篠原先生は変だ。だが、俺が心配する必要性は皆無だ。
※変換ミスではありません。
「じゃあ、今日は銃刀法について勉強するぞ」
俺は篠原先生の授業は受ける。いや、体育だって、美術だって、音楽だって受けている! その他は寝ているんじゃないか、という質問に対してはノーコメントだ。
「銃刀法の正式名称は銃砲刀剣類所持等取締法という」
篠原先生は黒板に『十放蕩堅塁諸事党鳥閉法』と書く。これだから篠原先生の授業は面白い。
「この法律は1958年から施行されたんだ。テストに出すから覚えておけよ」
『Thank You珀呉中鉢念思考』
千九がThank Youってそんな馬鹿な……。
「これに違反するには銃を輸入するとか、所持するとか、発砲するとか、銃の部品を輸入するも逮捕されるな。注意しろ」
違反するにはっていう説明の仕方がおかしい。
『伊波ん砲報・・・住の湯柔、諸事、発泡、部費んの湯柔』
発泡、惜しい!
「譲り渡すのも駄目だな。見つからないようにやれ」
見つからないようにって、やらないから!
『城戸も無図化しい』
「そして、刃渡り15センチ以上の刀がアウト。刃渡り5.5センチ以上の剣、ナイフもアウト。槍とか薙刀もアウトだ」
アウトって、ゲームじゃないんだから……。
『田中・・・歯亘理銃後戦地異常。県、内府・・・呉典呉戦地異常。矢理、凪奈多も合うと』
刀が田中になってる……。あれ? よく見るとこっちでは『銃』って書けてるぞ?!
「あれ、読みにくいよな」
俺は大愛に言う。
「今更でしょ」
一蹴された。まあ、確かに今更だけど。
何事もなく、いつものように、普段通り、問題なく、恙無く、授業が終わった。
「ねえ、篠原先生を治さない?」
大愛が話してきた。
「直す?」
「違くて、治す」
「篠原先生は病気なのか?」
「あれはほぼ病気でしょ」
うん。否定できない。
「だから、あれを治すのか?」
「そう」
「確かに篠原先生は変だ」
「そうでしょ」
「だが、俺が心配する必要性は皆無だ」
「そんなこと言わないで。さあ、どうしよう」
「考えてあるんじゃないのか?」
「ないわよ」
「考えてから喋れよな」
「面倒」
生徒会長のくせに何を言っているんだ!とは口が裂けても言えない。
「無理だろ。あれは不治の病だ」
谷沢が口を出してくる。
適当にあしらって俺と大愛だけの話に戻る。闇雲は聞いているだろうが殆ど何も言ってこないから大丈夫だ。因みに、俺の席の前に笠立、母壁、沖田、飯塚がいるが、今この場合は無視だ。大愛の席の前にもいるが無視だ。別に警戒するほどのことじゃないけどな。
「まあ、どこかの馬鹿が言ってきたようにあれは不治の病だ」
「どこかの馬鹿って、いま神林君がラリアットを食らわせて失神している谷沢君のこと?」
ご名答。正解者に拍手。
「無理なものは無理だろうから何もしないでそっとしておくのがいいと思うぞ」
「それもそうね」
納得早っ! 話終わり!?
「じゃあ、次、理科室だから先に行くね」
大愛は行ってしまった……。別に残念がることはない。別にどうとも思わない。別にこれから谷沢をどうすればいいかを考えていただけだから。別に何かを感じることはない。別に大愛とあんな関係になれたらとか、別に大愛とどこかへ行きたいなとか、そんなことは一切考えない。別に考える必要性がない。篠原先生のことを考える以上に。別に、な。
篠原先生……よくこれで先生になれたな……と、思っていただければいいな、と思って出来た先生です。これからも応援、よろしくお願い致します!