第2q 誘われたんだ
僕は校舎に入り、B組に向かう。
同じ小学校の子が沢山いるといいなぁ、なんて思っている僕。
だって、味方が沢山いたほうが良いじゃん。
僕はB組のドアを開ける。
中には、あまり知らない顔ばかりだった。僕はちょっとがっかりしたが、それは一瞬で吹き飛んでいった。
「奏!」
「あ、勇太!」
目の前に現れたのは、いつもとは違う髪形をしている僕の友人だった。
この子は、白山勇太。僕の同級生で一番仲が良いんだ。
でも、ちょっと性格は乱暴だけど、本当は凄く優しい子なんだ。
「勇太、B組?」
「あぁ! そろそろ入学式が始まるみたいだな」
勇太は体育館シューズをもって、体育館へ向かう。僕も、勇太についていった。
そして、体育館に着くと沢山の新入生がいた。
それもそのはず。この「松栄中学」は私立でも人気の中学。
受験者も今年は特に多く、普通はC組までだけど特別にD組まで作られたとか。
体育館は広く、大きかった。
「あぁ~今年もバスケやろうかな」
「勇太ってバスケ部はいるの?」
「おう! 奏もやらねぇか?」
「え、あ、いや……怖いし、危ないし、僕運動苦手だし……」
僕はあまり球技が好きじゃなかった。
というのも、昔は体操はやっていたので運動神経はあるけど、球技は苦手だった。何故か。
「そっか、お前とバスケしたいなって思ってたんだけどな」
「第一僕、背低いし……」
僕の身長は、実は143cm。とても背が低い。
だから、バスケなんてとてもじゃないけど出来ない。
「でも……今年なんか部活やりたいし……」
そういうと、勇太は軽く笑った。
「じゃぁ、バスケしようぜ! 絶対楽しいからさっ!」
「う……うん、見学だけでも……」
「よっしゃ! じゃあ決まりだな!」
勇太はとても喜んでいる。
僕、そんなにやりたくないけどまぁ勇太がそこまで言うなら……。やってみようかな。
校長先生の長い話が終わると、入学式は終わり家に帰ることになった。
帰りは当然、希と一緒だ。
他の子は、みんな電車で帰るし、勇太は、違う方向なので別れた。
希は、なんか楽しそうだ。なんでだろうか。
「なんで、そんなテンション高いの?」
「だってー、なんか面白そうじゃん!」
「面白そう? 何が?」
「面白そうじゃん、私立の中学生生活って!」
希は昔から、楽しそうな事があると凄くテンションが上がる。
それが希の長所でもあり、困ったところでもある。
「ハハハ……まぁそうかもね」
「奏、部活入らないの?」
「僕?」
「私、バスケ部入ろうかなっておもってるんだ」
「なんで?」
「誘われたから! やらないって」
僕と一緒だ。勇太もやらないって誘われたし。
「僕も、やろうかな。バスケ」
「へ?」
「僕も誘われたんだ。勇太に」
「じゃあ、私達仲間だね!」
希はウィンクを僕に見せてくる。
実はここだけの話、希のウィンクは殺人並みの威力を誇る。
つまり、男の人は大体やられる可能性が高いという事だ。
僕も昔初めてウィンクをやられた頃、不覚にも可愛いと思ってしまったぐらいだ。
「そうだね! 頑張ろう!」
「オー!!」
こうして、長い中学生活が始まろうとしていた――――。
実は作者の僕もウィンクには弱いです(笑)