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異世界制圧奮闘記  作者: 大九
第1章 始動編
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第16話 昔のこと

よくある昔話です。

サフィがなかなか納得しそうにないので、ポツポツと昔話をすることにした。



僕の家は、ごく一般的な家庭だった。小学校から入学式、卒業式といった行事には必ず両親で来てくれたし、運動会ではどの親よりも目立つくらいに騒いでいた。父はサラリーマンだったし、母は専業主婦。一人っ子で甘やかされながら育ったんだ。

そんな僕が運命の転機となったのは中3の冬休み。当たり前のように受験勉強をしていた僕だった。成績はそこそこ優秀で県内でも有数と言われる進学校を受験しようとしていたんだ。その日は、両親の結婚記念日。毎年、3人で出かけていたんだけど、受験ということもあってその日は僕一人で留守番してた。もうすぐ帰ってくると思っていた頃にかかってきた一本の電話がすべての人生を変えたんだ。


じっと聞いているサフィになんか照れくさい気がするんだけど、まあいいや。他の気配も気になるしね。話を続けよう。



その電話は、小説とかではよくある話だった。両親が帰りがけに事故にあった。大型トラックの居眠り運転でふたりとも即死であったということ。まあ、よくある話だ。

でも、僕が運が悪かったのは相手の運転手も死んだということと、その彼が某大ヤクザの御曹司だったということだ。そのヤクザはあっという間に警察を買収。なぜか、裁判まで勝手に行われてて、気がついたら僕ら側がヤクザに12億の損害賠償を支払わなくてはならないようになった。

両親はなぜかどちらも親戚が全くなく、結局全てを失った僕は一人路頭に迷うことになったんだ。でも、親の生命保険やら、僕の学費、家を売ったお金とかで何とか12億を作ることができ、借金はなくなったのはまだラッキーだったかもしれない。


ふと横を見ると、サフィが横ですすり泣いている。お願いだから僕の服で鼻をかむのはやめてくれ。他の気配もするけど、まだしばらくは無視しておこう。



でも、路頭に迷うのは一瞬で済んだ。僕がトボトボと道を歩いていたら、人のよさそうなおっさんが軍の階級証を見せながら、僕に言ってきた。

「ねえ、君!諜報とか興味ないかい?☆」

正直、胡散臭いと思ったけど、僕にはこの先何もすることはない。とりあえず、風雨をしのげるところがあればいいと思って、そのおっさんについていくことにしたんだ。結果、☓野学校に入れられ、青春といえる青春を味わうことなく、訓練につぐ訓練を続けた。学校を出た後、軍のある事件について内偵をしているうちに、あのヤクザと再び遭遇することになった。相変わらず、エグい方法で荒稼ぎをしているらしい。僕は、このとき初めて人を殺したんだ。

一大ヤクザが一晩で皆殺しになったニュースは瞬く間に国中に知れ渡った。上司は、さすがに諜報員である僕を表沙汰にするわけにもいかなかったので、ロシアへの諜報員として海外に飛ばすことになった。

一度、人を殺した人間ってのは、やっぱり何か変わってしまうんだろうね。ロシアでも必要があれば、なんのためらいもなく殺せるようになっていた自分がいたんだ。

やがて、国内勤務に戻った時、何か消失感のようなものがあったんだろうね。逃げ出したくなってこっちの世界にトリップしたんだ。

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


「ちょっと、サフィ!お願いだから、服で鼻かむのは本当にやめて!!」

サフィの鼻かみが洒落になんなくなってきたので慌てる僕。

「最も、こっち来ても一人ぼっちなのは変わらないけどね。」

『わだぢがいるじゃないでずが~』

サフィが涙声で反論する。

「そうだね、サフィには感謝してるよ。」

そして、部屋への扉に目を向けながら、しんみりといった。

「だから、あの3人を買ったのは、それで家族が離れ離れにならないのならそれが一番だし、僕のどこかで家族ってのが羨ましかったのかな。だから、プラン3なんて提示したのかもね。」

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