酸辣湯麺
7月11日はラーメンの日である。レンゲを7、箸を11に見立てた。また、ラーメンを最初に食べた人物とされる水戸光圀(水戸黄門)の誕生日にも由来する。光圀は明国の儒学者の朱舜水から伝授されたとされる。ラーメンの日は日本独自のラーメン文化を支えることを目的としているが、ラーメンの日制定の由来自体が中華料理の影響の大きさを物語っている。
ラーメンが日本で独自の進化を遂げたことは事実である。味噌ラーメンは日本ならではの料理である。一方で改めて中華料理に学ぶ動きもあります。代表例が酸辣湯麺である。
酸辣湯麺は酸辣湯というスープに麺を入れたラーメンである。サンラータンメンとも呼ばれる。酸辣湯は酸っぱくて辛いスープという意味である。酸辣湯は、餡かけのようなとろみが濃厚である。酸味と辛味がたまらない。酸味は食欲を増進させ、辛味が新陳代謝を活発にする。従来のラーメンとは大きく異なる味で、クセになる。中国では酸辣湯はスープとして食べる。日本でラーメンを入れようになった。
チゲラーメンはチゲをスープにしたラーメンである。辛さを特徴としているが、鍋料理の中の辛さであり、調味料で辛くしただけの料理とは異なる。熱くなる辛さである。食べながら汗が流れる。油断しているとむせてしまうが、辛過ぎない。中国発祥の麺料理が日本でラーメンになり、韓国料理のスープを使う。日本・中国・韓国の文化が混ざっている。
チゲは韓国の鍋料理である。肉や魚介、豆腐、野菜などを味噌や唐辛子風味の調味料で煮込む。チゲ鍋と言われるが、チゲ自体に鍋の意味があるため、鍋は余計である。チゲにはテンジャンチゲやコチュジャンチゲがある。テンジャンは韓国味噌で、大豆を醗酵させて作る。コチュジャンは唐辛味噌味で、もち米麹などを発酵させる。韓国の味噌は煮立てても香りが飛ばず、むしろコクが増す。
刀削麺は中国山西省発祥の麺料理である。麺の生地の塊を刀状の包丁で削って麺とする。削った麺をそのまま茹でるため、表面が直接茹でられ、ゆで時間が短く、麺のモチモチ感を味わうことができる。麺が太くて平たい。
刀削麺は中国五大麺の一つである。中国五大麺は定説が固まっていない。刀削麺、担担麺、伊府麺は確実である。残りの二つに熱乾麺、炸醤麺、打鹵麺、魚焙麺が入る。
伊府麺は卵で生地を練り、油で揚げた麺。清の乾隆帝時代に、広州の食通家の伊乗紋が考案した。
熱乾麺は武漢の麺。茹でた小麦の麺に油や胡椒を食べる直前に混ぜ加える。
炸醤麺は北京の麺。肉とキュウリが乗っている。
打鹵麺は東北のあんかけ麺。
魚焙麺は河南省の麺。黄河で泳ぐ鯉の姿をあんかけで再現した。
中国には沢山の郷土料理があり、地方の特色を生かした独特の味付けがなされている。