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最終話 衝撃の事実とやり直しの告白!

誤字報告ありがとうございますm(_ _)m

馬車がドゥルド公爵家に着いても、御者に急かされてもなかなか立ち上がれなかった。


だって馬車から降りたらドゥルド邸に入るんだよ!


邸に入ったらカルゼがいるのよ!


そんでゴニョニョをゴニョニョ·····




やっぱり無理!!


学園ではマリン様の教え通り金〇したらいいと意気込んで馬車に乗ったけど、道中でだんだん冷静になってきたわ。


普通に考えて失敗したら男として立ち直れないよね。


それにまだどんな好きかわかってないのに⋯


ゴニョニョに失敗しなくても私が恋愛感情もてなかったら―――


カルゼがまた泣いちゃう。


あの泣き顔は好きじゃない。


どっちみち結婚したらやらなきゃいけないけど、どんな好きかはっきりしてカルゼに伝えてからの方が、ショックが少ないような気がする。


償いは別の形でしよう。


帰ろうと思って馭者に伝えるのに馬車の窓のカーテンを開けたら目の前にカルゼのお顔!


「ぎゃあああ!」


淑女にあるまじき悲鳴がでて腰が抜けそうだったわ!


「シーちゃんが出てこないからどうしたのかと心配だったけど、元気そうだね。」


笑顔で馬車の中に入ってこないでよ!


カーテン開けて悩みの種がドアップでいたら、100才の老人でも叫ぶわ!


「さ、行こう。

母上もシーちゃんに会うの楽しみにしてたんだ。」


あ、小母様も居るのね。


意識し過ぎで恥ずかしい·····。


安堵感で体から力が抜けてカルゼの差し出す手を取って馬車を降りた。





ドゥルド邸に入るとブルーシルバーの髪を緩く一つに纏めた品の良い美女がエントランスで出迎えてくれた。


「シーちゃん、お久しぶり!

ずっと来てくれなかったから寂しかったのよ。

こんなに綺麗になったなんて月日が流れるのは早いわねー。」


小母様に悪気がないのはわかるんだけど、今の私にはその言葉が胸に刺さる·····


笑顔でガーデンテラスに案内され、色とりどりの花の中でお茶会。


「沢山召し上がって。

シーちゃんの好きな魚介のカナッペも用意したのよ。」


海老やホタテやサーモンのカナッペの他にサンドイッチやキッシュまである。


小母様、夕ご飯前のお茶なのに多すぎない?


「久しぶりだから母上が張り切ったんだよ。」


カルゼまで久しぶり言うな!


「小母様、ご無沙汰してしまってごめんなさい。

私の好きな物覚えていて下さったのね。

ありがとうございます。」


ここはしっかり謝罪とお礼を言わないと。


婚約者なのに相手の邸に全然来てなかったもんね。


「昔はわたくしに会ったら抱きついて挨拶してくれたのに·····。

大人になったのは良い事だけど小母様は寂しいわ。」


そんなんで目をうるませないで!


罪悪感が膨らんでいくから!


「母上、シアが困ってるよ。

取り敢えず座ろう。」


「そうね。さあ、どうぞ。

足りなかったから言ってね。」


テーブルいっぱいの料理につい目を輝かせる。


一番好きなエビのカナッペから頂こうと手を伸ばすと、小母様が真剣な顔で私に謝罪してきた。


「実はシーちゃんに謝らないといけない事があるの。」


謝るって小母様に何もされてないけど?


私のハテナ顔に苦笑してびっくり発言を放った。


「カルゼがシーちゃんになかなか異性として見られない事に悩んでいたから、少しでも参考になればとわたくしと旦那様の馴れ初めを話したの。」


「は、母上!」


カルゼが焦って小母様の話を止めようとしたけど気になったので続けて貰おう。


「小母様、それで?」


カルゼには動くなと視線で制した後に、小母様にニッコリと微笑んで続きを促した。


「わたくしも婚約した当初は旦那様を異性として意識できなかったの。わたくしが12才で旦那様が16才だったから、わたくしは旦那様をお兄様のように慕っていて。」


ん?


「それでも旦那様はお優しくて紳士でよくお互いの邸を行き来していたのだけど、二年ほどたった頃に旦那様がお忙しくて会えない日々が続いたの。

わたくしはいつも会えていた旦那様に会えなくなって、寂しくて初めて旦那様に恋していたと気づいて。」


小母様は恋する乙女のように頬を染めて小父様との馴れ初めを語っている。


「それからは旦那様を意識してしまって、そんなわたくしに気づいた旦那様が愛を囁いてくれた時は嬉しくて涙が零れたわ。」


私は小母様と小父様の馴れ初め話に、開いた口が塞がらなかった。

決して小母様の惚気話に呆れたわけじゃない。


カルゼを見ると両手で顔を覆ってるけど、隠しきれてない耳が真っ赤だからね。


小母様は私のぽかんとした表情に、回想から現実に戻り、恥ずかしそうにはにかんだ。


「ごめんなさい。一人で盛り上がってしまって。

その話をしてからシーちゃんがドゥルド邸に来なくなったから、もしかしてと心配していた時にラゼントリオ伯爵家から婚約の解消の話が来たの。」


もしかしなくても十中八九それを参考にしてますよ。

しかも少しじゃなくガッツリとパクってます。


その証拠にカルゼは湯気が出るんじゃないかと思うほど首まで真っ赤になってる。


「しかもシーちゃんに暴言まで吐いたなんて!

