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【プロトタイプ版】悪役令嬢、革命の果てに ~英雄と呼ばれた彼女が、処刑台に立つまで~  作者: ぱる子
最終章:革命の果てに

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第48話 革命の果てに

 静まり返った首都の広場。荒れ果てた街並みをかすめる朝の光が、処刑台を淡く照らしている。あれほど激しく響いていた怒号や嘆きはもう遠く、夜の闇とともに消え去った。

 ――夜は明けたのだ。


 新たな暫定政府の要人たちはすでに会議室へ集まり、国の再建に奔走(ほんそう)している。広場を見回る者はほとんどいない。巨大な処刑台と、その上に残る粗末なロープだけが、まだここで起きた悲劇の名残を物語っていた。


 その脇をかすめる風は、どこか(ほこり)と焼け焦げの匂いを(はら)んでいる。かつて民衆の熱狂と希望で埋まった場所が、今は痛ましい静寂に包まれていた。まるで、この国から全ての声が奪われたかのように――。


 ――その瞬間、埃まみれの台を()でるかのように、(かす)かな風が巻き上がる。そこに誰の影を見たのか、あるいは見なかったのか、誰も気づく者はいない。淡い光の中に浮かび上がる黒い衣の(すそ)――それはまるで幻想のようにひらりと揺れ、朝日とともに溶けていく。


「……そう、私が辿り着いた結末は、こんな惨めなものだったのね。

 あれほど抗って、あれほど血を流したというのに……結局、倒される側になるなんて。

 転生先で王政を覆して革命を起こしたはずが、『独裁者』と呼ばれて自分が処刑されるだなんて……笑うしかないわ。


 ……事故で終わったはずの私の人生。

 それでも、この世界では違う未来が待っているって――あの頃は、そう信じていたの。

 けれど結局、王政を倒しても悲劇は終わらず、私が失わせた命の重さだけがここに残った。

 『悪役』の運命から逃れたと思ったのに、結局は同じ破滅を迎えたの。

 (おろ)かだと笑ってくれたって構わないわ……そう、私こそが一番の『罪人』なんだから。


 でもね、最後に見たあの光景――

 怒号と悲鳴と、血に染まった地面。

 私が止まれば、誰かが笑顔でいられたのかもしれない。

 それでも……立ち止まれなかった。革命の旗を投げ出すのが怖くて……その先の未来を信じるのが、怖くて……。


 『悪役令嬢』として始まった私の転生劇は、こうして幕を下ろした。

 それでも、この国の物語はきっと終わらない。

 私の命が尽きても、また誰かが歩き出すでしょう。

 この苦しみと矛盾を抱えた世界が、いつか本当の光を見つけられるのなら……それでいいわ。


 ふふっ……。最後の笑みが狂気に見えたとしても、私はそれで構わない。

 誰にも消せない痛みを抱えたまま、私は終わりを迎えた。

 ……もう、この世界には生まれ変わりたくない。次こそ、どうか……静かな眠りを――」


 ほのかな声音が風に溶けた時、そこにはもう誰の姿も見えない。処刑台とロープだけが、血と涙の記憶を宿したまま(たたず)んでいる。

 人々は広場を後にし、国は新たな時代へと向かい始めた。パルメリア・コレットという名は、多くの傷痕を伴って歴史に刻まれることだろう。


 ――それでも、悲嘆(ひたん)と後悔の底で見上げた朝日は、容赦なくこの地を照らす。

 彼女が消えた今、もはや「革命」も「自由」も、あの日々の亡霊にすぎなくなるのか。

 だが、彼女が最後まで見据えたもの――それは、血と涙を経てもなお、人々が次へ進むかもしれないという淡い期待だったのかもしれない。


 こうして物語は一つの幕を下ろす。

 独裁者として処刑された彼女が、最期に浮かべた微笑――その真意を知る者は、もういない。

 だが、崩れ落ちた瓦礫(がれき)の上に降り注ぐ朝の光が、ゆっくりと国を染めていく。

 かつて「革命の英雄」と呼ばれた者の亡きあとも、世界は動き続ける。

 そう、全てが失われたわけではないのだ。薄紅に染まりゆく空の下、人々は歩みを止めず、それぞれの明日を模索していく――

 そして、これこそが彼女が「革命の果て」で見届けようとした最後の輝きなのかもしれない。


(第二部 完)

(第三部へ続く)

 みなさま、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「悪役令嬢、革命の果てに」、ついに第2部完結です!


 王政を倒し、新たな共和国を築いたパルメリア。

 自由と平等を掲げ、民衆のために戦ったはずの彼女は、やがて国家を守るために「強権」を振るい、気づけば「革命の英雄」から「独裁者」へと変わっていました。


 理想を叶えるために手を汚し、仲間たちとすれ違い、粛清を重ね、求めた未来はどこまでも遠く――

 そして、ついに彼女の物語は“終焉”を迎えました。


 だが――これは、本当に“終わり”なのか?


 第3部「悪役令嬢、絶望を抱いて」 では、処刑台で幕を閉じたはずの彼女が、再び目を覚ますところから始まります。


「革命を成し遂げ、国を導いた英雄は、ついにその生涯を終えた――はずだった。」

 だが、目を覚ますと、そこには見覚えのある世界が広がっていた。

 公爵令嬢としての日々、かつての仲間たち、そして再び巡る運命――


 しかし、もう理想を語るつもりはない。

「何をしても、最後には破滅するなら……私は、もう何もしない。」

 誰も救わず、誰にも救われず、ただ終わりを待つだけ。


 だが、世界はそれを許さない。

 迫る戦火、王宮からの召集、かつての仲間たちの懇願。

 彼女は再び、この世界を動かすのか? それとも、本当にすべてを終わらせるのか?


 運命に抗うか、受け入れるか――

 絶望に沈んだ悪役令嬢が選ぶ“最後の結末”が、いま幕を開ける。



 改めて、ここまで読んでくださった皆さまへ。


 第2部も最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

 パルメリアが革命を成し遂げたその後の過酷な現実と、

 彼女が歩んだ“光と影”の道を、最後まで見届けていただけたことに感謝しています。


 第3部では、彼女が迎えた「革命の果て」を超えた物語――

 そして、“もう一度”与えられた人生の意味を描いていきます。


 これまでとはまた違う展開が待っていますので、

 ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しいです!


 それでは、また次の章でお会いしましょう!

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