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ハンバーガーと飽食の否定

ハンバーガーは通常、一個食べれば良いところが魅力である。実は一個だけでは物足りなさが残るが、それが良い。飽食は虚しいだけである。飽食は、もっとも下劣で卑しいものの一つである。飽食は忌むべき行為である。飽食は、人間の身体にとって極めて有害なものである。飽食は悲劇の原因になる。


ハンバーガーはジャンクフードである。ジャンクフードなので身体によくないという印象もあるかもしれない。しかし、ジャンクフードが健康に悪いとは限らない。ジャンクフードの健康に対する悪影響は、飽食の弊害に比べれば微々たるものである。ハンバーガーを食べると元気が出る。それは確かである。


ハンバーガーは高価な料理よりもご馳走になる。浅田次郎『オー・マイ・ガアッ』(集英社文庫、2004年)には世界的大富豪のアラブの王族が登場する。彼にとっての憧れはマクドナルドのハンバーガーであった。「少年のようにコインを握りしめて、マクドナルドのハンバーガーを買った」(319頁)。この気持ちは共感できる。


ハンバーガーが現代文明の消費生活の便利さを象徴する食べ物である。江戸時代にタイムスリップした人物は「マックのハンバーガーや分厚いステーキが無性に食べたくなった」と言う(宇江佐真理『通りゃんせ』角川文庫、2013年、61頁)。

感染症の流行で人々が死に絶えた世界で生き残った登場人物は「ハンバーガー食いてえ」と言う(リン・マー著、藤井光訳『断絶 (エクス・リブリス)』白水社、2021年、140頁)。文明生活を懐かしむとしたら、やはりハンバーガーを食べたくなるだろう。ハンバーガーは文明の凄さを体現するものではないが、無性に食べたくなる。

slkn『食料生成スキルを手に入れたので、異世界で商会を立ち上げようと思います』は現代日本の会社員が地球の食材を生成するスキルを持って中世ヨーロッパ風ファンタジー世界に転移する「小説家になろう」掲載のライトノベル。ハンバーガーを異世界の住人は「こんなおいしい料理、領主様でも食べたことないんじゃないですか?」と言う(第11話 ハンバーガーを作ってみました)。領主が金に物を言わせて贅沢をしてもハンバーガーを楽しめない。値段と味は比例しない。ハンバーガーは美味しくて安いからこそ価値がある。


ハンバーガーは小学生のご馳走であった。小学校三年生の時の出来事である。教師が教室を出て行った後、一人の男子生徒が声を上げた。

「おい、みんな! これを見ろよ!」

彼は自分の机の中から大きな包みを取り出して、それを教壇の上に置いた。クラスメイトたちは彼の周りに集まった。

「何だよ、それ?」

誰かが尋ねた。すると、その生徒は得意げな表情を浮かべて言った。

「これはハンバーガーさ!」。

そう言うなり、彼は包装紙を破り始めた。中身を取り出すと、それは確かにハンバーガーだった。

「どうしたんだよ? これ……」

別の生徒が尋ねると、彼は答えた。

「いやあ、昨日、親父が買ってきたんだ。それで俺も一つ貰ったってわけ」。

それからというもの、クラス中の誰もがハンバーガーを持ち込むようになった。もちろん、私もその一人だった。そんな光景を見ていて、ふと思ったことがある。どうしてハンバーガーというのはこんなに人気があるのだろう、と。



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