何度も人それぞれだからって言ったのに、一人で暴走して成果が出ないからってあんな酷い事を!」


いや、それは私は別に気にしてないから。

なんかカルゼが可哀想になってきたな。


「小母様、私は気にしてませんし、婚約者としてきちんとカルゼに向き合ってなかった私にも非があります。」


だからもう止めてあげて。

カルゼが恥ずか死ぬ。


小母様は自分の息子を見てため息をついた。


「シーちゃんが絡むとどうしてこうも暴走してしまうのかしら。

シーちゃんもカルゼには昔から甘かったものね。」


別に甘いわけじゃないけど子供の頃のカルゼってよく泣いていて、私はカルゼの泣き顔が苦手だったんです。


それ言ったら私がいつも泣かしてたみたいだから言わないけどね。


「二人の問題だからわたくしはもう失礼するわ。

ゆっくりしていってね。」


うふふと意味深に微笑んで行かないで!


小母様の姿が見えなくなり、私とカルゼの二人だけになった。


侍女まで小母様に付いて行ったのよ!


何この気まずさ⋯


「シーちゃん、呆れた?」


真っ赤な顔を手で覆って俯いたまま弱々しい声が聞こえてきた。


「うん。」


ここは正直に答えよう。

マジで呆れたからね。


押してダメなら引いてみろ作戦だったんだろうけど⋯


私は押されてるのも引かれてるのもわからなかった。


「そうだよね⋯

シーちゃんが俺を家族枠に入れたままじゃ、そんな事しても意味無いって今ならわかるんだけど、あの時は行き詰まってて⋯」


私も今ならカルゼが離れていったのがおかしいってわかるよ。


それまで私にベッタリだったのに。


でも最近まで婚約者の義務とか交流とかを全然考えてなかったから、アジスと同じように思ってた。


カルゼがそんなに悩んでたなんて知らずに好き勝手して⋯


「シーちゃんは悪くないよ。

俺が臆病でちゃんと言えなかったのが悪かったんだって!」


カルゼは私の手を握ってアクアマリンの瞳をひたとむけてきた。


「シア、もう一度謝らせて。

特Aであんな酷い事を言って本当にごめん!」


「えっ、いや、だからあれはもういいんだって。

盗み聞きみたいになったしカルゼも勢いで言ったのもわかるし⋯」


あれ、なんで私ちょっともやっとしてるの?


あの時は婚約解消できてお互い自由になれるからって、よっしゃー!って思ってたのに⋯


「ちゃんと逃げずに言うべきだった。

シーちゃん、シア。

愛してる。

子供の時からシアが大好きだった。

強くて賢くて好奇心旺盛で傍若無人だけど俺が泣いてたらオロオロするシアが世界で一番好きだ。」


ちょっと!後半は褒めてない!


突っ込みたいのにカルゼのキラキラした瞳に囚われて何も言えなくなった。


「顔が真っ赤だ。

可愛い⋯」


カルゼが熱くなった額に頬にとキスする。


「シーちゃん、シア。

俺が怖い?」


ギクッ!

私がカルゼとの触れ合いに恐怖を感じてたのバレてる。


「⋯怖くない。」


半分嘘で半分は本当。


馬車から降りるまでは恐怖だけだったけど、カルゼの恥ずか死ぬ暴走話と告白と優しいキスに少しずつ怖さがなくなってきてる。


「唇にキスしてもいい?」


この前はなし崩しにしたくせに、なんで聞いてくるのよ!


「シア?」


だから、甘ったるく耳元で囁くな!


「い、いいけど。」


なんでいいなんて言っちゃうのよ、私は!


カルゼは私の返事に嬉しそうに瞳をキラキラさせて触れるようなキスからだんだん深くなっていく。


私は気持ち良さに陶然としてるうちに名残惜しそうに唇が離れて抱きしめられた。


「今日泊まる?」


その言葉にハッと我に返った。


「泊まらない!」


また流されるところだったよ。


私が赤い顔で睨んでもカルゼは楽しそうに笑うだけ。


あれだけ怖かったのが嘘みたいになくなっていて、フィーラ様の言った通りカルゼは私の心も体も大事にしてくれる。


安心してカルゼの胸に寄り添っていると

「でも次は覚悟してね♡」

と不穏な発言をしてきた。


全然安心できなかったー!





一週間前までカルゼに嫌われてると思ってたし、異性としてのカルゼなんて考えられなかった。


だからカルゼが婚約を解消したいんだと思ったけど全部私の勘違い。


婚約解消どころかカルゼに愛の告白をされ、私も嫌じゃない。

というか、胸がドキドキしている。


鈍い私も心不全かもなんて阿呆な発想はできない。


本当に人生って何が起こるかわかんないわ。


~[完]~





読んで頂きありがとうございましたm(*_ _)m


コメディが書きたくなって一話完結のつもりで書いたのですが、ズルズルと長くなってしまいました(;_;)


途中で主人公の屑さにタグを付け加え、完結してからじゃないと投稿できない!と最終話を書き上げて、いざ投稿してみたらアーシア屑じゃないとのコメントを別のサイトで複数頂いたので、読み返してみてちょっと大袈裟な表現に(;-ω-)ウーンとなり、アーシアの屑発言を控えたり、書き直したりを繰り返しました。


そのうち番外編も書きたいと思っています。(いつになるかはわかりませんが)


最終話だけかなり変更しています。

変更前をカクヨム様の方で投稿していますので、読んでやろう!と思って下さったらそちらへお願いします。(ただし18禁手前のお話になってます( ̄▽ ̄;))

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