第3q 俺、木下って言うんだ
始業式も終わり、部活の見学が出来る放課後、奏はバスケ部を見学に来ていた。
奏は見ていて凄いと思った。その迫力、熱気、実力に。
しかし、どうも拍子抜けだなぁと感じたのは部員の人数だ。
全部で4人しかいない。
「これって試合でれねぇよな……?」
隣にいた勇太が言う。
バスケは1試合5人必要だ。4人では人数不足で出る事はできない。
「そうなんだ……」
しばらく喋りながら、見ているとある先輩が大きく半円のように引いてある線からボールをもらう。
先輩はボールをシュートする。綺麗なループを描き、ボールはゴールに吸い込まれていった。
そして、リングにかすらず、網だけの音が聞こえた。
「凄い……」
僕はつい呟いてしまった。
だが、その言葉は嘘ではない。純粋にカッコいいと思ってしまった。
すると、さっきシュートを放った先輩がこっちに近づいてくる。
僕たちの目の前で止まる。
「君たち1年生だよね?」
「はい」
「今体操服もっているかい?」
「えぇ」
「よかったら、体験してみないかい? あそこの更衣室で着替えてくれば良いからさ」
先輩に言われて、僕は渋々、いや、嫌々着替えたといったほうが正解だろう。
だが、勇太はワクワクしていた。
凄いなぁ、勇太は。相変わらず性格は昔から変わっていないなぁ。
僕は体育館シューズを履いて体育館のコートに戻る。
先輩達は黙々と練習を続けていた。
僕は、ボールを先輩に渡されてボールをついてみなよと言われる。
僕は、先輩に言われるようにボールをついてみる。
あぁ、なんか低い「シ」の音がする気がするな……。
って、バスケしているのに何で音楽になるんだ。
でも面白い。
球技が嫌いで嫌いで仕方が無いのに、面白くてワクワクする。
「どう、面白いでしょ?」
「はい!」
僕は大きい声で言った。
あれ、そういえば僕、先輩の名前聞いていなかったや。
「先輩の名前は何ですか?」
「俺? 俺は……」
先輩はボールを指の上に乗っけて、くるくると回す。
僕は、それについ見とれてしまった。
「俺は木下っていうんだ、よろしく!」
遅くなってすみませんでしたぁぁぁ!!
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