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ルーシアンミス  作者: 月白 翠
序章
16/37

2 楽園は滅びた

 ピグマが震えている。

 ピグマはクレミスを覆う見えない壁、大気、光、あらゆるもの。クレミスに暮らす者にとって常に側にあるもの。あって当たり前のもの。何でも作れるピグマともいわれる。目に見えないピグマが何故震えているのか、それはキリキリ、ごうごうと音を立てているからだ。今まで聞いた事のない耳障りな音。

 クレウ達は恐怖する。何かが起こっている。何か、が分からず不安になる。

 クレウとはクレミスで生まれ育った人々をいい、高身長、逆三角形の体型、手足が細長い。さらに性別がなく、イゾを持っているという事が最大の特徴だろう。彼らはクレミス中心にある生命の泉より生まれる。命の管理者が存在し、クレウ達を誕生させている。イゾは目に見えないもので体内にある。それが何の為のものか、それがある事でどんな効果があるのかクレウ達は知らない。


 ここに一人、ピグマの振動に動じないクレウがいる。名をアリネストといい、ピグマが破壊される事を知っている。ピグマを破壊すると伝えた者はハードゥア。ハードゥアはピグマの向こう側には広い世界があると考えている。それを証明する為の破壊だとアリネストに伝えていた。

 アリネストは自分の学堂の生徒を集めて準備をしていた。ハードゥアはピグマが壊れたら外へ出る。それを追って行く為の準備だ。

 外へ出たハードゥアを追ってみんなを導くのがアリネストの役目。そう頼まれている。年長のクレウを中心に集まった生徒は十三人。年少のクレウはあとから来るべき、と代表格の生徒は主張するがアリネストは了承しない。年少のクレウこそ新世界をいち早く目にし、地に足をつける者だと説いた。

 こうしてアリネストと十三人の生徒──ゾラがハードゥアとその弟子──ダルを追ってクレミスを出る事になる。





 天頂のピグマが四方へ大きくひび割れ、縦に真っすぐ割れ始める。ついにピグマが壊れ、見えない壁が崩れ落ちた時───





 ハードゥアが真っ先に外へ向かって飛び出し、四人のダルがあとに続いた。

 それを見たアリネストは

 「見よ! 破壊者が外へ出てゆく。我々も追おう!」

 と叫んだ。

 年長のゾラ達は鬨の声をあげ、アリネストの周りを固めると同時にクレミスの外へ飛び出した。

 空間が歪んで幾重にも折り重なったような不思議なところを通り、降り立った所はハルスト。ハードゥアと弟子達は見当たらない。彼らの痕跡を追ってプヨプヨ、ぐにゃぐにゃの大地をさらに進んで辿り着いた所がアンダステ。

 はたして、ハードゥアと弟子達は。やはり見つからない。

 予定と違う事にアリネストは嫌な予感を感じる。アリネストはよく探すようにゾラ達に()うがハードゥアどころか弟子達も見つからなかった。

 結局アリネストはハードゥアとの約束を守れず、アンダステに残る事になった。














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