エピローグ
「遥人! 横に回り込むのじゃ、このままの勢いで叩くぞ!」
「オッケー、神楽。狙いバッチリ、いつでもいける!」
「その心意気や良し、やるのじゃ!」
「よし! これで、ゲームオーバーだっ!」
俺と神楽は、並んでオンラインゲームをやっている。
コメント欄は俺の射撃テクニックと、神楽の立ち回りのうまさを称賛するコメントで溢れていた。
今俺は、神楽と組んで『ハルカナチャンネル』を続けている。神楽は「わらわが加わったのだから『ハルカグチャンネル』じゃろう?」と主張したが、俺はチャンネル名を変えなかった。
いつか、もしかしたら――奏人が無事に帰ってくるかも知れない。
奏人を包み込んだあの黒い煙は、聖母様――奏人のお母さんで、いつか、奏人の心がもとに戻ったらこの世界に還してくれるかもしれないと、信じているから。
神楽にも太刀風僧正にも、ありえないとは言われてしまったけれど。
それでも俺は、信じているからな。奏人。
だからはやく、還って来いよ。
ゲーム配信を終えると、神楽がスマートフォンを見た。
「ふむ、心霊の除霊依頼が入っておる。準備をして行くぞ、遥人」
あの廃病院での出来事以来、俺は見込みがあるということで、神楽の助手として霊を祓う仕事を手伝っていた。神楽は「廃病院の呪いをタダで解いてやった報酬をもらわねばのう」などと意地悪に微笑んでいたのもなつかしい。
「わかった、行こう。……絶対また会おうな、奏人」
【了】