何がどうなってこれがこうなったんだろう。
「おい、お前行ったか?」
「いや、行ってない」
「どうする?」
「誰か行ったやついるか?」
「行ってない」
「行ってない」
「行ってない」
「どうすりゃいいんだ……」
教室がそんな感じでざわついている時に俺は教室へ入った。先生はいない。よし、遅刻じゃない。
みんなが俺を見る。俺って人気者?
「なあ、神林。お前さあ4日に学校来た?」
若戎が訊いてくる。確か4日は色んなものに乗って、酔ってたな。昨日も二日酔い的な感じでヤバかった。
「俺は行ってないぞ。用事があったからな」
「うわー」
全員、落胆。
「それよりも時間だぞ。席に座ってないと篠原先生に怒られるぞ」
優しい俺はみんなに助言する。みんなはハッとして一目散に自分の席に着く。そこまで急ぐことはないだろう。
「オホン」
俺の後ろで声が聞こえた。俺は恐る恐る後ろを見る。そこには、
「あれ? 教頭先生?」
尾田教頭がいた。篠原先生じゃないのか?
「君、席に座りなさい。もう時間だ」
「はい」
俺は大人しく座る。そりゃあ、教頭先生だもんな。言うこと聞いておかないとな。
「大まかに言うと、今日から篠原先生に代わって新しい先生がこのクラスの担任になり、社会の先生をする」
いくらなんでも大まか過ぎるだろ!
「西尾先生、入ってきてください」
入ってきたのは若い男の先生だった。
「では、あとは西尾先生に訊きなさい」
そう言い残して教頭先生は教室から出て行った。
「えっと、では自己紹介をします」
そう言って先生は黒板に『西尾』と書いた。篠原先生のような持病は持っていないみたいだ。つまらない。これで社会の授業も俺は寝ること決定だ。
「宇宙局部超銀河団乙女座銀河団局部銀河群銀河系オリオン腕辺縁部太陽系第三惑星地球亜細亜州東亜細亜日本国東日本東北地方青森県北津軽郡板柳町出身です」
おおっと! なんつった!?
みんなもポカーンとしている。大愛ですら。
「津軽弁はこっちにいる時は抜いていますが、実家に帰ると出ます」
西尾先生は笑う。
「あの、篠原先生はどうしたんですか?」
領地が訊く。
「篠原先生はいま流行りの育休というやつだよ」
いま流行りなのか! 知らなかった。
「でも、篠原先生は未婚じゃ……」
陣が訊く。
「いま流行りのでき婚というやつだよ」
本当に流行ってるのか?
「えっと、1時限目は社会だね。じゃあ、みんなのことを知りたいから自己紹介に1時間使おう」
別に異論はない。
「じゃあ、号令かけよう」
「起立」
学級委員の谷沢が言う。
「注目、刮目、着目、一目、礼! 着席」
いつも通りよく分からない号令をかける谷沢。西尾先生は特に気にしていない。
「一体全体、何がどうなってこれがこうなったんだろう」
俺はそう呟いた。
またまたおかしな人が出てきました。実は先生の名前、加賀崎以外はちょっとした法則性があります。『篠原、尾田、西尾』で検索すれば一発で出てきます。駄目じゃないかと言われも貫く予定……。『捻くれ(以下略)』、登場人物、ストーリー、全部ひっくるめてこれからもよろしくお願い致します!