第4q 自己紹介したのか
「俺は木下っていうんだ、よろしく!」
木下先輩は、後ろを振り返る。
すると、後ろには先生らしき人がいた。靴を履き替えているのだろうか。
木下先輩は表情を変えて叫んだ。
「集合!!」
体育館中に声が響き渡る。
部員が走って木下先輩のところに集まってくる。
そして、先生もこっちにやってくる。
そして、先生は開口一番喋ったのは……。
「この子達は新入部員か?」
「いや、体験です」
木下先輩が、先生の質問に答える。
「そうか、自己紹介からするか。俺は松本秀斗。29歳だ。昔はSGを担当していた。よろしく」
松本先生が簡単に自己紹介をする。
途中に話したSGというのがよくわかんなかったけど、一応スルーする。
あ、今のギャグじゃないよ?
「そういえば、お前ら自己紹介したのか? していないなら今しておきな」
先輩達はおろおろするが、一人平然としている先輩がいた。
「ったくもう、お前らうっせぇんだよ。自己紹介ぐらいさっさと済ませろよ」
喋り方が怖い先輩だなぁ……。
僕はつい、後ずさりをしてしまう。
っていうか、身長高いなぁ……。何センチなんだろう。
「俺は、竹内力也。身長184センチ。2年。ポジションはC。よろしくな」
184センチ!?
しかも2年生で!?通りで大きいわけなんだ。
でも、あまりこの人とは関わりたくないなぁ……。怖いし。
「じゃあ、次俺ね。佐藤司。2年生で、ポジションはPG。一緒にがんばろう!」
優しい先輩だなぁ。
しかも、かなりカッコいいし……彼女とかいるんじゃないかな?
この人も2年生なんだ。
「よっしゃ、俺やな! 俺、沢田晃! 身長163センチ! ポジションはSF! 体重は51キロ、趣味はTVを見ること……」
「おい、晃そんなに紹介しなくてもいいだろ」
「まぁ、最初やし、ええやんか」
部員全員が笑う。この先輩面白そうだなぁ。
しかも、関西弁ということは関西出身なのかな。
「じゃあ、最後に俺か。 俺は、木下淳。中3でポジションはSG。皆で全国行こう!」
やっぱり木下先輩はかっこいいなぁ。
僕の憧れの先輩かも。
「さて、体験の子も一応自己紹介してもらおうか」
先生が、僕たちに目を向けて話してくる。
勇太が先に前へ出て喋りだす。
「僕は白山勇太です。小学校の頃は、PFをやってました。身長は155センチです。よろしくお願いします」
紹介が終わり、部員の目は僕に飛んでくる。
え、何をしゃべればいいんだろう……。バスケなんてやった事ないし。
「ぼ……僕は、高野奏です。身長は143センチぐらいでバスケは今まで体育しかやった事ありません。役立たずかもしれませんが、頑張ります」
恥ずかしくて顔を下に向ける。
うわぁ、恥ずかしくて前をむけれないよ……。
「何をいってんねん! 1から教えるだけのことやん!」
「え?」
「最初はだれでもそうだ。俺も協力はする」
沢田先輩と竹内先輩が言う。
竹内先輩、怖いけど本当は優しい人なんだ。
「さぁ、ここから全国大会優勝を目指していくぞ!! まずは市総体の優勝だ! 気合入れていくぞ!!」
「「「おぅ!!!!」」」
部員の声が一つにまとまって体育館中に鳴り響いた。