそう思うでしょ?」
突然話をふられて驚いたのか、サラは焦ったようにこっちを見た。
「え、ええ。それでいいんじゃない?」
適当に返事をしてきたが、これで決定だ。
「サフィ。このリステルプールについて詳しく教えてくれない?」
肩にのっているサフィに話しかけると、待ってましたとばかりにサフィが説明してくる。だいたい要約すると次のようだ。
このリステルプールは、カルキレ帝国から国を6つ越えた西方の大国バルミカル王国の首都である。都市の中心部に王宮が聳え立ち、それを中心に放射状に都市が広がっている。王宮の周りには貴族たちの屋敷が軒を連ね、その周りを一般国民が囲んでいる構造になっている。
また、リステルプールは学術都市としても有名である。中でも、王宮の南側に展開する教育街には、各種兵学校をはじめ、商業学校、工業学校から行儀作法を学ぶ女学校まで存在している。キャニはこの女学校の一つに留学予定だったらしい。女学校は王侯貴族の娘ではそこに通うことこそステータスとなるらしく、多額の学費を課すことによってその志望者を抑えているらしい。
そして、この都市で一番の憧れとなるのが、第一から第四まである魔法高等学校である。そこを卒業すると、王国魔法兵として活躍する他、魔法の研究職、各種ボディーガードなど将来を確実に約束される。現に、現在の軍の首脳部のほとんどが、このいずれかの魔法高校を優秀な成績で卒業しているらしい。因みにこの4校は学費が無料である。しかし、完全実力主義により、その入学試験等、この都市最難関の学校である。
僕らは、とりあえず都市の外れにある一軒家を買い、生活の拠点とした。冒険者カードが一切の身分証明となるので、非常にスムーズに買うことができた。
僕は家事ができないし、サラたちも王族ということから家事ができないので人を雇おうとしたら、驚いたことにミルテさんが出来るらしい。なんでも元は貧しい農民だったのが、農作業をしているところに通りがかった当時の皇太子様に一目惚れされそのまま、皇太子妃、王妃となってしまったらしい。農民の頃の苦労があるので家事はお手のものらしい。サラとキャニもそんなミルテさんに鍛えられ、ひと通りは出来るとか・・・。
家事一切をミルテさんに任せて、僕らはそれぞれの学校の入学手続きをしに向かった。丁度、今が入学入試シーズンらしい。サラとキャニは共に女学校に通うことになった。女学校は学費を払えることの証明が入試になっているので楽だ。本当は一番いい学校に入れたかったんだけど、本人たちが断固拒否をしたので、上の下レベルの学校にいくことになった。年間学費500銭とか僕にしてみれば端金なのにな。最上級の学校でも年間学費は2円らしい。やっぱり、ここの貨幣価値はなかなか慣れない。そしてなんと、(外見年齢)15歳の僕も学校に通うことになった。サフィからの魔法をしっかり使えるようにと言われたから、第二魔法高等学校を受験することになった。いきなりで僕なんかが絶対に受からないと言ったのだが、ご主人様なら余裕ですというサフィに加え、サラやキャニも期待に溢れた目でキラキラとこっちを見てくる。って、だからそんな僕を期待するような目で見ないでくれ。
はい、2章はまさかの学園ものになります。この学園ものがどこまで続くか解りませんが、しばらく(多分、卒業できるんじゃないかな?)続きます。
ファンタジーとして、あちこち回ると期待していた読者の皆様、ごめんなさい。そして、見捨てないで読んでやってください。
感想で、3人の服はどうしたのか?というご意見を頂きました。今話で書こうと思ったんですが、つながりが悪いので、一度時間をおいて2章の終わりにでも番外編として書こうと思います。さて、どういう方向でお着替えが進むのやら・・・




