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第1話 悪役令嬢vs爆裂王子

 ここは小高い崖の上に立つとある屋敷。この屋敷では、可憐な令嬢と爽やかな王子が婚約しようとしていた。


 はずであった。


「動物令嬢。君とは婚約破棄だよ!」


「そ、そんな……!?

 何故です!? 爆裂王子!!」


 動物令嬢と呼ばれたケモ耳の生えた少女。彼女は結婚を控えていた爆裂王子という王子から理不尽に婚約破棄され、泣き崩れていた。


「理由なんてないよ。婚約破棄して

 君が泣くところが見たかっただけさ!!

 ハーッハッハッハッハッ!!」


 爆裂王子は、動物令嬢を見下すと、満足そうに笑っていた。……その時だった。


「……ッ! 頬に傷が……!?」


 爆裂王子の頬を何かが掠った。爆裂王子の頬は裂け、一筋の血を流している。


「誰だ!? 僕の顔に傷を付けた奴は!?

 許さねぇ!! ぶっ殺してやるッ!!」


 激怒する爆裂王子。自分に傷を付けた犯人を探す。必死に辺りを見回している。


「ここですわ。爆裂王子」


「なッ……!? お、お前は……!?」


「“悪役令嬢”……!?」


 悪役令嬢と呼ばれた少女は屋敷の屋根の上で腕を組み、爆裂王子を見下ろしていた。爆裂王子は、激しく動揺していた。


「き、聞いたことがある……!!

 婚約破棄する超人王子を探し回り、

 その王子を抹殺するために現れる

 神出鬼没の極悪令嬢……」


「知っていていただき、

 光栄ですわ。爆裂王子」


「ご褒美に、なるべく苦しまないよう

 殺してさしあげます!!」


「な、ナメるなあああああッ!!」


 爆裂王子は悪役令嬢に手をかざす。爆裂王子の手のひらが発光し、悪役令嬢の立っている屋根を爆発させた!


「アハハハハハハハハッ!!

 ざまぁみろ!! 僕の能力は

 狙った箇所を確実に

 爆発させることが出来る!!」


「悪役令嬢だかなんだか知らねぇが、

 爆裂王子の僕の前では

 無力なんだよォ……!!」


「あら。どこを見ていらっしゃるのかしら」


「な、なんだと……!?」


 悪役令嬢の声が背後から聞こえ、狼狽える爆裂王子。確かに悪役令嬢は吹き飛ばしたはずだった。なのに、何故自分の背後にいるのか分からなかった。


「わたくしは悪役令嬢……。

 闇から闇へ移動する者……」


「ぼ、僕の影へ飛び込んだのか……!?」


「ご名答。頭まで爆裂しているかと

 思いましたが、それなりに

 知能はあるようですわね……!」


「こ、こいつ……ッ!!どこまで

 僕を侮辱すれば気が済むんだ!!」


 爆裂王子は激昂しながら策を練る。どうすればこの生意気な女を吹き飛ばせるのか思考を巡らせる。


「ククク……そ、そうだ……!!」


「…………っ!?」


「動くなァ!! 動いたら

 動物令嬢の頭を吹き飛ばすぞォ!!」


「ひっ……!!」


 爆裂王子は、非道にもさっきまで婚約者であった動物令嬢を人質に取った。悪役令嬢もこの男の卑劣さに苛立ちの表情を見せている……!


「……やれるものならやってみなさい」


「な、なにィ……!?」


「それとも、口ばっかりの

 腰抜けなのかしら……?」


「い、言いやがったな……!!

 や、やってやる……!!

 本当に吹き飛ばしてやるッ!!」


 挑発された爆裂王子は、首を羽交い締めにしている動物令嬢に殺意を向ける。頭を吹き飛ばすため、能力を発動させようとしていた……!


「“暗黒の垂れ幕(ブラックカーテン)”」


「……なッ!?」


 突然。爆裂王子の視界が真っ暗になった。悪役令嬢の闇の能力が、爆裂王子の周囲を布のようなオーラで包み込み、視界を奪っていたのだ。


「な、何も見えねぇ……!!」


「あなたの能力は、目視した

 対象でないと爆発させられ

 ないのでしょう……?」


「チ、チクショオッ……!!

 僕の能力の発動条件に

 気づいてやがったのか……!?」


 爆裂王子は爆発能力を封じられ、歯を食いしばり悔しがっていた。悪役令嬢は不敵に笑う。


「ここまでですわね。爆裂王子。

 何か言い遺すことはあるかしら?」


「うるせェッ!! 死ねェッ!!」


 爆裂王子は能力を封じられたまま、動物令嬢を放り投げると、悪役令嬢に向かって闇雲に突進した。


「愚かですわね……。怒りに我を忘れ、

 まるで醜い野蛮な獣ですわ」


「“暗黒の爪(ダークネスネイルズ)”ッ!!」


「ぐおああああああッ!!」


 悪役令嬢は自身の影から、無数の暗黒の手を生やし、鋭い爪で爆裂王子を斬り裂いていた。全身を斬り刻まれ、傷だらけの爆裂王子は崖から転がり落ち海へと転落し、その名の通り、大爆発を起こした。


「あ、ありがとうございます……!

 悪役令嬢のおかげで助かりました!」


 動物令嬢は涙を流して悪役令嬢に感謝していた。悪役令嬢は先程までとは打って変わって、穏やかな優しい表情になっていた。


「わたくしは全ての令嬢の味方です。

 また、何か困ったことがあったら

 わたくしの名を呼んでください。

 すぐに駆け付けますわ……! 」


「あ、悪役令嬢……」


「おっと。わたくしとしたことが、

 名乗り忘れていましたね……」


「わたくしの名はゲリラ。

 ゲリラ・ヘビーレインですわ」


 今日もゲリラは、悪役令嬢としての使命を全うする。各地で悪事を働く超人的な能力を持つ“超人王子”。彼らに虐げられている令嬢の代わりに復讐するために……。

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