第2話 魔法の説明と呼び名
「サフィ。なんか、顔が怖いよ?一応、サラディナーサを解放できたし、失敗ってことはないと思うんだけど・・・」
『ご主人様!あの威力は何なんです?炎の針がそんな威力になるわけないです。今のは、どう見ても炎の槍レベルの威力です!!』
「なんか違うの?」
『違うも違わないもありません。魔法の種類について説明しますから・・・。その前に場所を移動しましょう。さっきの音を聞いて、兵隊でも来てしまったら厄介ですからね。』
僕たちは、再びサフィの風魔法で空に飛び上がり、場所を変えた。
『さて、では魔法について簡単に説明しますね。』
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とりあえず、解ったことをまとめよう。
まず、魔法の使い方には大きく分けて3つある。まず、生活魔法。この世界は、僕がいた日本みたいな科学技術はまだないらしい。なので、日常の生活に魔法が使われることが多い。また、魔力を持たない人もいるので、魔力を込めた石、魔石を作る技術もある。とにかく、魔法のお陰で結構現代日本のような生活を送れるらしい。テレビやネットなど、通信技術はまだまだらしいけど。これらは主に4大元素(水、火、土、風)によるものらしい。
次に、身体強化。これは、上位3元素(時、空、光)を主に使う。こちらの力は魔石に込められないので、その術者がいないと出来ないらしい。例えば、空の力を使えば、空間の保存ができ、銃で撃たれても玉が体に跳ね返されるということもあるらしい。
そして、最後が攻撃魔法である。ベースとなるのは前の2つとほとんど変わらないんだけど、こちらは敵への攻撃、破壊に特化した魔法の体系を為している。基本的に、扱える人間の多い4大元素の魔法が発達しているが、上位元素の攻撃魔法も存在して、戦局においてはそれが大きく左右する原因になることもあるらしい。
因みに、4大元素それぞれ、攻撃の強さの順に、針、矢、弾丸、槍、大砲、巨砲、神槍となる。もちろん、もっと様々な魔法があるのだが基本的な体系としてはこれらの順になる。つまり、炎の魔法ではこれらに“炎の”をつければ魔法になる。一般的な魔法兵で矢が扱える程度、エリート部隊でも大砲まで単体で撃てるのはほぼ稀である。ってことは、一発目で巨砲を撃った僕は天才?
ようやく、事態を理解した僕は、今度は細心の注意をはらって炎の針を出し、ミルテアーテとキャニエルを解放した。キャニエルは嬉しそうに僕に抱きついてくる。ミルテアーテはそれをあらあらと言いながら眺め、サラディナーサが必死に剥がそうとしていた。
さて、目下最大の課題であった奴隷解放はできたし、このあとはどうしようと思っていたら、キャニエルに袖を引っ張られた。
「お兄さま!これから先はどこ行くの?キャニは、リステルプールに行きたい!!」
「?リステルプールってどこだい、キャニエル?というか、お兄さまって?」
「ぶーー!!キャニのことはキャニって呼んでって言ったでしょ!!」
駄々をこねるキャニエルに僕は早々に白旗を振った。
「わ、解ったよ、キャニ。で、なんでお兄様なの?」
すると、キャニはパーと笑顔になって言った。
「だって、サラ姉さまとけっこんするんでしょ!なら、キャニのお兄さま!!」
なるほど、そういうことか。僕には兄弟がいなかったから、妹ってのはきっとこういうものなんだろう。
そのまま、キャニに抱きつかれていたら、サラディナーサが顔を赤くしながら言ってきた。
「わっ、私のこともサラでいい。い、いいな?ちっ、チカラ!」
サラが初めて僕のことを名前で呼んでくれたな。
「ああ、解ったよ。これからよろしくな、サラ!!」
「じゃあ、私のこともミルテって呼んでもらおうかしら?」
「いや、あなたの場合、普通お母さんって呼ばせようとするものではないのでしょうか?」
「え~そんなぁ~。」
なぜ、ミルテアーテはこんなに残念そうにするんだろう。は~。仕方ないな。
「じゃあ、ミルテさんでいいですか?」
「あ!それいいわね~!よし、じゃあこれから遠慮無くミルテさんって呼んでね。」
結構、面倒な家族だったかもしれない。ま、とにかくリステルプールについての話を聞くか。
次話から2章です。




