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女子はそうだろうな。

「なあ、いくら何でもこのベッド、大き過ぎないか?」

「普通じゃない」

 だから、お前の普通は普通じゃないぞ!

「じゃあ、わたしは着替えてくるから。神林君はここで着替えててね」

「ああ、分かった」

 大愛へ別の部屋に行く。更衣室があるらしい。

「じゃあ、何で俺はここで着替えるんだ?」

 と、疑問を口にしたが、そんなことをしても意味がないので、渋々着替える。3分で完了。大愛はまだ戻ってこない。

「俺は何をしていればいいんだろう」

 全くやることがない。この部屋で突っ立っていればいいのか?

「いやいや、それはマズいだろう。大愛が戻ってきたときに俺が立っているだけだったら困惑するに違いない」

 『微妙に優しい』という一面を見せたと思う俺だった。

「いやー、こんないい面を持っていたなんて驚きだな。ホント、自分のことって意外と知らないもんなんだな。もしかすると大愛のお陰かもしれないな。大愛様々。なんだかいいことをすると晴れ晴れするなあ。こんないい気持ちは初めてだな。いいことをするといい気持ちがするのか。この感覚がずっと続けばいいんだけどな」

「大丈夫?」

「万事オッケー、問題ナッシング、ノープログレムですよ!」

 俺は声がした方を向く。大愛だった。いや、俺と大愛しかいないのだから当たり前だ。

「全然大丈夫じゃないわね」

「あ、いやいや大丈夫、大丈夫! 俺の決め台詞を考えていただけだから!」

 咄嗟の嘘。おそらく見え見えのバレバレ。

「そう」

 この反応がバレてる証拠。

「さて、もう遅いから寝ましょう」

「あ、うん」

 何かやらないのか……と、何で何もやらないんだろう、という二つのことを考えながらベッドに入る。フッカフカのフッワフワだ。これで寝ちゃうと家のベッドでは寝れなくなるかもな。

 大愛は手を叩く。すると電気が消える。

「すごい仕組みだな」

「普通」

「じゃねえよ」

「そうかしら?」

 普通じゃない。だが、それを大愛に説明する時間が無駄だ。

「んじゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」



 寝れねえよ! なんだこの柔らかさは。慣れな過ぎて寝れない!

「ねえ、神林君。起きてる?」

 大愛もまだ起きてるようだ。

「ああ、寝れるわけねえ」

「それはわたしが寝た後にこっちに進入するから?」

「んなことしねえよ!」

 一瞬だけ考えたけど。でも、しない。しないぞ、俺は! 心に決めたんだ! いつまで持つか分からないけど。

「普通、こういうときは『コイバナ』をするんじゃないの?」

 おお、意外と普通のことを言った。

「女子はそうだろうな。だが、俺は『コイバナ』の意味を知らないぞ。大愛は知ってるのか?」

「知らないわ。だから、神林君に訊こうと思ったのだけど」

 そうだったのか。俺もたまには人の役に立つんじゃないか。

「じゃあ、考えてみるか」

「そうね。何もしないよりはマシね」

 考えてみれば、俺はまだ人の役に立っていなかった。ここで大愛にいい所を見せないとな。

「多分、何かの略語だな」

「それはそうでしょうね」

 あれ、俺の意見、もうなくなった? くそぉ。

「『故意にバターナイフで刺す』の略かしら」

 怖えよ。故意にって、確信犯じゃねえか。

「違うだろ。『濃いバーナー』だろ」

「何が濃いの? そうではなく、『来いバンナボン』でしょう」

 バンナボンってなんだ?

「全然違うな。『鯉用バナナ』に決まってる」

「いいえ、『故意のバナジウム爆発』よ」

「それはないだろう」

 バナジウムって爆発するのだろうか。俺は分からない。

「そうじゃなくて『濃いバナナオーレ』だろ」

 美味そうだ。

「『故意にバカになるな』ではないかしら」

 故意が好きだなー。

「掠りすらしてないだろ。『請い、バラードな』で決定だな」

「どういう意味よ」


 という感じで俺と大愛は議論した。『古意場馴れ』、『鯉幟離れ』、『コイル場慣れ』、『小池さんバカな』、『口論言い草、バロンな草』、『コメディー、インディアン、バイオリン、ナーバス』、『小坂、井坂、浜坂、名坂』等々、色々出てきた。が、どれが正解か分からない。

 そしてとどのつまり、

「神林君、携帯電話持ってないの?」

「ケータイ? あるぞ」

「それで検索したらいいんじゃない?」

「あ……」

ということになり、検索したら『恋話』の略だった。

「あっけないわね」

「そうだな」

「わたしの『光熱費一気に落ちるバイオ燃料な家』が一番良かったわ」

 日本語が若干おかしいぞ。

「いやいや、俺の『効果抜群色仕掛けでバッチグーな作戦』がMBRだろ」

「MBRって何?」

「『最もベストな略語』の略」

「そんなの聞いたことないわ」

「俺が作ったからな」

 俺が審査委員長だぜ。

「何よそれ!」

 俺と大愛はそんなことを話していたが、それはそれでそれなりにそれとなくそれでも楽しかった。

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